26.廃坑道の主
アルディと話しているうちに、どうやら最奥へ着いた様だ。空間は広いのに何だか空気が重々しい。
だか、何もいないので辺りを警戒しつつキョロキョロしていると、地面から何か……巨大な骸骨が現れた。
「ひえっ……デカっ!」
と思わずため息が漏れる。
巨大な骸骨……スパーダスケルトンの全貌は……二、三階の高さがあり、そのスパーダの名に相応しく巨大な双剣を構えている。……デカ過ぎないか?……これを単独で倒せってか?馬鹿じゃないのか?ランクアップの設定。
「こ、これとやるのかー……」
と声が震えてしまう。
「弱気になるな。強気でいけ!勝てない相手ではない」
と後ろの方から声がする。……やっぱり見守るだけらしい。
「はいはい!わーりましたよ!」
と剣を構える。流石に魔術だけではマズそうだとの判断だ。そして一応剣に光属性を付与しておく。
するとスパーダスケルトンが攻撃を仕掛けてきた。即座に躱すと、地面が大きく抉れた……。当たっていたらと思うとゾッとする。
「ねえねえ!アルディ!こいつの弱点ってどこー!!」
と大声で訊ねる。
「……自分で戦って、確かめろ」
と返ってきた。……ひどい。
仕方ないので自分で弱点を探す事にするが、スパーダスケルトンの双剣による猛攻で中々反撃といかない。避けるので今は手一杯である。マズイ。
襲い来る巨大な双剣を躱しつつ、少しパターンにも慣れたので、合間に無詠唱の光属性の閃光を様々な箇所に当てるがどこも、弱点そうじゃない。……どこなんだー!?
くっ!と転がって再びの双剣を躱す。……どんどん周りの地面が抉れて歪になってきたぞ。足を取られかねん。
起き上がって体制を整えようとした時だった。双剣の片側が迫ってきたので咄嗟に避けたら、地面に足を取られ体制を崩した……。気を付けていたのにっ!
そこへもう片方の双剣が迫ってくる。あ、マズイ。避けれない……。
仕方ないのでぶった斬られない様に剣で防ごうとするが、それも虚しく……当然のごとく力負けして、遠くの壁まで吹っ飛ばされる。
「かはっ……!」
口腔内が切れ、血の味がする。身体も軋む。……どこか逝っちゃったかもしれない。
全身が痛い。そして、スパーダスケルトンがうざくなってきた。体内の血が沸沸してくる。どうやら自分はキレているらしい。
「……うっざ……本当にウザイわー……これでも喰らえよ……」
と止めを刺そうと迫ってくるスパーダスケルトンを指差し、無意識の無詠唱で何かを発動させる。
発動したそれは……七色に輝く巨大な刃だった。そしてそれはスパーダスケルトンを両断した。その衝撃でスパーダスケルトンはバラバラになる。
バラバラになってもスパーダスケルトンは核が残っているのか、ジタバタしている。
そして、その中に一際濃い魔力を感じ取った。そこが弱点……核だろう。
「そこか……!」
とスパーダスケルトンの空虚な眼窩を見つめ、そこへ向かって身体を引きずり、ゆっくり歩む。
そして巨大な頭蓋骨へと辿り着き、眼窩を見つめ剣を構えた。
その刹那、眼窩に剣を突き立てた。空虚な筈なのに手応えがあった。それが核だったのだろう。スパーダスケルトンはピクリとも動かなくなった。
それを見届け、眼窩から剣を引き抜く。そして頭蓋骨に手をかざして素材へと変えた。これも無意識の無詠唱だった。
素材を麻袋へ詰め、アルディの所へ向かう。
「良くやったな……アマネ?……だ、大丈夫か?」
と心配そうなアルディの顔が見えた瞬間だった。身体が言う事を聞かなくなって、ふらついて倒れ始めた。
……そして、私の、意識はそこで途絶える。
「アマネっ!!」
と途絶える瞬間アルディの声がした気がした。




