17:30
波打ち際を、あるく
ざーぶん、さー
ざーざぶん、さらー
海開きの翌日
人は少なく
くるぶしを濡らす
水はまだ、少し冷たい
あしうらをつく
白い砂は、さわると
砕けた貝殻だ
遠く、とおくからよせる
碧い透明な大きな力が
やさしくやさしく
尖った生命のなきがらを
まろがしていく
波打ち際は
夥しい
小さなたましいの気配で
威厳に満ちて、ひどく静かだ
私のくるぶしにゆるゆるかかる
やさしい海の引力は
あまりに、大きく
あまりに弱くて
遠く、深く
たましいの生みの底まで
いざなうよう
ふと
乾いた場所をあるく
あなたが
白い砂を捧げて
お骨をまいてるみたい
などと、いうものだから
この時を忘れた
白い美しい墓場で
私達は
葬送の人のように
なにかつつましく
ぬくい柔らかな白砂を
ふみしめた
夕暮れ
ざーぶん、さー、さー・・
楽しい海の思い出の記録
大きな蟹、夕食に?
格闘するも一瞬でひゅんと砂の中に逃げられる
体中突っ張らかして威嚇する、赤いハサミ
蒼い大きな海月がゆらゆら
刺された娘は足がチクチク
ヤドカリは手にのせてじっとすると
ざわざわ動き出して
くすぐったくて可愛い
へんな鱗、半透明の櫻の貝殻 持ち帰る
生きた巻貝 海に返す