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『te:tra』  作者: 坂江快斗
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『TO NEXT』








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【――新聞4面】アパートの一室で謎の変死体 犯人は被害者の息子


12月20日午前4時35分頃、「隣の部屋から異臭がする」と警察に通報があり、

捜査したところ、部屋の住民である岡川篤さん(46)が死亡しているのが見つかった。警察はその場に居合わせた被害者の息子・A(18)に事情聴取のため任意同行後、Aは「自分がやってしまった」と供述。

午前8時40分にAを殺人の容疑で逮捕した。


また、Aは「凶器を使っていない、手を翳しただけです」などと供述しており、警察は精神鑑定も視野に入れて詳しい捜査を継続している。


尚、未成年による変死体殺人事件は増加を辿る一方で、それぞれの供述が似通っていることから、一連の事件には関係性があると見られている。



警察は特別対策本部を設置して、事件の解明にあたる所存だ。




======================================



「……思っていたよりも早く、事は動いているようね」


新聞記事を病室のゴミ箱に捨てて、服を着替える。

退院日はあるようでないものと考えているから、気にしない。

この子の体にも、すっかり慣れてしまったみたいだし。

活動は問題なく行える。


――準備は終わった。

――急ごう。


「ねえ、アイス買ってきたよ」

「……寒くない?」

「……寒くない」

「そう。食べ納めになるわ。味わって食べなさい」

「もう、いくの?」

「ええ。行きましょう」


長い間使用した病室のドアを閉め、病室の廊下を歩いていると、

とある1室のネームプレートに視界に入った。


やなぎさわ……かんなって読むのかしら……。


特に気も留めず、私は病院を後にした。



冬の空気が鼻腔をくすぐる。

枯れ葉が舞い上がるほど、風が強い。

乱れる髪を押さえながら歩いていく。

後ろからついてくる女の子は寒いのか、中々ついてこない。


「寒いの?」

「さむい」

「アイスクリームなんか食べるから」

「でも、美味しかった」

「あなた、傀儡なのにね」


とてとてと歩いてきた女の子の手を握り、私たちは一路、東を目指す。


「ねえ、アーフェン」

「その名前で呼ばないでって言ってるでしょ?あり子」

「ごめんなさい」


厳しい口調で言ったつもりはなかったが、あり子はちょっとだけしょげている。

私は歩みを止めて、あり子の目線まで腰を落としてから、話した。


「もういちど、教えてあげるわね」

「……うん」

「私の名前は、不城彩華」

「ふじょう、さいか?」

「そう、よく言えました」



私が頭を撫でてあげると、あり子は照れくさそうに笑った。



「……アーフェン、すき」

「こら」



……まだ、冬は始まったばかりだ。



私たちの旅も……。



























      TO NEXT ~Ending Story~【 Hearty:Lily 】










『te:tra』第1部 完

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