1章
気付いたらあたりは少し、暗くなっていた。涙はようやく止まってくれた。周は自分が今どんな顔をしているか分からなかったが、両親や妹に泣いたことを悟られないようにしようと頬を両手で叩く。
周はブランコから立ち上がりスマートフォンを持ち上げる。画面を見てみると一部にひびが入っており、割れていた。これは修理に出さないとなと周は、スマートフォンに付いた砂を手で払う。
そして帰ろうと周が足を踏み出した、その時だった。
「ん?」
周は足元に違和感がした。まるで毛玉のようなものが足にくっついているような感覚だった。不思議に思い、周は下を向き自分の足を見た。そこには小さな猫がいた。
「なんだ、猫か」
周は猫と目線を合わせるかのようにしゃがみこむ。猫の体格は小さく所謂子猫だった。
白い毛で覆われており、瞳は鮮やかな青色で、とても美しい色をしていた。周は今まで白い猫は見たことがなかったので珍しそうな目で子猫を見た。
「白い猫なんて初めて見たな。縁起がよさそう」
周は子猫を撫でようとした。しかし。
「篠原様」
「えっ?」
どこからか周を呼ぶ声がした。周は辺りを見るが、公園には誰もいなくなった。
「気のせいかな?声がしたはずなんだけど」
「ここです、篠原様」
「…………え」
周はまさかと思った。そんなことあるはずがない、ありえないと。しかし声の主はあきらかにこっちだった。周は恐る恐る、声のした方向を見た。そして周がまさかと思っていたことは見事的中した。
「私です。篠原様」
「ぎ……ぎゃあああああ!!」
声の主はそう、白い子猫だったのだ。
この不思議な子猫との出会いが、周と佐藤を繋ぐことになる――
今回は短めです、すみません。次から2章に入れるかと思います。感想などお待ちしておりますので、良かったらお願いします。