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25.廃坑道


 シャンレイクの街から直接出て狩りに行くようになってから二週間。だが、いまだに超上級の無詠唱は出来ない。くっ……。


 でもこの辺のカタル種には飽きてきた。もう無詠唱の上級普通に扱えるし、手応えが無いのだ。

 

 と食堂で朝食を食べつつ思う、グロワール八十五日目。


「アルディー。カタル種にもそろそろ飽きてきたよー」

 とぐでっとして言う。本当に飽き飽きしてる。刺激が欲しい。


「ふむ。……そうだな……そろそろランクアップを考えるか」


「ランクアップ!?わーい!お願い、お願い!」

 とアルディを期待の眼差しで見る。早く脱・Fクラスをしたいのだ。


「分かった今日は廃坑道へ行こう」


「よっしゃっ!!」

 と廃坑道へ行く事が決まった。





 朝食を食べ終えてアルディの移動術で廃坑道前へ移動してきた。


「……何か出そうな雰囲気してるんですけどココ……」

 と身震いをする。


「……出るぞ」

 とサラリと言いおった。


「…………い、今なんと?」

 と思わず聞き返す。嘘であってくれー。


「だから出るぞ。アンデットやらが」

 とハッキリ言いおった。マジかよ……。


「はぁあああぁあ!?……聞いてない!聞いてないよ!嫌なんですけど!!」

 と全力で嫌がる。マジ勘弁。


「言ってないからな。……基本的にはただの魔物だ。気にしなければ良い」

 と涼やかだ。


「…………気にするよぉ。……気持ち悪ーい……」

 とまた身震いをする。


「ぶつくさ言ってないで、行くぞ」

 とアルディは廃坑道へと入っていってしまった。……仕方ないので渋々私も入っていく事にする……。いやぁー……。




 廃坑道の中は不思議と明るかった。そこかしこにある光る鉱石の様な物のせいだろうか。坑道全体が光っている様だ。


「あれー?……意外と幻想的で綺麗なんですけど……」

 としばしファンタジー世界へうっとりとする。


「ボサっとしてると危ないぞ」


「へいへい。わーってますよ」





 そしてしばらく進んだ頃だった。何か不気味な唸り声の様なものが聞こえた。


「……カタルアンデットだな」


「カタルアンデット……またカタル……」


 ちなみにカタルとは危険と言う意味で、カタルアンデットとは危険種のアンデットと言う意味だ。まあ、結構危険なのである。カタル種には飽きてるけど。


「カタル種だからと言って、気を抜くなよ?相手はアンデット……不死者だ、ただの攻撃では倒せない」


「えー……じゃあどうしろと?」


「簡単だ。光属性の攻撃で心臓か頭を攻撃すればいい。剣に光属性を付与させても良いな」

 

「へー……光属性……って、まだ習ってないんですけど!?」

 と慌てる。


 私が現在扱えるのは、地水火風とその派生のみだ。光属性はまだ精霊とも仲良くなれてない。……それをやれとは……。スパルタめっ!


「……ホーリー・シュテルケンだ。武器に光属性を付与出来る。まあ、これで大丈夫だろう。ほら来たぞ!やってみろ」

 と迫ってくるカタルアンデットを指す。


「……死んだらアンデットになって襲ってやるぅ……」

 とアルディへ恨み言を残し、剣を構えてカタルアンデットへ向かっていく。


「ホーリー・シュテルケン」

 と剣に向かって一応詠唱して、光属性を付与させる。すると剣は柔らかく輝き始めた、成功なのだろう。


 そして即座にアンデットの攻撃を避けて、心臓を的確に突き刺した。すると呆気なくカタルアンデットは倒れた。絶命?した様だ。


「あ、あれー?呆気ない……」

 とその呆気なさにキョトンとする。


「……カタル種では簡単過ぎたか。先へ行くぞ」

 とどんどん進んでいく。


 すると突然モヤの様なものが辺りに広まる。


「吸うなよ!」

 とアルディが言うので即座に息を止める。


 すると即座にアルディは魔術でそのモヤを吹き飛ばした。……何だったのだろう?


「……もう息をしても良いぞ」


「ぷはぁ……アレ何だったの?」


「カタルレイスの出す毒霧だ。付近にいるだろう」


「ど、毒霧……」

 と息を呑む。アルディが注意して即座に吹き飛ばしてくれなかったら確実に吸っていただろう。こわー。


「まあ、吸ったところで……少し痺れるぐらいですぐには死なんがな」


「いやいや、痺れるだけでもヤバいって……って、出たぁ!!」

 と突然現れたゴースト……多分カタルレイスを指す。


「ほら、頑張れ。ちなみにこいつらには剣戟は効かない」

 と、とんでもない事を言う。は?……は?


「剣が効かない?……光属性を付与していても?」

 と恐る恐る訊ねる。


「残根ながらお前の剣ではそうなるな。魔術で頑張るんだな」

 と言いながら見守る為に後ろへ下がる。ちくしょう。


「ひ、酷い……まだ光属性使いこなせてないのに……」

 と涙目になってしまったが、仕方ないのでカタルレイスと対峙する。


「ええっと……シュタルク・レイ!?」

 となんとか記憶の引き出しをあさって、単語を引き出し詠唱する。


 すると閃光がカタルレイスを貫いた、が動きは止まらない。


「あ、あれぇ?」

 とたじろぐ。


「核だ、核を探して貫け」

 と珍しく魔物の対応に対してアドバイスしてくれる。


「か、核……どれだー……??」

 とカタルレイスに目を凝らす。すると一際濃い部分が見えた。


「ん?これか?……シュタルク・レイ!」

 と今度は核に狙いを定めて放つ。すると見事に閃光が核を貫きカタルレイスは霧の様に霧散した。素材は落とさないのか……と思ったら何か落ちてきた。拾い上げると、宝石だった。


「これがカタルレイスのドロップアイテム?」

 と首を傾げる。


「そうだ、こいつらゴースト系の魔物は消える時に稀に、持っていた宝石や貴金属を落とす事がある。アマネになら、良い換金アイテムになる、見落とすなよ」


「はーい」

 とまだ落ちてないか、辺りをキョロキョロする。……落ちてなかった。ちぇっ。




 それから数体カタルレイスやカタルアンデットを危なげなく狩った。


「そろそろ光属性の無詠唱にいくか。剣は禁止な」

 と無慈悲な事を言う。


「うへぇ、了解」

 とガックリ肩を落とす。が、従うしかない。


 そうして進んでいくとカタルレイスが現れた。即座に対峙の姿勢をとる。


「無詠唱……無詠唱……集中……集中……精霊よ従って!」

 と先程のシュタルク・レイを発動させようとするが……ちょびっと光が差すだけだ。


「……あーれー?……」

 とうなだれているうちに、カタルレイスは毒霧を吐く。が、即座に無詠唱で吹き飛ばした。……持久戦になりそうだ……。


 それから頑張るが、中々閃光は出てくれない。せいぜいすこーしの閃光?が出るのみである。しょぼい。


「精霊!コラ精霊!し・た・が・え!」

 と自信満々に偉そうに命令してみる。


 それが効いたのか、次に無詠唱するとちゃんと閃光がカタルレイスの核を貫いた。


「よし!精霊、良くやった!」

 とそのまま偉そうにに褒める。……それをアルディが面白そうに笑っていた……。相変わらず変な従え方ですいませんねぇ。


「まあ、及第点だ。よく光の精霊が少ないこの場所で行使できたな」

 と重要な事を言う。


「は?……光の精霊が少ないぃ??……そりゃ中々行使出来ない筈だわ!」

 とアルディを睨む。このこのっ!


「良いトレーニングにはなっただろう?」

 と涼しい顔だ。


「……ちっ……言い返せない」

 と地団駄を踏む。


「さあ、狩りを続けるぞ」

 と更に先へ進む様だ。


 


 それから無詠唱で十数体狩った。どんどん光属性にも慣れてかなり手際よく狩れた。光の精霊とも仲良くなれた筈だ。ついでに素材も集まってホクホクである。


「これなら主でも大丈夫そうだな」

 と何だかヤバそうな事を言う。


「ぬ、主?」

 とたらりと汗が流れてきた。


「そうだ。この最奥にいる坑道の主だ。強力なスケルトン……スパーダスケルトンだ」


「スケルトン……ひぃ……骸骨……」

 と血の気が引いてきた。


「大丈夫だ。今のアマネなら倒せるだろう。それに、これを単独で倒せばランクアップだ」

 と励まし、目標だったランクアップに言及してくれた。……倒したらランクアップ……!


「うん……ちょびっと怖いけど……ランクアップしたいから頑張るよ!」

 と気合いを入れる。やるぞー!


「その調子だ」

 とアルディは微笑む。……元気出た。


「……ん?……でもさ、何で主なのにまだ狩られてないの?」

 とふとした疑問を口にする。


「狩ったさ。だが、ここの主は特殊でな……時間をおいて、何度でも復活する」

 とゾッとする事を言う。


「うえー……」

 とゲンナリする。


 そうやって話しながらあともう少しであろう、最奥へと進んでいった。

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