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油断大敵
翌朝
武館に賭場の女が男達を引き連れやって来た。
陳と李は中庭で稽古していた。
「李先生」女が言った。
「その男に用があるんですけど」
「どんな用ですか?」李が問うと男が「ずべこべ言わず、男の身柄を引き渡して貰おう」と凄んだ。
「それは出来ません」と李は答えた。
「なぜ出来ない?」男が言うと「彼は今、私の弟子です」李は答えた。
「やっちまいな」と女が言うと男達は一斉に李と陳に襲いかかって来た。
二人は男達の攻撃をかわしながら拳脚を振るった。
二人の攻撃は圧倒的だった。
「ダメだ。姉貴、かないません」
「男のクセにだらしない」と言うと女は構えた。
陳が「女は相手にしない」と言うと女は陳の股間を蹴り上げた。
「あ、イテテテ」陳は股間を押さえ飛び跳ねた。
「とにかく、お引き取り願おう」李が言うと女は李の股間を蹴り上げた。
李は膝を上げガードした。
女の足は李の膝に当たった。
「イタッ、畜生、また来るからね」女はそう言うと男達を引き連れて去って行った。
「陳、大丈夫か?」
「はい、先生。油断大敵でした」
「ウム」と言って李は部屋の奥に入って行った。