14.初めて食べるようです
「善君。そそっかしぃー。現金の持ち合わせは1万円位だけど、クレジットカード
は持ってるよ。父さんに渡された横向いた顔の絵が描いてある黒色の。」
ブラックカードですか。そうですか・・・・。
しかも、出かける時は忘れずにとか言ってたCMの・・・。
そういえばあっちの世界ではお金って使ってなかったような。。。
「だって、念じれば生活に必要なものは大体手に入るから」
“念じる”は、あっちの世界では基本的に誰でも使うことができるスキルらしい。
ただし、“念じる”が誰でも簡単に使えてしまうと色々と問題が有るので、
人によって効果範囲というかできることを制限しているとのこと。
一般の人は生活物資を念じて具現化することができるけど、それ以上のことはできない。
それ以上となると閻魔庁の限られた職員しかできないそうだ。
そりゃ、一般人が無限に線路を引いて列車走らせたりしたら、鉄道の安全運行は守れない。
いや、もっと他に例えることができるのかもしれないが、鉄ヲタなんで・・・・。
店にエマと着いたとき、ふと寒気がした。
後ろを見るとコピが怒りの目をしてる。
「私も食べたいなぁ~、お子様ランチあるんだよねー?」
「なんで知ってんの?」
「そりゃ、善行のスキルだもん。思考を読むぐらい朝飯前だかんね。」
結局3人で食べることに。
今気が付いたけど、2人とも、こっちの世界の服装になってる。
はたから見ると親子で食べ来たって見えるんだろうな。
後ろ姿は完全に母娘だよな。オイラ結婚した覚えないのに・・・。
席に着き、やがてオーダーしたものが届けられた。
「善君。なんか白い煙が食べ物から出てるけど。」
あっちの世界では温度という概念が無いらしい。
特に食べ物を食べなくても良いのであったかい食べ物とか、冷たい食べ物とかは
必要が無いから、仕方がない。
だから、エマ達は初めて暖かい食事をするのも初めて。
「おいしー」「うまっ」
ちょっと2人の嬉しそうな顔見て、家族っていいなとか思ってる自分がいる。
エマ達はアイスを食べ始め、またまた顔が溶けている。
よし、オイラも久々のメリーゴーランドと思った時期がありました。
「空っぽかよ」