4章
周と佐藤は約束通り音楽室で曲を聴いていた。
美術室以外にいる佐藤は久しぶりに見たので変な感じがした。
美術室にだけいなくても大丈夫らしい。それなら今度は違う教室に行きたいなと周は思った。
佐藤が好きな曲を流すことにした。その曲は周が持ってきたCDの中で一番切ない歌だった。
佐藤が好きだと言ったシンガーソングライターはとても綺麗で繊細な声をしている。その為か、曲もバラードが多い。その人の好みかもしれないし、分からないが。
曲調はピアノでシンプルであり、より切なさが倍増している。
生きることの辛さ、でも死ぬことへの怖さ、そんな気持ちが歌詞に表されていた。
佐藤は無意識にこの曲を選んだのだろうか。佐藤はどんな気持ちで聴いていたんだろう。
周は佐藤の顔をチラリと見る。
佐藤はただデッキに流れる音楽を静かに聴いていた。
曲が終わり、静かな雰囲気になる。
「明日は……あっ!」
いきなり周が大きな声を出したので佐藤はビクりと体を震わせた。
明日、周は藤沢達と海に行く約束だったのだ。
本当にお久し振りです。遅くなり申し訳ありません。読んでくださりありがとうございます!