13.向こうの世界に戻るようです
二つの世界を行き来できるようになったのなら、まずは元の世界に戻って、会社員としての立場を確認しないと。
「エマ。一度向こうの世界に戻りたいんだけど。どうしたらいい?」
「私と手をつないで、おでこくっつけて。・・・・。そう。それから戻りたい場所を思い浮かべて念じてみて」
次の瞬間、川崎駅の北口の改札に戻った。
改札そばのラーメン屋からの匂いとか、戻ってこれたって実感した。と、同時に腹が鳴った。
よし、地下街に降りて、野郎系食べてくか。
地下街に降りるエスカレータに向かおうとした瞬間、手をつないでいることに気が付いた。
「私をどこに連れてってくれるの?善君。」
ラーメン屋とは言えないので、水族館の方のフードコートにしよう。って、
「エマ。なんでここにいるの?しかも、向こうの世界と同じ姿で。」
「言ったじゃん、一心同体だって。」
「でも三途川駅の仕事は?」
「この世界とあっちの世界では時間軸が違うから、問題なしっ」
そういえば、こっちの世界は今何月何日の何時なんだ。
あっちの世界に行ったときは、いつも川崎から乗る快速だから18時12分発。
10月3日だったはずだよな。
スマホを見ると、10月3日18時13分。ほとんど時間は経っていなかった。
エマ曰く、こっちの世界とあっちの世界では時間の流れ方というか、
関わり方が違うらしい。
こっちで10年経っても、あっちの世界では1秒も経ってない。
逆にあっちの世界で10年経っても、こっちの世界では1秒も経ってないことも。
要はどっちの世界でも存在できるのは、お一人様限定。
なので、あの列車に乗るオイラと、今いるオイラは重複して存在できないため、
あの列車に乗るオイラがこの世界から居なくなった後に、帰ってきたオイラが
存在し、常のこっちの世界のオイラはこっちの世界に居続ける様になっている
そうな。それはあっちの世界でも同じことだという。ヤヤコシイ。
うーん頭使ってますます腹減ってきたぞ。
よし今日はレギュラーバーグディッシュ300gにメリーゴーランドつけちゃうぞ。
あの肉汁とライスの混ざり合いが癖になるんだよね。
あと、メリーゴーランドの時々固い白玉とか。
そうと決まれば、早速フードコーナーへGo!!
「エマ、一つお願いがあるんだけど、いくら持ってる?」
あっちの世界の部屋に財布を忘れてきた。