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10.私のランク


 グロワールに来て、二週間ぐらいが経ちました。随分ここでの生活にも慣れてきたと思います。


 まあ、自室と食堂と草原を行き来する毎日なんですけどね……。たまにマーケットと。


 なんかちょっとわびしいな……。




 今日も無事に草原にて狩りを終えました。ちょびっと怪我もしましたが身体は治癒術でなんとかなるし。服も後で洗濯の時に修復出来るので無問題です。


 アルディは相変わらず放置主義で戦闘は一切手伝ってはくれません。もう慣れましたが。まあ、アドバイスは的確なので良しとします。


 それとアルディの雰囲気が初めて会った頃より柔らかくなってきた様な……気が……する、かな?たまに笑うし。面倒くさそうにする事も減ったし。


 でも、アルディは謎多きままですー。食堂で一人の時にギルドメンバーに色々聞いても皆アルディにおいおい聞けばいいと話してくれません。何故だ。


 なので、アルディについて今知っている事といえば……グロワール屈指の腕のSSランクである。剣術、魔術、治癒術がかなり……いや、すっごく使えるって事と。人に教えるのは的確だけどスパルタ。たまに優しいって事ぐらいかなぁ……謎が多い。


 本人に色々突っ込んで聞いても、黙りです。年齢すら多分二十三歳だとしか答えない。多分ってなんだよ……。


 とにかく、いつか謎を解き明かしてやろうと思います!おーー!




 ちなみに今はアルディと夕食中です。アルディをジロジロ見てたら不審な顔をされた。


「そう言えばさぁー……ギルドメンバーはランクがあるんだよね。私ってどの辺?てか、ランクの分類教えてー」

 と気を逸らすのを兼ねて以前からの疑問をぶつけてみた。


「……ランクの分類か。……とりあえずFが最下層で……E、D、C、B、A、S、SSと上がっていく。……お前は……まだFだろう」


「ぐぇー。まだF!?……さ最下層……」

 と大仰に凹んでみせる。


「まだギルドに入って二週間ちょいだからな、当たり前だ」

 と呆れた様な顔をする。


「うぐぐ……てかさ、ランク分けの基準って?そもそも誰がランク分けすんの?」


「基準の魔物がいる。それを狩ったことをギルドへ素材を提出して証明すればいい。各街のマスターが判定してくれる。まあ、アマネの判定は俺が出来るがな」


「へー、基準の魔物か……手強そう。証明かぁ。……?私はアルディが判定?何で?」


「……Sランク以上になると、ランクの判定権が与えられる。だからお前のランクは俺が判定して、今はFランクだとギルドへ書類も提出しているしな」


「さっすがSSランク様!……って事はアルディに実力を認めてもらえればランクアップ出来るの!?」

 と前のめりになる。早くランクアップして街を自由に歩き回りたい!


「……そうなるな。まあ、ランクなんてそのうち付いてくるものだ。今はしっかり基礎訓練に励め」


「はーい、先生ーー」

 とちょっとだれる。まだまだ基礎訓練の段階なのか……。


「そう気を落とすな……魔術が扱える様になるとランクアップも早いだろう」


「そうだ!魔術!!いい加減教えてよ!」

 とバッと顔を上げる。


「……まだだ。草原のデボレ種複数体に全く苦戦しなくなるまでは危険だ。それにもっと基礎体力を付けろ」


「うぐぐぐぐぐ……えー何でぇ?……それってまだまだかかるじゃん……」

 と再びうなだれる。


「はぁ……詠唱までに攻撃されたらどうする?剣なしで捌ききれれるか?」

 と眉間に皺を寄せながらこちらを見てくる。


「え?剣なし?何で?……そりゃ無いと今は捌ききれないけどさぁ……」

 と頬を膨らませて不満を示す。


「魔術の練習は剣抜きで行おうと思っているからだ。剣があるとそれに頼るだろう?」

 とじっと見透かす様に見てくる。


「ぐっ……言い返せない……」

 と言葉に詰まる。まさに図星である。


「という訳だ。しばらくはデボレ種相手に奮闘しろ」


「いえっさー……」

 と再びぐでる。




 自室に戻って寝る準備をしてから、今日アルディから得たランクの情報を、マーケットで買った分厚いアンティーク風なノートに綴る。


 自分用のこの世界のガイドブックである。


 あともう一つ色違いの物には日記を付けている。今の感情を忘れてしまわない様に。


 まあ、大体が愚痴である。自分の不甲斐なさに対しての。



 ……そう言えば、SSランクとか各ランクが何人いるとか聞きそびれたなぁ。まあ別に知っても知らなくてもいい情報だけど。


 とりあえず魔術を習得出来るまで頑張って、脱・Fランクだーー!!


 と一人意気込んでいたら。部屋のドアをノックされた。


「俺だ」

 とアルディの声である。こんな時間に何の用だ?


 とりあえず鍵を開けて迎える。


「こんな時間にどしたの?」


「いや、これを渡すのを忘れていた……」

 と何かバッジの様な物を差し出してくる。


「バッジ?」

 と疑問に思いつつもそれを受け取る。うんバッジだ。多分Fって書いてあるぞ。……まさか……。


「そうだ、ランクを示すバッジだ。これからは付けておけ」


「えー……わざわざFでーすって示さないといけないの……」

 

「……忘れていたがギルドメンバーの義務だ」

 とよく見るとアルディの襟元にもバッジがあった。SSって書いてある……。


「は?義務?……それを二週間もわすれてたの?は?」

 ともう少しで馬鹿じゃないのか?と聞きそうになった。


「……ランクに関わるとこなんて久しくなかったからな……」

 と目を逸らす。何かあるなこりゃ。……だかきっとまだ話してはくれないだろう。


「ふーん。まあいいや……これ、付けとけば良いんだね?」

 とバッジを襟元へ付ける。正直Fは恥ずかしい。


「ああ。……恥ずかしがるなら、さっさとランクアップする事だな」

 とランクアップにストップを掛けている本人がのたまう。てめぇ……。


「へいへい。さっさとデボレ種に快勝してやりますとも!見てろよー」

 と目をギラギラさせる。闘士の表れだ。


「ああ、早く上がってこい」

 とのたまうSSランク様……。くっ。


「はいよ!上がってやんよ!」

 と拳を作る。


「ふっ、頑張れよ」

 と私の頭をひと撫でして部屋を出ていった。


 …………。いきなり何なんだよ!!何かめっちゃ顔熱くて照れるんですけど!


 ああああああー……とベッドでゴロゴロ転がり回る。


 アルディのたまに見せるこういう所に弱い。ああああああ。くそぅイケメンめ。……私がこうなるのは美形耐性が無いからだ。そうに違いない。


 と頬の熱さは寝るまで冷めなかった。

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