英風武館で
夜
陳は英風武館の前に立った
「ここだ」
中庭に人影は無い
陳は中庭に入り言った
「ごめんください」
部屋の奥から胡錦が出てきた
「あら、よくいらっしゃいましたね」
「へへッ。夜分遅くすいませんね」陳が言うと「いえいえ。さあ、どうぞ中にお入り下さい」と胡錦は言った
「お邪魔します」と陳は部屋の中に入った
「今、先生をお呼びしますからね。座ってお待ち下さい」と言って胡錦は部屋の奥に行った。
しばらくすると李が現れた。
「初めまして。李です」「陳と言います。初めまして」
二人は座って話を始めた。
「功夫のセンスが良いと聞いてます」李が言うと「いや。喧嘩殺法ですよ」と陳は答えた。
「では立ち合ってみましょう」
「エッ」
李は立ち上がり中庭に出た。
「さあ、どうぞ」李が言うと陳は中庭に出て構えた。
李は構えず自然体だ。
「では行きますぞ」陳はそう言うと得意の飛び足刀を出した。
李は難なくかわす。
続いて陳は廻し蹴りと後ろ廻し蹴りを連続して出した。
が、これも李は難なくかわした。
陳が足刀を出すと李は左腕で下から足を掬い上げ、前に出た。
陳はバランスを失って転んだ。
「技が大き過ぎますね」と李は言うと部屋に戻り、椅子に座った。
「しばらくウチで稽古しますか?短期間で上達しますよ」と李が言うと「わかりました。ありがとうございます」と陳は礼を言った。