16.自宅に帰るようです
ピンクのそこそこ高いヘッドセットを2台も購入し、ご満悦の2人。
「遅くなると電車厄介だから帰るよ」
酔っ払いが厄介なだけでなく、車内で飲んでて酔っ払いにモードチェンジする輩も居るし。
なんとか自宅前までたどり着いた。
エマだけでなく、コピもSuicaが使えていた。いかにも普段使ってますみたいな。
エマはこっちの世界の視察で電車は乗ったことがあるけど、バスは初めてみたいだったな。
コピに至っては人の姿で乗り物に乗ることが初めてだったので、絶えずキョロキョロしていた。
川崎を出て1時間ちょっとの道のりも、3人家族みたいで、家族っていいなぁとしみじみ・・・・思った時もありました・・・・やかましい・・・・。
「コピ、善行とは一心同体なんだから、私が横に寝るの!」
「やだ!私は善行のスキルなんだから、私が横に寝るの!」
あの~、なんかある意味うれしいことなんですけど、音量抑えていただけないと、
近所の方からクレームが・・・・“ピンポン”・・・・ほら来た。
「栢山さん、お届け物でーす」
さっきエマが買ってたパソコン、猫耳ヘッドセットが配達されてきた。
さすがに猫のマークではないが、ブラックカードで即日配送のところに依頼したらしい。
恐るべし、ブラックカード・・・ってか、どうして住所分かったんだ?
「だって善行のスキルだもん。思考読めるから住所とか朝飯前!」
コピの仕業か。
自宅は公営団地でおそらくニュータウン構想時に建てられた5階建ての建物。
同じような建物が20棟以上建っている。
そんな中の5階に住んでる。階段しかないから不便だけど、その分家賃が安い。
で、古い建物だから、何このトイレの仕切り、学校と一緒じゃんとか、
部屋の仕切りが襖じゃんとか、紐を引っ張る換気扇とか色々と今どきでは
お目にかかれないものが。
でも、お風呂は追い炊き機能付きだったり、カメラ付きのインターホンだったり、
給湯器がついてるなど以外に現代仕様になってるところが気に入っている。
その代わり、配管が天井にありえないくらい這いずり回っている。
あっちの世界に用意された立派で近代的な部屋とは違うけど、味が合って
なんか落ち着く。
これでこっちの世界でも衣食住は大丈夫だ・・な・・・?
「コピ、生米は食べちゃダメ!!さっきご飯食べてきたでしょ!!」
「エマも食べる?硬くて歯ごたえあるよ。」