30.千年
今日もまだ、休息を言い渡されている。もう休息四日目だぞー。まだ身体の心配されるし、アルディ……ちょっと過保護になった?
今日は自室でのんびりの予定だ。自室にはもうアルディも居る。……我が物顔でお茶飲んでますわー。気に入ったんだね日本茶。
お茶のあてはロールケーキだー。フルーツたっぷりー、うまうまー。また王都付近から買ってきてくれたらしい。
プレゼントした髪留めはあれから毎日付けてくれている。嬉しいなぁ。うふふ、とニマニマしてしまう。どうやらアルディも気に入ってくれている様だ。
「アマネ……そういえば、前に日本について色々話したな……あの時の教科書……複製させてくれないか?」
「いいけど何で?」
「知識欲だ。まだ知らぬ世界のものは面白い」
とドヤ顔だ……。……知識オタクだったか。
「ふーん?……んじゃ、どうぞー」
とウエストポーチから学生鞄を取り出し、更に教科書の山を取り出す。……他のファンタジー系の雑学書はこっそり省く。チート知識はアカン。
「ありがとう」
と受け取り、複製作業に取り掛かる。
どんどん教科書の複製が出来ていきますわー。便利だなぁ。
「あっ、そうだ!これだけの異世界の本を複製とはいえ、あげるわけだしー……アルディについて何か話してよー」
とキラキラした目で見つめてみる。
「……俺についてか……うーん……何から話せばいい?」
と今日は色々話してくれそうだ。
「とりあえず本当は何歳なのさ?竜殺しって、不老不死なんでしょ?」
「……何歳だったか……うーん?……千歳は軽く超えている筈だが……細かくは忘れた」
と眉根を寄せている。おいおい……そんなに昔か。
「……千歳以上……はー……途方もないね」
とお茶を啜る。ちょっと熱い。
「ああ、お前が来るまでずっと一人だった……」
と眉をちょっと下げつつ微笑む。
「へ?千年以上ずっと?」
と唖然とする。
「そうなるな」
「えっ……ええっ?……ドラゴン討伐の時とかもパーティ組んだりしなかったの!?」
「ああ、他人を必要としなかった」
「……。今は……私が居て平気?」
と声が小さくなってしまう。
「ああ。……居てくれないと困る」
と小さく呟いたが、ちゃんと聞こえた!
「うへへ……良かったー」
「だからな、一緒にドラゴンや禁忌種を討伐出来るぐらいになってくれ」
「おおう……が、頑張るよ」
……凄い目標だなぁ。
「他に聞きたい事は?」
とまだ話してくれる様だ。珍しい。
「えっと……竜殺しって……どんな力が付与されるの?」
と慎重に聞く。
「不老不死、強靭な肉体、そのドラゴンの知識……古代魔術とかだな……まあ、あとは伝説にだいたい沿うな」
「ほぇー……ドラゴンの知識?」
「ああ、そのドラゴンが生きた数千年分の知識だ。それにより古代魔術や禁術を習得できる。……人の歴史も知れたな」
「……こりゃまた途方もない……」
とモグモグロールケーキを頬張る。
「まあ、結構面白いぞ」
と笑っている。
「アルディは知識オタクだねぇ……でも何でそんなドラゴン討伐する事になったの?」
「オタク……。……経緯か……その頃の俺はまだまだ青い二十三歳でな、天狗だったんだ。だから古代竜へ単独で挑んだ……」
と少し遠くを見るような目をする。
「アルディ今と千年以上前は結構性格違ったの?……で、単独で挑んだら勝っちゃったと……」
「ああ、あまり好ましくない奴だっただろうな。早々にSランクになっていたから。……そういうわけだ」
「へー……意外な感じ。Sランクに早々になってたのは納得。……ふーむ」
「今では恥ずべき事だな……。そうか……他には?」
「んー……アルディ以外のSSランクっているの?」
「俺の後に何人かいた筈だ。今も数人いるだろう」
「……ん?ってことはアルディが始めのSSランク?」
「まあ、一応……」
「ぶっは……すっご……」
とお茶吹きそうになった。
「……同じSSランクでも他の奴が古代竜を倒したのは聞いた事が無いな……」
とちょっとドヤ顔になってる。若アルディの鱗片か?
「……SSランク内でも格差が!!」
「まあ、どのランクでも格差はあるものだ。アマネはBランクの中でも、もう上位だろう」
「……ほ、本当?」
と身を乗り出す。
「ああ、もう少ししたらAランクのテストをしてもいい」
「いやっほー!!」
と小躍りする。
「それが出来たらドラゴンだな」
と涼しい顔でなんて事を言うのだ。
「Aランク超えるとドラゴンに挑戦させられるの?」
と少し汗が出てきた。
「それ以外に名声を得られる恰好の敵がいるか?」
……悪いアルディが出てますよー。
「うへぇ……。Aランクにはなりたいけど……ドラゴンはちょっとまだ勘弁してほしい様な……」
としどろもどろになる。マジまだ勘弁。
「そのうち覚悟もきまる」
「そういうもんかな……」
「他には?」
「んー……じゃあ、アルディの出身は?」
「………………。一応、王都だな」
「一応?」
「孤児なんだ。王都にある、各地の孤児を集める孤児院で育ったが、本当の出身は分からん」
「……ごめん」
とショボンとする。
「いや、もう千年以上前の事だ、気にしていない。むしろ、こうして長生きしていると諸々煩わしくていいがな」
「じゃあ本当にずっと一人だったんだ……」
「まあな……おい、そんなにお前が悲しそうな顔をするな……もう大丈夫だから」
と頭を撫でてくる。立場逆じゃね?
「……これからはアルディを一人になんかさせないからね」
とふんっと気合を入れる。
「……ありがとう……アマネのお陰で人との関わりの良さが分かった気がする」
と微笑む。……ああーイケメンオーラがー。
「ぐふっ……ど、どーいたしまして」
とちょっとむせた。
それからは他にもまだ、私に隠している事はありそうな感じがしたが……突っ込んでアルディを傷付けたくないので、止めて日本の教科書について雑談した。




