23.湖の街
湖の街……シャンレイクで初めて朝を迎えた。んー……寝不足だけど爽やかだ。
昨日のあの一件はもう忘れた。忘れたのだ。思い出すな私!
とにかく部屋着から着替える事にする。
着替えて、荷物をどうするか思案してたら、コンコンとドアをノックされた。
「アマネ、俺だ」
とアルディだ。
「はいはーい」
と鍵を開けて迎え入れる。
「そろそろ朝食だが……何をしていたんだ?」
と部屋の惨状を見て言う。そう、今自室は物でごちゃごちゃだ。
「いやー……ちょっと部屋に私物を配置していこうとしたらこんな感じに……こ、これから片付けるんだからね!」
「……そうか」
とクスリと笑う。ちくしょうイケメンコノヤロー。
「で、朝食だっけ?……そう言えば昨日の朝食が最後だったなぁ……うっ……意識するとお腹減ってきた……」
とお腹を押さえる。グーッと鳴ってはたまらない。
「……そうだったな……食いに行くか」
と部屋から出る。ので、私も付いて行く。もちろん鍵を閉めるのは忘れない。
それから食堂で朝食をとっている。うん、ここのも美味しいわー。
アルディもパクパク食べている。
「アルディ……今日は何すんのー?いつもの狩り?」
とトーストを齧りながら聞く。
「いや、今日は自由時間にしよう……アマネは街を見てみたいだろうしな」
「ほー……ありがと!……アルディは別行動?」
「……アマネが良いのなら付いて行くが……」
とどこか照れ臭そうだ。……可愛いなぁ、おぃ。
「んじゃあ案内してよー。この街前にも来てるんでしょ?」
と甘えてみることにした。
「……と言っても随分昔だかな……」
「へー何年ぐらい?」
「お前が生まれるずっと前だったか?」
と疑問形である。そんなに昔かっ!
「んー……ならさ、一緒に観光をし直そうよ?」
「ああ、そうするか。よろしく」
と微笑む。
それからアルディの昔の記憶と照らし合わせながら観光をのんびりする事にした。
久々……と言うよりグロワールに来てから初めての休息だ。……あれまー。
最初は、街を少し残して分断する二つの大きな湖やそれを利用した水車などを見て回った。
湖はとても澄んでいて綺麗だった。そこから爽やかな初夏の風が吹く。それはとても気持ちがよかった。
水車小屋はいかにもファンタジーって感じにで心を踊らせてくれた。眺めてても中々飽きは来なさそうだ。
それから少し小さめのマーケットにも寄った。ここも活気に溢れていた。
あとはこの湖の街……綺麗な白亜の街並みを楽しみながら歩き回った。アルディは文句一つ言わずに付いてきてくれた。
ところどころで、私がファンタジー世界に興奮して、うひょひょ……とか変な事を口走ってるのを面白そうに見ているだけだ。……そんなに面白いか?私の顔……。
……にしても、この街は前のフォートと比べてかなり治安が良い様だ。これなら私一人で出歩いても問題無いだろう。
「そういや……このシャンレイクってさ、地図で言うとどの辺?」
とベンチに座り、地図を広げる。アルディも横に座る。
「……この辺だ……最前線と王都との中間だな」
とシャンレイクと書いてあるところを指差す。
「へー……最前線じゃないから、治安が良いんだぁー」
と感心する。
「ああ、それにこの辺は気候も丁度過ごしやすい」
「いい場所なんだね」
「ああ、この街は……気に入ったか?」
と少し不安そうだ。
「うん!とっても素敵な街だね!」
とニッコリしてみせる。
「そうか。良かった」
と微笑む。
「うん、本当ファンタジーって感じですっごく良いよ!異世界万歳だねー。うへへ」
「それは良かった」
とまた微笑む。
「うん。よしっと!じゃあ散策を続けよう!」
と夕暮れまでアルディと楽しく散策出来た。
今はギルドへ戻ってきて、夕食の最中だ。
「アルディ……今日はありがとね!すっごく楽しかったよ!」
と満面の笑みを見せる。
「そうか、ここは安全だからいつでも出歩くといい。俺も声を掛けてくれたら付いて行く」
とちょっと照れ臭そう。
「うん、うん!ありがとね!また声掛けるよ!」
そうして色々話しているうちにすっかり遅くなってしまった。
今日は本当に楽しかったなぁ……アルディ、ありがとね。




