0.シャイな鉄ヲタが旅立つようです
JR南武線 E233系。どう見ても毎日乗ってる電車。
でも、単線だったっけ。
いつもの会社帰りと同じように、川崎で南武線に乗ったはず。
快の字が見えたから快速だと思って飛び乗ったけど・・・・。
新川崎の町が一瞬見えて、トンネルに入った。
なんだ武蔵野貨物線か・・・って川崎始発でそんな列車は無い筈・・・・。
車内のディスプレイには “●●川行きです” って表示。
立川・・・じゃなくって・・・・三途川・・・・。
快速・・・じゃなくって・・・・快哉・・・・・。
乗客はほんの数えるほど。川崎のホームはあんなにごったがえしてたのに。
・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・・・・
「ご乗車のお客様。間もなく終点“三途川”に到着いたします。お出口は左側です。
どなた様もお忘れ物の無いようお支度下さい。
折り返しのご乗車はできませんのでご注意下さい。」
「終点 三途川~ 三途川~。
にゅうかい審査は、改札を出て右の建物にお進みください」
にゅうかい審査・・・・・? なんかの団体・・・・?
まぁ、改札を出てみるか、Suicaで良いのか・・・。
なんか違ってたらどうしよう・・・・・・。
オイラ、シャイなんです。
無情にも自動改札はエラー音を出してバーが閉じる。
そりゃそうだ、どう見てもSuicaをタッチする場所が無いし。
でも、なんか懐かしい改札機だな。
愛想の良さそう駅員がやってきて
「お客さん。亡くなった際に、手に乗車券持ってたでしょ?
あれじゃないと改札通れないんですよ。」
「えっ、亡くなったって、死んだつもりは無いんですけど・・・・」
「いやね、お客さん。死んだことを悔やんでも、ここじゃ対応できないんですよ。
申し訳ないけど駅長室迄ご足労願えますか。」
と改札から連れ出されてしまった。
階段を上ってしばらくすると駅長室と書かれた部屋の前に来た。
「駅長。乗車券未所持のお客さんをお連れしました。」
「了解した。本件は私が引き継ごう。」
「では、私は改札に戻ります」
「うむ。ご苦労様。」
駅長室の中で、駅長と二人っきり・・・・。
いや、男同士で何が始まるっていうんだ・・・。
駅長の顔を見ようとしたが、駅長はくるっと踵を返し、窓の方に向いてしまったので見れなかった。
「はぁ、君ねー、死んでないのに、何でこっちの世界に来ちゃったかなぁ~」
駅長は女性でしたか、そうでしたか。しかも声は相当若そうな声。
「駅長と言われているけど、君の世界だと閻魔様的な仕事をしているの」
「閻魔様? 」
駅長はくるっとこちらを向くと笑顔で答えた。
「そう、君の世界と死後の世界の番人として、ここ 三途川駅 で働いてるの。」
メチャかわいい、メチャタイプ。しかも制服もビシッと決まっててかっこいい!!
生きてる間に、こういう子とお付き合いしたかったよな。一度も付き合ったことないけど・・・・。
って、おい、自分で死んだって前提で考えてるぞ。
「言うの忘れたけど、改札通過した段階で、君の世界では死んだことになるから」
エマってこんな感じかなっていう画像をつけてみました。