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ご近所付き合い  作者: ヤGO!
4/6

― 転 2 ―

 斧木弁護士がファミレスでの費用を支払った後、一足お先に、と宮田の家へと向かった。

 そのあとに、私達は家へと向かった。斧木弁護士と一緒にいる姿を、誰かに見られてたくなかったというのが本音だ。

 その誰かというのは、もう、誰でもいい。

 ちょうど、父親も家に帰ってきたという連絡が入ったので、なら、それに合わせて帰ろうと思ったのも事実である。家に父親がいるならば安心だと言いたかったが、どこか、そうはできない自分がいて、竜馬の小さな手を少し自信なく握るしかなかった。

 家が見えてくるまで、ココもついてきてくれたが、家が見えてくると、さすがの彼女も、臆した。


「あの家だよね」


 私の家の向かいの家を見ながら、ココが言う。

 時刻が夕方であたりが薄暗いせいもあるかもしれない。

 ただ、私たちの目には、その家は普通の家とは異なる雰囲気があった。


「そう。あの家」

「どうする?」

「どうするって、別に、あの弁護士の話が全部、真実かどうかも」

「でもさ。弁護士が嘘を吐くかな」


 それもそうだ。噓を吐くメリットがない。

 仮に、宮田の悪評を流すのが目的だとしたら、筋は通る。しかし、宮田の悪評を流して何になるのか。

 だから、きっと、真実なのだろう。

 と、思いたいが、だとすると、子供が一人行方不明になっているのも、真実になる。

 それを信じたくないから、嘘だと思いたい。

 が、宮田を怪しいと思っている自分がいるのも事実であり、思考がぐちゃぐちゃになってしまう。


「あのさ。なんなら、二人ともうちに泊まる?」

「いや、いいよ。ココ、それはまたの機会にする」

「そう。あのさ。連絡」

「する」


 混乱する頭を落ち着けるため、一つ、息を吸って吐き出した。

 ココとわかれ、家へと向かう。

 一度、振り返ると、ココは足を停めて、私のほうを見ていた。そして、手を振った。


「ただいま」

「お帰り。遅かったね」


 急いで、家に入ると、父親が出迎えてくれた。

 その顔には心配そうな顔が浮かんでいる。

 竜馬をぐっと抱きしめ、そのあとに、父は私へと目線を向ける。


「保育園から連絡が来てね。心配していたよ」

「うん。それで、ね。お父さん。あの、話があるの」


 リビングで、私は父親に全てを話すこととした。

 父はその全てを相槌を打つことなく、粛々と聞いていた。そして、話が終わると、席を立ちあがった。

 それから、キッチンへ入り、ホットコーヒーを入れて戻ってきた。竜馬の分として、ジュースがあった。


「わかった。引っ越しだ」

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