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19.竜殺し


 ある朝アルディと呑気に朝食を食べていると、突然誰かが食堂になだれ込んできた。


 ……大勢いるな……何事だ?とその集団を見つめていると、あろう事かその集団はこちらへ向かってくるではないか……何の用さ?


「あ、アルディの旦那!大変だ!氷剛竜……アイスデュールドラゴンがこの街へ向かって来ているんだ!!」

 とこの集団の代表の様なおじさんがアルディへ縋る。どうやらアルディに用らしい。……アイスデュールドラゴン?……ドラゴンなんだからヤバイんだろうなぁ。って、は?この街へ?そんなの死ぬじゃん。マズイ。マズイぞ。


「…………はぁ」

 アルディは面倒くさそーにため息をついた。おいコラSSクラス……なんとかしろー。


「旦那!そう面倒くさそうにしないてくれ。アイスデュールドラゴンが来るとこの街は終わりだ!氷漬けになっちまう!」

 と続けるおじさん。……マジヤバじゃん。


「ちっ……俺に……どうしろと?」

 と威圧する。うわー最上級にイライラしてるよアルディ……。怖っ。


「分かってるだろ旦那ぁ……その竜殺しの名にかけて討伐してくれ!頼む」

 と集団だけでなく聞き耳を立てていた全員がアルディに対して土下座をした。……は?今、竜殺しって言ったよね?アルディ……マジかよ。隠してたのはこれも入ってるな……。


「ちっ……報酬は?」

 と更に威圧する。……だから怖いって。


「……これを……街中から掻き集めてき分で……頼むっ!」

 とかなり大きな金貨ギッシリの袋を示す。は?は?……なんだこの金貨の山は……。


「ちっ……適正金額だな……仕方ない……引き受けよう」

 と大きくため息をついた。おお!引き受けた!……でもアイスデュールドラゴンってどんだけ強いんだ?


「旦那ぁ!!ありがとよ!ありがとよ!!これでこの街は救われる!!」

 といい年こいたおっさん達が咽び泣いている。


 ……どうやらアイスデュールドラゴンはよほどヤバイらしい。……本当にアルディ討伐に行っちゃうの?だ、大丈夫なの?……で、でもアルディは竜殺しなんだよね……だから大丈夫なのかな……ああああああ。



「アマネ……声に出てるぞ」

 とアルディは私を見てクスリと笑う。


「はっ!またか!」

 と赤面する。……でもドラゴン討伐引き受けても笑える余裕あるのか……ふう。


「大丈夫だ、俺は死なない。……いや死ねない。だから心配するな」

 と私の頭を撫でる。何か泣きそう何ですけど何これ。


「うっ……ひっく……死ねない?」

 と泣きながらも疑問を口にした。


「ああ、特殊なドラゴンを殺したからなその……呪いのようなものだ。本当に死ねない。言わば不老不死だ……黙ってて悪かった……」

 と撫で続けてくれる。


「そう、なんだ……じゃあドラゴン倒してすぐ戻ってきてくれる?」


「ああ、約束しよう」

 と微笑む。


「うん……約束だからね。破ったら呪うぐらいじや済まなさないからね……」

 と涙は溢れる。何でだ。


 そして指切りをした。……グロワールにもあるんだな、なんて少し思った。


「じゃあ、旦那……早速討伐に向かってくれないか?……こうしている間にも近づいてると思うと気が気じゃなくてな……」

 とそわそわするおっさん。……じゃまだ。


「分かった……アマネを部屋まで送り届けたらすぐ向かう」

 と私の手を引いて二階へ進んでいく。


 どうしたのだアルディ?


 すぐにアルディは私を部屋へ押し込んだ。そして、何やら術を部屋に巡らせ始めた。


「何これ?アルディ?」


「堅い護りの術だ……もしもアイスデュールドラゴンを食い止められなくてもお前は生き残れる。俺が戻るまで絶対に出るな」

 と真剣な目でみつめてくる。


「そ、それなら街は?」

 と声が震える。最悪街は……。


「流石にドラゴン相手だと街までに術は掛けれない……悪いとも思うが、アマネ……お前は生き残れ。それに絶対街までは来させない」

 と微笑む。


「うん……うん……信じてるよ」


「……それと、お前は心配性な様だからな戦況がここから見えるようにしておいてやる……ランクが上がった時の後学にもなるだろう」

 とアルディが窓へ手をかざすとアルディが映った。


「ふふ。ドラゴンと対峙する時なんて中々来ないと思うよ?」

 とちょっと安心出来た。


「いや?案外早くお前も竜殺しになるかもな?」

 とニヤリと笑う。


「そーかなぁ……」

 と微笑む。


「では、アマネ……行ってくる」

 と移動陣を出現させた。


「行ってらっしゃい!アイスデュールドラゴンなんて簡単にぶっ飛ばしてきてね!!」

 と大きく手を振る。


「ああ」

 とアルディは転移してしまった。


「……行っちゃった……」

 と窓へ向かう。空を駆けるアルディの姿が見える。……空まで飛べるとは……。


 ……付いて行くとは、言えなかった。……足でまといになるのが分かりきっているからだ。


 ……だからこうして窓からアルディを、見つめて無事を祈ることしか出来ない。 


「絶対無事でいてよね……」

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