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『te:tra』  作者: 坂江快斗
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第41話「もうひとつの世界へ」

ー 終章 ー




「栞菜、俺は――」



自分の想いを言葉にしようとしたとき、それは起きた。

初めは何となく、足元がぐにゃりと曲がる感覚だった。


「な、なんだ!?」

「きゃあっ!リク!?」


地面が小刻みに揺れたかと思うと突然、振動が大きくなり見ている景色が二重にぶれる。花火はいまだに打ち上がっているが、花火の光さえも歪んでいく。

俺は栞菜を強く抱きしめ、揺れが収まるのを待つが次第に強くなる一方だ。

地面からは、ゴゴゴゴと重低音が鳴り響く。振動により瓦礫の山も崩れていく。


「くっそ、これは・・・?」

『陸斗!!来るぞっ!』


リロウスは叫ぶ。一体何が来るんだ?と一瞬考えて答えは出た。

新たな魔導師だ。

だが、今回の襲来は何か変じゃないか?


!!!


そのとき、俺と栞菜が立っていた橋がぐらついて、全体に亀裂が走る。

そうだ、今はとにかくこの場所から栞菜を避難させなきゃいけない!

戸惑う栞菜を両手で抱きかかえると、その軽さに息を飲んだ。俺が筋トレをした成果とは思えないほど軽い。俺が立ち止まりかけると、今度は枝紡が叫んだ。


『式瀬くん!急いでっ!!』


ハッとして一歩を踏み出すと、二歩、三歩と走ることが出来た。俺たちが降りた直後に橋は全壊した。たった今まで橋を構築していた木材が空しく川に落ちていった。


「栞菜、しっかり捕まってろ!」

「う、うん」


出口にダッシュで向かう。すると、出口の扉が勢いよく開いて椎菜としおりさんがこっちに向かってきた。俺はそれを制止する。


「待って!!こっちに来ちゃ駄目だ!俺が向かう!外にいてくれ!!」


振動はさらに強くなっていく。何度も足元をすくわれそうになるが堪えて、出口に辿り着いた。


「お姉ちゃん、大丈夫?」

「うん、私もリクも無事。でも、この揺れ・・・」


どうやら、リロウスが言ったとおり魔導師が開けた空間の歪みによる振動らしく扉の中と外では若干、揺れの度合いが違っていた。

旧藤咲市が異常なまでに揺れている。


「しおりさん、栞菜を!」

「陸斗君も――」


俺は栞菜を降ろし、しおりさんに託す。でも、栞菜は俺に飛びついてきた。


「行かないで!!」


まだ何をするかも言っていないのに、栞菜は泣きじゃくりながら俺を掴んで離さない。


「だめ、リクもここから離れるの!危ないから!!!」

「ああ、すぐ離れるよ!でも、まずはお前の避難が最優先なんだ」

「嘘だっ!また、嘘ついてる!リクはこれから何が起きるのか知っているんでしょ!また、その中に行くつもりなんでしょ!!」


もう隠していられないかもしれない。

話さなくちゃいけないかもしれない。

だけど、今、説明している時間は無かった。


俺は無理やり栞菜を引き剥がす。

しおりさんも俺の手を掴もうとしたがすぐに振り払った。

しおりさんの表情に戸惑いが見えた。


「ごめんなさい。やらなくちゃいけないことがあるんです」

「リク!!!」

「陸斗君、それは本当にあなたじゃないとできないことなの?」

「リク!!行かないで!!」


栞菜はしおりさんに押さえられながら必死に手を伸ばしてくる。

この手を掴んだら、栞菜を、街のみんなを、世界を守れなくなる。


「すぐに戻りますから」


しおりさんは俺を止めなかった。

背中に栞菜の声が突き刺さる。何度も俺の名前を呼んでいた。

呼ばれるたびに止まりそうになる足を叩いて、”旧藤咲市”に向かった。



*****


大地が割れ、揺れのピークは過ぎているがまだ少し揺れている。旧藤咲市はつい先日まで人が住んでいたと言われても信じられないほど変形してしまった。

空には、どんよりと分厚い暗雲が広がって今にも雨が降り出しそうだ。花火は打ち上げきったのかもう上がっていない。

夏の暑さは健在だが、嫌な寒気を感じる。普通ならあちこちからサイレンの音が聞こえるはずなのに今日は聞こえない。この場所だけ切り取られた世界みたいに異様な雰囲気が漂っていた。


「炎禍」


炎の羽を広げて空に立つ。上から見た景色は、絶望以外の言葉が見つからない。

修行に使っていた山も土砂崩れを起こし、半分が削り取られている。俺は空を飛び、桜見市と百合野町を見に行ったがやはり変わった様子がない。完全に旧藤咲市は混沌と化していた。


「リロウス・・・魔導師は?」

『向こうに強い魔力を感じる。行ってくれ』


リロウスが言う”向こう”とは、俺たちの高校があった場所だ。

スピードを上げて藤咲学園の跡地に向かうと、確かに気配を感じた。


でも、姿は見当たらない。周りを散策してみても気配を感じるだけ。

最も気配が強いのは、体育館があった場所――


そこには、禍々しい魔力を放出している歪んだ穴があった。


近づいただけで飲み込まれてしまいそうなほどの闇。奥底が見えないほど深い。


「これは・・・」

『震源はここに違いないな』

「俺がさっき言いかけたことなんだけど、今回は変だよな?」

『ああ。私がこの世界に逃げ込んだときも、追っ手が来たときも、こっち側にモロに影響が出たことはなかった。私やイルヴァナが現れた時、君としては突然前触れも無くやってきたように思っただろう?』


そう。今まで戦った奴らはこんなに派手じゃなかったはずだ。

ウィザードとの決着の際にオリオンとかいう魔導師が現れた時も、空間が歪んだ程度。振動なんて起きていない。


「なんか、無理やりこじあけたみたいな・・・」

『私もそう思う。だとしたら、城に住む魔導師ではないかもしれん』

「他の魔導師が行き来しているってことか?」

『ああ。しかし、誰が・・・』


「キミが、こっち側の器かい?」


突如として聞こえた背後からの声に振り向く。「誰だ!?」


でも、振り返った先には誰もいなかった。

すると次は耳元で聞こえる。


「誰でもいいだろ?もう、俺の役割は殆ど終わったようなもんだ」


背筋が凍りそうなくらい冷めている声。

俺は振り向きざまに左手を振り払うが、空を切った。

辺りを闇雲に探し回る。


「くそ、どこだ?」

「こっちだよ」


すると、声の主は次元の穴に体半分を埋めていた。徐々に吸い込まれていく。


「待てっ!お前は何者だ!!」

『陸斗、追うなっ!!』


後を追おうと穴に向かって動いた俺をリロウスが止める。『罠かもしれない!』

リロウスの力なのか体が硬直して動かない。


「こっち側に来れば分かるさ。その為の通路を開けてあげた」


――彼がキミを待っているよ。


そんな言葉を言い残し、魔導師らしき男は闇が蠢く次元の穴に消えていった。

同時に体の硬直も無くなる。


「リロウス、奴は!?」


穴の淵に手をつき、右腕を闇の中に入れてみるが手応えはない。

身の毛もよだつ程の冷たさが俺の腕を引きずり込もうとしていた。


『見たことがない。知らない魔導師だ』

「そんな奴が何で、この穴を残して消えたんだよ!」


状況が分からず焦り、言葉が荒くなる。

戦わずに次元の穴だけを開けに来た意味が分からない。

俺が腕を引き抜いた後も、穴は残ったまま。

何となくじわじわ広がっているように見える。


『奴は、『こっち側に来れば分かる』と言っていたな』

「ああ。こっち側って言うのはもしかして――」

『魔導師側の世界のことだろうな。奴ら、陸斗をおびき寄せて向こうで始末するつもりか?』


リロウスの考えには疑問が浮かぶ。俺に総攻撃するつもりなら、初めからこの世界に総攻撃すればいい。それをしなかったのは何か理由があるはずだ。

全く、あの男の目的が分からない。


「ああ、もう!わかんねえことが多すぎる!」


あの男がいうように、魔導師の住む世界に行けば答えが得られるかもしれない。

でも、リスクもある。第一に今いる世界に戻ってこれるか分からないし、

向こうでどれくらい敵が待ち構えているかも分からない。

戦うとなれば向こうは地の利を生かして総力戦を仕掛けてくる。

その場合、俺に勝ち目は無いだろう。


こうしている間にも広がり続ける穴は不気味だった。

多分、塞がなければ延々と広がりそうな予感がした。


「なあ、これ、どうやって塞ぐんだ?」

『普通なら開けた者が戻るときに塞ぐが・・・奴の目的が人間たちではなく陸斗だとしたらここはずっと開きっぱなしになる』

「なんでだよ?塞ぐ方法とかあるだろ?」

『あるにはある。・・・開けた本人を殺して魔力の供給を断つんだ』


その事を聞いて、目的が明白なものになってしまった。


つまり俺が向こう側に行き、さっきの男を倒さない限りこの闇は広がり続けていく。

あの男がこの世界に辿り着いた時点で、罠が完成していたんだ。


これは魔導師側が本気で俺を殺すための罠。自ら掛かりにいかなくてはならない。

魔導師たちの思惑が何であろうとも・・・。


『どうにか、広がるのを遅らせてみよう』

「できるのか?」


リロウスはやってみると言って、俺に指示を送る。まず両手を闇に近づけ、自分の魔力を俺の体を介して放つ。両手がオレンジ色に発光し闇の淵を覆っていく。確かに広がる速度は遅くなった気がするが、穴の大きさはすでに人間4人を飲み込めるくらいの大きさだ。たった数分でこの規模になるのならあまり猶予は無い。


『あまり長い時間はもたないし、蓄積させていた魔力を殆ど使っている。戦闘時のダメージ軽減は期待しないでくれ』

「・・・分かった」


もう迷っていられる時間すらない。

何もかもが突然で、戸惑いの方が大きい。

今、俺はいつ帰れるか分からない戦いに身を投じようとしているんだ。

生きて帰れる保証も無い。

だが、俺が出すべき答えは決められてしまった。


”行くしかない”と。


修行も中途半端でどこまで通用するだろう。

不安も膨らんでいくけど黒炎との戦いで誓ったことを思い出す。

たとえ強力な魔導師と戦うことになってもいずれつけるべき決着なんだ。

今度はこっちから決着をつけに行くと考えればいい。


そう考えると、ほんの少し気持ちが楽になった。


「・・・行こう」


俺の言葉に枝紡もリロウスも頷いた。


炎禍の翼を広げて宙に浮く。そして、ある程度の高さまで上昇してから、穴に向けて一気に急降下した。


「いっけえええええっ!!!!!」


暗闇まであと1メートルも無くなった―――その瞬間。


「先輩っ!待ってくださいですっ!!」


物凄いスピードの風が俺の腹部に直撃し、一緒になって吹っ飛んだ。

「おわあああっ!!」


何度目か分からない瓦礫へのダイブ。腹部に痛みがあるが、ややくすぐったい。

もぞもぞと動くそれは、嵐禍状態の鳴海の頭だった。


「鳴海?」


声を掛けるとひょこっと顔を上げる。

眉間に皺を寄せてかなり切羽詰った表情に見える。


「先輩、間に合ってよかったです。あの、栞菜先輩が・・・っ」

「・・・栞菜?」



鳴海の話を聞いて、俺はすぐに病院へ向かった。



*****



”1時間だけ、時間をくれ”


リロウスは渋々に了承してくれた。枝紡は早く病院に!と急かすばかり。

夜の飛行だが人の目は気にしていられない。見られたっていい。

早く栞菜の所に行かなくちゃ。




――栞菜先輩の意識が、また・・・。


鳴海はそこまで言うと、また涙目になった。

鳴海もさっきの揺れと強い魔力を感じ、すぐに家を飛び出したらしい。が、直後に栞菜の携帯から着信があり、電話してきたのは椎菜だった。

椎菜は泣きながら『おねえちゃんの心臓が止まっちゃった・・・。シイのせいだ・・・。シイがぁ・・・』そう言ったという。

恐らく病院外に連れ出したことを後悔したんだろう。栞菜は病院に戻る途中で意識を失い、心停止した。まだ治療が行われていて所謂危篤状態に陥っている――。


俺は矢継ぎ早にある程度の説明を鳴海に伝えた後、”次元の歪み”から離れないで欲しいと言って飛び出した。


栞菜を放ってなんておけなかった。

世界の存亡が懸かっていても。


「栞菜っ!待ってろっ!!」


俺はまだあいつに・・・


「今、行くからなっ!!」


・・・自分の想いを伝えていない。


この世界に残された時間がほんの僅かだとして、

俺が栞菜と過ごした時間はどれくらいの長さなんだろう。


いつも栞菜は傍に居て、笑って、泣いて、キレて、拗ねて、甘えて、気取って、

茶々入れて、おどけて・・・・・。


当たり前って思ってた。栞菜がいる日常全てが。

でも、その日常が消えて無くなろうとしている。

栞菜がいない日常が始まろうとしている。


「そんなの、考えたくねえよ!!!」


なんで。どうして、こんなにも栞菜を失うことが怖い?

俺のこの行動が世界の運命を左右しているかもしれないのに。


今の俺は、どうかしている。

栞菜のことしか頭に無い。


告白されたからとか、病気になってしまったからとかの一時の感情ではない。


俺も多分、ずっと前から―――。




病院の屋上に降り立ち、鍵がかかっていた扉を殴って壊し、栞菜の病棟へ。

まだ治療中なのか誰もいなかったが、廊下の奥にいる椎菜と目が合った。椎菜は俺に飛びつくとぼろぼろに泣いた。


「りくにい・・・。おねえちゃんがああ」

「ああ、聞いた。悪いな、電話出れなくて。鳴海が教えてくれたよ」


すぐに栞菜がいるという集中治療室へ。

アクリル板の向こうには医者の他に栞菜の両親もいた。2人とも泣いていた。

俺はまさかと思い、必死になって心電図のモニターを見た。


心電図は・・・、小さな反応を見せている。

心臓は動いていた。


まだ意識が戻ったわけじゃないけど、たったそれだけでも俺は安心して腰が抜ける。


栞菜は生きようとしている。頑張っている。


壁を背にへたりこんでいる俺に気づいたのか、しおりさんがアクリル板に近づいてきて手招きをしてくれた。室内に入っていいらしい。


俺は防菌服を着てから、栞菜の眠るベッドに近づく。

呼吸器をつけられて、自分では呼吸が出来ないらしい。

また沢山の管と黒いバンドがつけられている。

そっと、痩せ細ってしまった左手を握った。

手袋の上からでも栞菜の手のひらからは温もりが伝わってきて、

生きていることを改めて実感する。


『栞菜ちゃん・・・』


枝紡が耐えられずに泣いていた。枝紡もずっと我慢してきた。

弱すぎる俺の為に、守りたい人たちの為に、強くあり続けようとしてくれた彼女は、俺の心の中で大声をあげて泣いている。


「栞菜」


呼びかけに反応は無い。それでも、俺は何度も彼女の名を呼んだ。


何度目かの呼びかけで、握った手のひらから力が伝わる。

俺の声に反応して、栞菜の心臓も少しずつ鼓動を増やしていく。


医者たちも驚きの声をあげていた。栞菜の両親と椎菜が抱き合っている。

治療室が喜びに溢れる中で、栞菜の瞼がゆっくり開いた。


「り・・・・・・く・・・・」

「起きたか?よかった」

「いて・・・・・くれ・・・たんだ・・・・・」

「当たり前だろ」

「・・・うれ・・・しい・・・」


俺が握る力を強くすると、栞菜も応じてくる。

瞼を細めて、一筋だけ涙が目尻を伝った。

必死に生きようとしている目の前の女の子をみて、

俺は奥歯を噛み、ひとつの決意を告げる。



「栞菜、俺さ、今から行かなくちゃいけないところがあるんだ」

「どこ・・・」

「すぐに帰ってくるから。そしたら、また会いに来る。約束する」

「やだ・・・・・いかないで・・・・・」


栞菜の手に力がさらに加わる。俺は右手で栞菜の左手を包んだ。


「帰ってきたら、お揃いの浴衣を着て花火大会に行くぞ」


そして、その手を離した。


「りく・・・」


栞菜の姿を見て、この人が生きていく世界を守らなきゃと思った。

だから俺は、この手を離す。


いつまでも握っていたい・・・大切な人の手。

いつまでも傍に居て欲しい・・・大切な人。


この想いは必ず、生きて帰ってきて伝える。

栞菜に伝える為に、俺は絶対に死なない。

何があっても生きて、生き延びて、


お前の元に帰るからな。



約束、したからな。




屋上の風は冷たくて、火照った体を冷ましてくれた。

高く高く空を飛び、今まで生きてきた世界を見渡した。


沢山の光が街から溢れる。見える光のひとつひとつに、人がいる。

皆それぞれに、愛する人がいるはずだ。


この光の景色を闇に飲み込ませるわけにはいかない。



間もなく鳴海の元に到着すると、彼女も強い意志を示してくる。


「わたしも、いっしょに行きます」


多分、いや、絶対に来るなと言ってもついてくる目だ。

置いていっても後から追いかけてくるかもしれない。


「今度こそ、死ぬかもしれないぞ」

「死なないです。先輩が一緒なら無敵です」


根拠なんてないけど、鳴海がそう言うと無敵になれる気がした。


「危ないと感じたらすぐに戻れ」

「はいです」


出会った頃とは見違えるくらい、鳴海は変わった。

俺たちはあの時のように、グータッチを交わす。


「さっさと行ってさっさと帰ってくるぞ」

「もちろんです!!」

『行くぞー!!負けるなー!式瀬くん!まるちゃん!!』

〈ふふ。気合入れなくちゃね〉


リロウスの魔力のおかげで闇の拡張は最小限だが、

僅かにさっきよりも広がっている。


「リロウス、いつまで抑えられる?」

『持ってあと・・・4時間か、それ以下だ』


4時間以内にあの男を見つけて倒す。そして、帰ってくる。


「よしっ」


頬を叩いて気合を入れる。

その横で鳴海は風で瓦礫を浮かしていた。

俺たちが闇に飛んだ後、瓦礫を周りに被せるように落として穴を隠すようだ。


分厚い雲の切れ間から、月の光が差した。

この月の光は栞菜にも見えているだろうか。そんなことを考えた。


今日も、俺たちが生きる世界の人間は何も知らないまま、何も知ることなく生きている。明日も、明後日も、変わらない日常を過ごしていく。


俺と鳴海以外に世界が終わるなんて考えている人なんて殆どいないと思う。

まあ、いたとしてそいつは多分、ちょっと悪い奴だ。

でもそんな奴がいる世界でも俺は守る。


誰かに褒められることも無いし、栄誉がもらえるわけでもない。

別にそんなものはいらないし、俺はただ、大切な人と共に生きていく世界を守るだけだ。


「鳴海。準備はいいな」 「はい、いけるです」



互いの翼を広げて、空へ。

見据える先は、大地に開いた底知れない闇の奥。


どんな困難が待ち受けていようとも

どんな強敵が行く手を阻もうとも


立ち向かってやる。こんなとこで、終わってたまるか!!




―――行こう。




もうひとつの世界へ。



to next story is...

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