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第1話


 チチチチチ...。


 どこからか鳥のさえずりが聞こえる。

 そして、眩しい。

 おかしいなぁ。うちの窓は南向きだから朝はここまで日の光が入ってなんてこないのに...。


 朝は......。

 

 ............。


 .....................!?



「ちょっ!?」


 ガバリとタオルケットをめくってベッドから身を起こし、ベッド横の窓の外を見た。


 チュン、チュン、チュン。


 外に見える鳥たちは楽しげに飛び回っていてひじょうに可愛らしいのだが、今のアタシにはその可愛いらしさを愛でる余裕などない。なぜなら、南向きの窓から見えるお日サーマがアタシにサンサンと降り注いでいたからだ。そして、唯一の収入源であるカフェのアルバイトは午前10時からのシフトだったから。


 そう、朝の10時。

 そしてお日サーマが南からやっほー!と地上に光を降り注いでくれるのは12時前後。



「ぎゃあああああ!!ち、こ、く、じゃーーーーん!!」


 お日サーマ!なんで、もっと早く起こしてくれないのよー!


 1億5千万キロほど離れたまったく無関係の太陽に愚痴をこぼし、アタシは白いワンピースをがぼっと頭からかぶって着るといつも持ち歩いているポシェットを斜めにかけて玄関から外へと取びだした。






「ほんっとにすみません!!店長...!!」


 生クリームを泡立てながら、先程から平謝りを繰り返しているアタシに、オシャレなカフェのイメージそのままのナイスミディな店長がニコニコと微笑んだ。


「エレメルちゃん、そんなに気にしなくていいのよ?いつも朝早くから頑張ってくれてるんだし、たまに遅刻したぐらいなんてことないのよ?」


「しかしですねっ。家の畜魔力が尽きていて、「遅刻します」との電話も入れられず、すっごく申し訳ないことをしてしまいましたし。」


「いいのよ。いいのよ。誰だって一度や二度失敗はするものよ。失敗して覚えて成長していくの。次からは気をつけてくれたら大丈夫!」


 ナイスミディこと、ジェネラ店長はそう言って手をヒラヒラさせながらコーヒー豆を倉庫から取ってくるねと言ってキッチンから出て行った。

 その後ろ姿は光り輝いて見えて、思わず合掌してしまう。

 店長ありがとうございます。

 いや、きっと店長の姿は仮の姿で、あの方は天が遣わした何か尊い存在なのだろう。


 店長の後ろ姿に目を潤ませて合掌するアタシに「はやく生クリーム泡立ててね。」と先輩店員が呆れ顔でため息をついた。


「ああああああ!!申し訳ない!!」


 申し訳なくて超高速で泡だてたら生クリームがなせか固くなり氷山のようになってしまった。


 ああああああ。

 なぜだ!?なぜなんだ!?

 アンタさっきまで牛乳みたいにとろっとろっだったじゃん!?

 可愛いふわふわなアンタはどこ行っちゃったの!?

 いつからそんなにとんがっちゃったのよ!?

 

 唖然と泡立て器を見つめるアタシに先輩は言った。


「エレメルちゃんは店頭行ってオーダー取ろうね。」


 .........ハイ、異論はございません。


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