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バンダナコミック01応募用シナリオ

 主人公、【武藤(ムトウ)(アラタ)】は幼少の頃から父親に剣術や武術を叩き込まれてきた以外はごく普通の高校二年生の少年である。アルバイト帰りのある夜、アラタは公園に突如出現した怪物に襲われる。そのピンチを救ったのはメイド姿にプラチナブロンドの髪の少女【アンジェリカ・ディ・グランソラス】(通称アンジェ)であった。彼女は常人とは比べものにならない力と漆黒の短刀を用いて怪物を撤退させる。怪物によって負傷したアラタであったが、アンジェの不思議な力により怪我はすぐに治癒される。アンジェは自分は異世界からやって来た人間であり不思議な力は魔力を源とした魔術によるものだという。そして彼女と戦っていたのは魔物のオークであり、森で遭遇し戦っていた際に突如出現した魔法陣の光に包まれ気が付いたらここにいたと説明する。オークはまだ健在でアンジェの魔力はここに来てから弱体化していた。右も左も分からないアンジェをそのままにしておけず助けて貰ったこともあり、アラタは彼女を自宅に泊めるのであった。


 翌日の夜、アラタとアンジェはオークと再戦。魔力が弱体化していたアンジェは苦戦し徐々に追い詰められていく。そのピンチを助けようとするアラタにアンジェが共鳴し彼女の胸元に紋章が浮かび上がる。アンジェが促すままアラタは紋章に触れ「マテリアライズ」と唱えると彼女は漆黒の魔剣グランソラスへと姿を変えた。その際、アンジェの記憶の断片を垣間見たアラタは戦いによって傷ついてきた彼女の想いを受け止めるのであった。闇の闘技『無影斬』の一撃でオークを倒したアラタとアンジェは出現した魔法陣によってアンジェの居た世界『ソルシエル』に転移してしまう。そこはマナと呼ばれる生命エネルギーに満ちた世界であった。


 ファンタジーな異世界に来てしまった事に動揺しながらも高揚感を抑えられないアラタとアンジェは近くの宿場町『マリク』に到着する。一晩泊まるために訪れた宿屋『聖剣の鞘』に入ると応対してくれたのはアンジェのかつての仲間である赤髪の少女【ルシア・ゼル・ブレイズキャリバー】であった。その晩、アンジェはアラタにこの世界と剣に姿を変えられる自らの出自について話をするのであった。


 今から千年前、魔物よりも遙かに強力な『魔人』と呼ばれる存在が大量に出現し、当時の幾つもの国が滅ぼされ大勢の人々が犠牲になった。生き延びた人々は同盟軍を組織し対抗手段として魔物の心臓部から採取した魔石に術式付与を施し生成したエナジストを核とする武器を作り上げた。エナジストには意思が宿り武器は人の姿になることも可能であった。それは人工生命体『アルムス』と呼称され契約したマスターと同調することで強力な性能を発揮する。アルムスの中には更にもう一つの姿を持つ者もおり、それは契約者と融合する事で二メートル以上の体躯になる人型魔導兵器『鎧闘衣(マナギア)』だった。アンジェは千年前の魔人との戦争――通称『魔人戦争』において生み出されたアルムスの一人であり、戦争終結後に封印され、つい数年前に封印から解かれたという。


 その後、アラタは聖剣の鞘の女将である【マーサ】からアルムスと共に歩む者の覚悟を問われる。彼女はかつて魔力を用いて戦う戦士『魔闘士』であった。その中でも冒険者ギルドに所属する者は冒険者、騎士団に所属する者は騎士であると説明される。マーサは冒険者ギルドに所属していた元冒険者であった。実力の無い魔闘士が力のあるアルムスのマスターになった場合、命を狙われるケースが多い事実をアラタに話し中途半端な覚悟ならすぐに契約破棄することを勧められる。しかしアラタはアンジェの中に垣間見た彼女の辛い過去を一緒に背負っていきたいと考えており、魔闘士として強くなることを誓う。そんなアラタに興味を持ったマーサは彼を一人前の魔闘士にすべく稽古をつけることを提案した。一方、アンジェとルシアは入浴しながら久しぶりの再会を喜んでいた。ルシアは千年前にアンジェと共に戦ったアルムスの一人であり、戦争後は封印されソルシエルにおける大国『アストライア王国』に保管されていた。アストライア王国には『勇者』と呼ばれる優れた魔闘士が複数おり、パートナーとして強力なアルムスを欲した彼らや王国内部の人間たちは醜い権力争いを行い、自分の存在がその原因ではないかと考えたルシアは城を抜け出したのであった。


 翌日アラタはマーサから剣術稽古を受けるが、彼の実力は既にマーサと同等以上のレベルに達していた。その為アラタはマーサから新しい訓練を言い渡される。それはダンジョンと呼ばれる大気中のマナが濃く、魔物や自然の異常現象が発生する場所で一週間生活をしろというものであった。マリクの近くにあるダンジョン『試練の森』に赴いたアラタとアンジェ、そしてガイド役として同行していたルシアの三人は魔物を狩りながらダンジョン探索を開始する。ゴブリンなどの魔物と戦って実戦経験を積むアラタは自らの光系統の魔力をコントロール出来るようになる。そして光弾を発射する闘技『白零(びゃくれい)』、光の斬撃を放つ『白牙(びゃくが)』を習得する。アンジェとルシアとも親交を深める中、アラタは魔人戦争で彼女たちのマスターだった者たちが異世界から召喚された者たちだったという話を聞き驚くのであった。その後、ダンジョン探索中にイビルプラントという凶悪な魔物が出現する。この魔物は周辺のマナを吸収し急成長を遂げる危険な怪物であり、本来初級のダンジョンにいるような相手ではなかった。撤退する間もなくアンジェが捕縛されピンチに陥るも、彼女を助けたいという共通の想いによりアラタとルシアは同調しルシアは炎を纏った剣――聖剣ブレイズキャリバーへと姿を変えた。凄まじい炎の斬撃を繰り出しイビルプラントを追い詰めるアラタとルシア。無事アンジェを救出するがイビルプラントは森のマナを吸収し瞬時に再生してしまう。アラタは武器を魔剣グランソラスに変更すると自らの光の魔力とグランソラスの闇の魔力を掛け合わせた必殺闘技『斬光(ざんこう)白牙(びゃくが)』によって一撃でイビルプラントを消滅させた。こうしてアラタはアンジェに続いてルシアとも契約し、魔剣と聖剣のマスターとなった。ダンジョン生活一週間の訓練を達成し宿屋に戻るとアラタはマーサの夫が生前使っていた魔闘士用の軽鎧型ローブ『ダークブルーヴェル』を譲り受け、アンジェ、ルシアと共にマリクから旅立った。


 アラタ達は冒険者ギルドを始めとする数多くのギルドで賑わっている町『ファルナス』に到着した。早速冒険者ギルドに赴き冒険者登録をしようとすると強面の男たちと二人の少女が言い争いをしている場面に出くわす。二人の少女のうち一人は金髪ケモミミに金毛の尻尾を有しており、もう一人は胸元が大きく開いたメイド服に身を包んだ亜麻色ツインテールの少女だった。この二人は魔人戦争でアンジェ達と一緒に戦った仲間であり、ケモミミ少女は【トリーシャ・フォン・神薙ぎ】、ツインテールの少女は【セレーネ・アウ・ドラグネス】であった。二人は冒険者ギルドに所属するクラン『ブラッドペイン』に騙されて借金を背負わされていた。あと一ヶ月以内に借金を返済しなければブラッドペインの仲間にされてしまい、そうなれば何をされるか分からない。借金返済の為に報酬額の高い依頼を受けようにもブラッドペインのメンバーに邪魔をされる始末。お先真っ暗な二人を救うためにアラタ達はイビルプラントの体内から発見した魔石を売却しその資金で二人の借金を返済する。


 あっさり借金を返済し自由の身となったトリーシャとセレーネはアラタ達とパーティを結成する。冒険者ギルドでは十名以上のパーティメンバーから成るチームをクランと呼び、ファルナスでは【リシュウ・クロスレイド】をクランマスターとする『クロスレイド』が最大規模のクランであり町の治安を守っていた。アラタ、アンジェ、ルシアはイビルプラントの一件で調査に来ていたリシュウと彼のパートナーアルムスである【アシェン・フォン・ハバキリ】と交流を持っていた。パーティ結成したアラタ達が依頼を受けようとするとダンジョンブレイクが発生したと連絡が入りパニックが起こる。ダンジョンブレイクとはダンジョン内にいる魔物の数が許容限界を超えたことでダンジョンの外に大量に出てくる現象である。冒険者ギルドはダンジョンから出てきた魔物討伐の緊急クエストを発令し、アラタはその戦いでセレーネ、トリーシャと契約する。空を高速で移動し地上に爆撃を行う魔物ボンバーホークに対し、アラタはトリーシャが武器化した神刀神薙ぎによって高速空中戦に対応しこれを撃破する。ダンジョンから出てきた魔物を倒し終えた冒険者たちであったが、件のダンジョン『ニーベルンゲン大森林』に向かったリシュウ達が帰ってこないため、冒険者ギルドから援護に行って欲しいと追加依頼される。それに応じたアラタ達一行はニーベルンゲン大森林に入り、異常発達した植物系魔物に襲われる。そこでアラタはセレーネが武器化した姿――竜剣ドラグネスの氷結能力で植物を凍らせ森の中を進んでいくのであった。


 ニーベルンゲン大森林の中を進むアラタ達はリシュウ達と謎の魔物が戦っている状況に出くわす。その石像のような灰色の魔物の正体は魔人の一人【ガーゴイル】であった。ガーゴイルは魔物と違って明確な知性を持っており、以前はアルムスであったと告白する。魔人とはソルシエルに存在する生物が負のマナにより変異した存在であった。そして、千年の時を経て魔人の軍勢『アビス』が動き出しソルシエルを滅ぼすと宣戦布告する。かつて自らを虐げた人間に憎しみを募らせるガーゴイルの力は圧倒的でアラタは苦戦を強いられる。契約した四人のアルムスの剣を入れ替えつつ互角に斬り結ぶも、ガーゴイルは更にパワーアップし二回りほど巨大化する。そこに割って入ったのはリシュウと彼のクランのメンバーである【コウガイ・ガナハ】であった。彼らはパートナーのアルムスと融合し、二メートル以上の体躯を誇る鎧闘衣<マナ・ヌエ>と<マナ・エレファント>に変身した。二体の鎧闘衣はガーゴイルと戦闘を開始するが、年老いたリシュウとコウガイには変身の負担が大きくパワーダウンしてしまう。絶望的な状況の中、アラタは恐怖に震えながらも勇気を振り絞りガーゴイルと対峙、その強い意志に呼応したアンジェとの同調レベルが第二段階に移行し鎧闘衣への変身が可能となった。


「行くぞ、アンジェ! イクシードッッ!! ――来い、<マナ・オライオン>!!!」

『了解、鎧闘衣<マナ・オライオン>――起動します』


 アラタはグランソラスと融合し、漆黒の人型魔導兵器――鎧闘衣<マナ・オライオン>へと変身した。深紅のデュアルアイを光らせ額からは一本の剣状の角がせり出し、牙のようなフェイスマスクを有する二メートル超の機体となったアラタはアンジェのサポートを受けながらガーゴイルを圧倒していく。


『私は負けん!! 死ね死ね死ね死ね死ね死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!』

『アラタ様、<マナ・オライオン>リミッター解除。(エグゼ)(キューション)形態(フォーム)――モード黒獅子、発動します』

『ガーゴイル、これで止めだ!! 闇の闘技――黒獅(こくし)無双(むそう)!!!』


 執行形態モード黒獅子を発動した<マナ・オライオン>は装甲各部が開放され放熱を開始、後頭部では赤いタテガミのような印象を与える放熱が行われる。鎧闘衣仕様のグランソラスを装備すると黒いオーラを纏った連撃を打ち込みガーゴイル撃破に成功する。アルムスと強い信頼関係を築くアラタに希望を見出したガーゴイルは彼にアビスの十人の強力な魔人――十司祭の存在を伝え忠告すると灰になって消滅した。


 ガーゴイルとの戦いのダメージが癒えたアラタ達はリシュウ達と交流を深めつつファルナスにて一軒家を購入し地盤固めに勤しむ。束の間の平和を楽しむアラタ達は冒険者ギルドファルナス支部支部長の【リクルート・アンダーザブリッジ】に呼ばれ先日の戦いの功績を讃えられ冒険者として異例とも言える二段階ランクアップと報酬を受け取る。そして彼からニーベルンゲン大森林に入ってから行方不明になっている冒険者とパートナーであるアルムスの捜索依頼を受け、再びダンジョンに入った。実はそのアルムスというのはアンジェと同じ工房で生み出された少年であり、彼女にとって弟のような存在であった。


 一方、ある場所ではアビスの十司祭が集会(サバト)の為に集まっていた。

 十司祭のリーダー【アスモダイ】、白騎士【バアル】、布教活動家【ダンタリオ】、アサシン【アスタロト】、武闘家【アロケル】、ネクロマンサー【ガミジン】、亜人族ディープの姫【ウェパル】、結晶術士【ブネ】、元レッドキャップ【キマリス】、神官【ブエル】。

 彼らはガーゴイルを倒したアラタと彼が契約した四人のアルムスについて情報を集めていた。それによりアラタが魔人戦争において同盟軍の主力となった異世界人の同胞と考え、異世界へのゲートを開く鍵になる可能性を説きひとまず様子を見るのであった。しかし、ネクロマンサーのガミジンはアスモダイの方針に従わずに独自の行動を開始した。


 ニーベルンゲン大森林は第一層から第五層の五階層からなっており、アラタ達は第二層のゴブリン種多発区域にいた。そこに出現するレッドキャップの高速戦闘に苦戦していたが、徐々にその戦法に慣れていく。ようやく第二層を突破し第三層オーク種多発区域に入ると行方不明になっていた【ロック・オーガン】と【レオ・ディ・グレイブル】と合流する。彼らは森の中で一ヶ月間迷子になっていてサバイバル生活をしていた。ロックはサキュバスの男性版であるインキュバスの少年であったが幼少の頃から姉たちに玩具にされて育ったため女性恐怖症であった。その為、強い男になるためにある武闘家に弟子入りし獅子王武神流と言う武術を極めていた。帰路の途中でアラタ達はアンデッドの魔物に襲われ撃破する。それらを操っていたのは十司祭の一人であるガミジンであった。ガミジンは複数の魔物を掛け合わせて造ったアンデッドのキメラと男女の人間のアンデッドを召喚しアラタ達に差し向ける。ロックはレオが武器化した魔甲拳グレイプルを装備するとキメラと戦闘を開始する。アラタは聖剣ブレイズキャリバーで男女のアンデッドと戦い始めるが、その二人はガミジンによって殺害され操り人形にされている元冒険者であった。しかも彼らが装備している武器もまたアンデッドにされたアルムスのなれの果てであった。四名のアンデッドにはかろうじて意識が残っており、自分達を殺して欲しいと懇願する。アラタ達は連携して彼らを消滅させると怒りの矛先はガミジンに向けられ戦いが始まる。ガミジンは魔力を開放し巨大な骸骨の怪物へと変身した。高位の魔人は『魔神化(ゴエティア)』という強力な形態に変身する事が可能であり、それに対抗するための力が鎧闘衣であった。ガミジンの正体はリッチと呼ばれる高位のアンデッドが魔人となった存在であり、不死身の能力でアラタ達を追い込んでいく。怒りに燃えるアラタとルシアの同調レベルは第二段階に達し二人は鎧闘衣へと変身した。


「やるよ、ルシア! イクシード……<マナ・フェネクス>!!」

『はい! 鎧闘衣<マナ・フェネクス>起動開始します』


 深紅の装甲と機械仕掛けの翼を装備する鎧闘衣<マナ・フェネクス>へと変身したアラタとルシアはガミジンが召喚した大量の闇の僕シャドーサーヴァントを灼き尽くしながら肉薄する。一方、キメラと対峙するロックとレオは鎧闘衣<マナ・ライガー>へと変身し獅子王武神流の闘技を打ち込み勝利する。<マナ・フェネクス>はガミジンの闇の魔術に苦戦しつつも執行形態ディバインフェニックスを発動する。隙を突いて闘技フェニックスリアクターを使用し炎の不死鳥と化した<マナ・フェネクス>はガミジンを撃破する。しかし不死の肉体を持つガミジンは生きており、そこに十司祭の一人アロケルが現れた。アロケルの正体はロックの師匠【ガイ】であり、その事実にロックとレオは驚愕する。アロケルはロックとレオにこれ以上アラタ達に関わるなと忠告するとガミジンを連れて撤退した。


 ファルナスに戻ったアラタ達のもとへロックとレオが訪れパーティを結成する。リクルートに呼び出されたアラタ達は彼からアンジェ達の元マスターの足跡について報告を受ける。ソルシエルには彼らが遺したと思われる建造物や文献が各地に存在していた。彼らが魔人戦争後どうなったのか調べるため、アラタ達はその建造物を巡る旅に出る決意をする。出発の朝、ファルナスを発つアラタ達の前にリシュウ達クロスレイドの面々が見送りに来ていた。アラタはリシュウから餞別としてアダマント製のナイフを贈られる。死線をくぐり抜けた仲間たちに見送られ、アラタ達の新しい旅が始まった。


 ファルナスを発ってから一ヶ月後、『アーガム諸島』を目指していたアラタ達は二つの大陸間を繋ぐ『ティターンブリッジ』の入り口がある港町『カボンバ』に到着した。ティターンブリッジは幅約一キロメートル、長さは二千キロメートルにも及ぶ長大な橋であり、その上には宿場町もあり有名な観光名所となっていた。アーガム諸島はティターンブリッジの途中に位置する諸島で、そこには異世界人の遺した建造物がある。そこに行くためにティターンブリッジに入ろうとすると入り口付近で助けを求める男性に気が付く。彼はカボンバの漁師【ロッシ】で現在海に巨大な魔物が出現し漁が出来ないと話す。カボンバはアストライア王国管轄下の町であるため迂闊に冒険者ギルドは介入出来ない。しかし王国騎士団には動きがなく漁師たちの生活は苦しい状況であった。助けを求めていたロッシから事情を聞いたアラタ達はカボンバ付近の海域に潜む魔物クラーケンの討伐に乗り出す。ロッシから舟を借り海に出ると早速クラーケンが出現、その姿はまさに巨大イカそのものだった。アラタは竜剣ドラグネスを装備し氷の刀身を七つのブレードに分割したアイシクルビットで応戦、パーティメンバーも遠距離から魔術を放ちクラーケンにダメージを与える。状況を不利と見たクラーケンは海中に逃げるも、アラタは竜剣ドラグネスと融合し鎧闘衣<マナ・ドラグーン>となってクラーケンを追撃する。背中に竜の翼、臀部からは尻尾が生えた人型の竜<マナ・ドラグーン>は水中戦を得意としており巨大なクラーケンを魔術で凍らせるとアイシクルビットと本体のパワーで海面へと押し上げていく。最後は海上で待機していたパーティメンバーによる総攻撃でクラーケンは粉々に砕かれた。直後、そこに姿を現わしたのはカボンバの執政官【ジャコブ・ジャーファー】であった。彼はカボンバ近海で騒動を起こしたアラタたちを批難し捕まえようとするが、アラタ達はジャコブがクラーケンの問題を放置していた事を問うと人魚の姿をした少女がジャコブの側に現れる。彼女はアビスの十司祭の一人ウェパルであり、クラーケンを差し向けた張本人であった。ジャコブとウェパルは協力関係にあり彼女の力を借りてジャコブは私腹を肥やしていたのである。状況を不利と考えたウェパルはジャコブを見限ろうとするが食い下がる彼に対して自らの魔人の血を提供し不完全ながら魔人へと変貌させる。魔人の力に酔いしれ暴れ回るジャコブは戦いの中で殺意を増幅させ巨大化し暴走する。これ以上被害を広げないためアラタは<マナ・オライオン>、ロックは<マナ・ライガー>に変身し暴れ回っていたジャコブを倒すのであった。戦いを見届けたウェパルは余裕の笑みを浮かべながら海の中へと消えていった。こうしてカボンバの漁港には平和が戻り、アラタ達はアストライア王国の騎士団が来る前にティターンブリッジへと入り予定通りにアーガム諸島を目指すのであった。


 アラタ達はティターンブリッジを進み、遂にアーガム諸島に到着した。アーガム諸島の中心『ミスカト島』にある冒険者ギルドミスカト支部の支部長【ハル・クラフト】と面会したアラタ達は例の建造物の調査を申し出る。建造物がある『インスマース島』は海の民『ディープ』の居住地であり、現在ディープは陸の民に対して敵対行為を取っているため、立ち入り禁止になっており許可できないと説明される。しかしミスカト島で行われる『競魔闘士レムール祭』の優勝報酬の一つにアーガム諸島全島散策許可証があり、それを使えばインスマース島にも行けると知らされる。こうしてアラタとトリーシャ、ロックとレオの二組でレムール祭に出場する。競魔闘士とは魔闘士によるレースであり、魔人戦争で活躍した英雄たちを讃えるものでもあった。アラタ達は予選が行われる競技場で二組のペアと知り合う。一組はアンジェとセレーネが所属するメイド協会『ゴシック』のメイド長兼アルムスの【クレア・アウ・ミストルティン】と同僚の【シルフィ・シルヴァーナ】、もう一組はアストライア王国の勇者の一人【スヴェン・エスト・アストライア】と彼のパートナーアルムス【ルイス・ゼル・ブリューナク】であった。競技場内に大量の魔物が解き放たれ、最後まで残った二十組が本戦出場となる。アラタは神刀神薙ぎ、ロックは魔甲拳グレイプル、シルフィは聖弓ミストルティン、スヴェンは聖槍ブリューナクで魔物の群れを倒し本戦への出場を決めた。本戦はダンジョン『ダウィッチ島』で行われる。ダウィッチ島内は強力な魔物で溢れかえっており本戦出場者たちは優勝するために各々水面下でパーティを組んでいた。アラタ、ロック、シルフィ、スヴェン達もまたパーティを組み本戦に臨むこととなった。本戦前の親睦会においてアルムス達は魔人戦争以来の再会を喜び合っていた。特にルシアとルイスは同じ工房で生み出されたアルムスで姉妹として育ちアストライア城にて共に封印されていた。ルシアは城を出奔したことをルイスに謝罪し彼女は快く許すのであった。そしてマスター側では勇者であるスヴェンの目的がアビスの調査であり、その幹部である十司祭と戦闘経験のあるアラタ達と協力関係を結ぶことだと告げられる。


 レムール祭本戦が始まると、潜伏していた十司祭の一人アスタロトと彼のパートナーアルムス【ラアル・ゾフ・ヴェノム】が行動を開始、出場者たちを毒剣ヴェノムの毒で麻痺させ自由を奪っていく。アラタは動けなくなった者たちの避難を仲間に頼むとアスタロトと一対一で戦い始める。ヴェノムの毒は大気中にも散布されており、アラタは徐々に身体が麻痺し武器化していたトリーシャはアラタを守るために元の姿に戻り戦うも彼女もヴェノムで斬られ動けなくなってしまう。アスタロトの毒と私刑によって絶体絶命に陥るアラタ。自分の盾になり傷つくトリーシャを前にしてアラタは力を渇望する。その時、封印されていた彼の本当の力『ディストラクション』が目を覚ます。魔術を含む全てを破壊する力によってアスタロトの毒を破壊したアラタはトリーシャの体内の毒も破壊し反撃に打って出る。アラタは神刀神薙ぎと融合し鎧闘衣<マナ・レムール>へと変身すると魔神化したアスタロトと激戦を繰り広げる。アーガム諸島を舞台としたアビスとの戦いはまだ始まったばかり。そして、この戦いを皮切りに人類とアビスとの新たな魔人戦争が幕を開ける。




 ――そして。


「行くぞ、アンジェ、ルシア、トリーシャ、セレーネ! 俺たちは――五人で一つだ!!」

「「「「はい!!」」」」

「マテリアライズ! 神魔聖竜剣ラストブレイヴァー!!」


 四人のパートナーアルムスの力を一つに束ねたアラタと十司祭の戦いは先の戦争を超えるものへと発展していく。


「俺たちの結束を今見せてやる!! イクシードッッ!! ――来い、<マナ・エクセリオン>!!!」


 そして今、鎧闘衣を超えた鎧闘衣がその姿を現わすのであった。

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