389.マッドサイエンティストにも拘りがあるようです
-限界領域(ヴェルサリオ国) 王城-
「何?また、ワープゲートが封鎖されただと。」
ヴェルサリオの国王であるアルテウスは、報告を聞き思わず立ち上がった。
界王を追放され、限界領域に追い込まれ、物資も乏しい中、国を興すまでにどれ
ほどの努力してきたことか。
そして、国を興すのに活躍したのが、このワープゲートだ。
限界領域に追い込まれた際、何人か他の一族の追放者も交じっていた。
その中には、スキル一族を追われたたアルバーティンが含まれていた。
彼はマッドサイエンティストとして知られ、禁忌とされた生物実験を行い、追放
処分となったのだ。
アルテウスにとって、この出会いは幸運だった。
絶望しか見えない閉鎖世界からの脱出を図るべく、アルテウスとアルバーティン
が手を組むまでに時間はかからなかった。
その彼が異界から物資調達を可能とすべく、最初に着手したのがこのワープゲー
トの開発だった。
複数の世界から物資を調達することで、限界領域での覇権を握り、国力を高めて
国を築き上げたのである。
「はい、閣下。第7世界と第15世界のワープゲートが使用不能となりました。
残りは第26世界、第27世界、第75世界の3つです。」
ゲート封鎖を知らせに来た係官が、額に汗を流しながら答える。
「閣下、何をそんなに恐れているのです?ゲートの数は問題ではありませんよ。」
そこへ白衣を着た長身の女性が現れた。
彼女は眼鏡のフレームを指で微妙に上下させながら言った。
「5つが3つに減ったのに大丈夫だと言うのか?アルバーティンよ!」
「はい、閣下。ゲートの数が減ったのなら、ゲートを大きくすれば良いのです!」
「いや、しかしだな、その世界に気づかれぬよう、細々と物資の調達を行うように
機能させていただのだろう。ゲートを大きくしては穏便に済まぬのではないか?
これ以上ゲートが減るのは避けたいのだ。」
「ご心配には及びません、閣下!残ったゲートがある世界を我々のモノにしてしまえ
ば良いだけのこと。もともと、ワープゲートでつながった世界は乗っ取ることを前提
に想定して動いていました。つまり、作戦続行と言うことですね。
ただ、その前に使えないワープゲートがあるのは私の矜持に反します。
処分しても良いですよね。閣下?」
アルテウスは無言でゆっくりと頷いた。
-第15世界 王城 ミリオム執務室-
「なんか、このガジェット、さっきから通信を始めているみたいなのよね。」
エマの言う通りで、一つのガジェット、時折点滅しているのが分かる。
何か、その点滅の間隔が短くなってる気がするんだよなぁ・・・。
「エマ。これって点滅する間隔短くなってるよな?」
「それってマズいわ!何かが起きる可能性があるの。急いでこの部屋から出て!」
エマの言葉で、オイラ達は大慌てでミリオムの部屋を後にする。
廊下を走り、もう少しでエレベーターホールと言うところで、足元から爆発音が
響き、すぐに激しい振動が襲ってくる。
「キャー!」と言う悲鳴が周囲から聞こえてくる・・・だけじゃない。
自分の中からも?
「善行、アタシはこういうのダメなんだ・・・。」
なんか、コピの弱点見つけたような気がして、思わず微笑ましく思ってしまった。
読んでいただきありがとうございます。
足元で爆発したということは、地下室の倉庫にあるワープゲートは木端微塵
に爆破されたのでしょう。恐らくは第7世界のワープゲートも同様に爆破
されていると思います・・・。




