― 了 ―
「おぉい、かなた、車の免許どうする?」
次に購入する車のカタログを見ながら、新しいリビングで父親は、私を呼んだ。
新しいシステムキッチンの掃除を終えた私は、少しばかり考える。
「免許はとっておくかなぁ」
「そうか。なら、合宿で行って来いな」
「別にいいよ。通いで取るから」
「そうか」
ふぅん、と父はカタログを再び見ながら言った。
あの日、宮田が家に押し入ってきた日、父親は仕事がなかなか片付かなかった。そして、運の悪いことに、車が壊れたのだという。少し前に車のメンテナンスについて、私に自信満々の素振りを見せたから、恥ずかしく、連絡が送れなかったということだった。
しかし、よくよく調べると、その故障が人為的なものであるとわかったので、急ぎ、タクシーで帰ってきたのだという。
もっともその頃には家は警察官がいっぱいいて、全て終わったのだが。
そして、宮田の家からは斧木弁護士の死体が見つかった。
後頭部を鈍器で殴打された事による死亡だった。
ほかにもいろいろと見つかったらしい。あくまで、らしいというのは、私はもう聞くつもりもなかったからだ。
竜馬に怪我がなかった。
それだけで十分だ。
「おねえちゃん、まだぁ?」
竜馬が玄関で呼ぶ。
せっかくの日曜日、晴れた日曜日なので、公園で遊ぶとしたのである。
父も立ちあがると、カタログを片手に玄関へと向かった。
玄関の扉を開けると、ちょうど、ココがやってきていた。ジャージ姿である。
「おっす。お呼ばれしました」
「ココちゃん」
「いやぁ、悪いね。せっかくの日曜日、彼氏とのデートもあるでしょ?」
「いやぁ、彼氏と別れまして」
ココはケラケラと笑う。
最も、別れたときは、号泣の有様だったが、それは言うまい。
「それで、公園で何しよっか」
「それは竜馬に任せよう」
竜馬はしばらく、考えた後に、私のほうを見て言った。
「かくれんぼ、しよう!」
この宮田ですが、僕の友人がモデルです
死んでないし、殺してないあたりは本人そのままです。
ところで、これ、レギュレーション違反してないですよね?
してたら、教えてください。