表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ラ王 妻の笑顔編

作者: 唐揚げ

「西島、今晩どうだ、一杯」


 同僚の滝藤がそう飲む動作を見せながら聞いてきた。

 俺は首を横に振る。


「妻が家で待ってるから。今日、誕生日なんだ」


 仕事鞄には誕生日プレゼントとして買っておいたネックレスの箱が入っている。

 俺の返事を聞いて滝藤は、がっかりした様子を見せた。


「ラ王も、あるぞ」


 ラ王。

 その言葉を聞いて俺の心がざわつく。

 いまだに家では食べたことがない。

 食べたいラ王。

 日清のラ王。


「来いよ、西島。ラ王を出してくれる個人の居酒屋なんだ」


 滝藤が言う。

 俺は口をぎゅっと嚙みしめ、仕事鞄を持つ手に力を込めた。


「いや、ダメだ」

「西島!」

「妻が帰りを待っている。それに、初めてのラ王は妻のラ王。そう、決めているんだ」


 俺は滝藤に背中を向けたままに歩き出す。


「西島!」


 滝藤の声が、オフィスの廊下に虚しく響いた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ