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白銀の剣  作者: 沙伊


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第二話 ハディウスの戦い

 サーティス率いるノドバーレイ軍が国領最西端のハディウス地方の城、ウルキラード城に入城したのは、挙兵して五日後だった。

 ハディウス地方に領主はいない。ウルキラード城にも城主と呼べる者はおらず、定期的に五百ほどの常駐軍が入れ替わるように派遣されるだけだ。城下町と言えるものもなく、そもそもこの地方には集落は村止まりのものばかりである。農村地としては栄えているが、文化的には発展していないのだ。

 この地は、百五十年前は戦場だった。今回の戦で破られたレコキウスとの友誼だが、何も最初から結ばれていたわけではない。昔は敵国同士だった。

 レコキウスの土地は多くの鉱山を有するが、その分土壌が痩せていて農業には適さない。だから豊かな土地を得るためにノドバーレイ、そしてブリュドにも侵攻したことがあった。

 ただ、レコキウスのノドバーレイへの侵攻は容易なものではなかった。

 理由は、両国間にまたがったラガウ山脈である。

 崖が多く木々もほとんど無い、山としてはこれ以上ないほど険しい山脈であり、とても軍隊が消耗無く踏破できるものではない。しかし、そんな山にも抜け道はあった。山を貫通するように一つの洞穴があるのである。決して大きくは無いが、軍が馬で通れるだけの広さはある。レコキウスも、侵攻時にはそれを利用した。

 しかし、それがあだとなった。洞窟を抜ける以上、軍の隊列は細く長いものとなってしまう。その上抜け道はノドバーレイ側も承知の上だった。当然待ち伏せされて、撃退されてしまった。侵攻するには不利だが、防御する側にとっては実に守りやすい地理だったのである。

 ブリュドとの戦も一進一退で決着が見えず、その上他国からの侵攻をブリュド共々受け、三国は最終的に同盟を結んでそれを撃退した。これが同盟の経緯だった。

 ハディウス地方の在り方は、その名残である。

 戦の舞台となる可能性のある土地を発展させたところで無駄である――そういう考えがあったのだ。

 ただ、その考えが当たってしまうことになるとはほとんどの者が思わなかった。予測していた者がいなかったわけではないだが、一番低い可能性とされていた。侵攻するにしても、まずブリュドから攻略されるだろうと考えられていたのである。

 サーティスの軍がウルキラード城に入城した時、レコキウス軍はラガウ山脈を半ば抜けていた。その速度は予想以上だった。百五十年前と同様、山脈を抜けた直後の奇襲を考えていたサーティス側としては意表を突かれた形になる。

 しかし、レコキウスとしては同じ(てつ)は踏みたくないだろう。そのためにレコキウスは幾つか手を打っていた。

 まず彼らは、編成した遠征軍全員を騎馬のみとした。正確には、先遣隊を騎兵だけにしたのである。その数、六千。

 騎馬の長所は機動力にある。彼らは荷物を最低限に抑え、その機動力を活かして山脈を突破したのだ。そうしてノドバーレイに侵攻した彼らは、それまでの速度が嘘のようにゆっくり侵攻し始めた。先祖もなしえなかった越境を果たしたレコキウス軍は、牛の歩みで進んでいたのである。

 無論これにも意図がある。あとから来る歩兵や荷駄を待つためだ。合流後は、元の速度――とまではいかないが、歩みを速めたのは事実だった。

 レコキウス軍にとっては慎重な動きだったが、これがノドバーレイにもいいように作用した。ぎりぎり用意に間に合い、ウルキラード城にも入城できたのだから。

 そして入城した翌日、サーティス率いるノドバーレイ軍はアクロゥス川の手前に陣を布くことができた。

 アクロゥス川とはノドバーレイの北西部の海からブリュドの南西部の土地にまで至る、長大な川である。流れは緩やかだがそれなりに深く、馬に乗っても膝までつかってしまうほどだ。橋は国内に無いため、レコキウス軍は川に入って渡るしかない。この川が、ノドバーレイ軍にとって重要な意味合いを持っていた。

「まどろっこしいよなあ。そんな小細工しなくても真正面から行けばいいじゃねぇか」

 ザフィロは馬上で槍を担ぎ、微妙な顔をしていた。いつもの騎士服の上から金属鎧を着ており、大柄な身体がますます大きく見える。

 彼がいるのは陣の先頭部分であり、先端が開かれれば最前線になるだろう位置である。

 地位としては部下のひとりもいない一般騎士であり、その自覚もあるため、表だって上官の作戦に文句を言うつもりは無い。だが彼は性格上、真っ向勝負を好む。策を練ったりそれを実行したりするのにはとことん向いていないのだ。

 とはいえ、軍略を軽んじているわけではない。ザフィロは――と言うよりノドバーレイの国民の大半が、軍略神ミズルの信者なのである。信奉する女神の神格をことさら軽視する者はそうそういないであろう。

 それでも文句を言わずにいられなかったのは、らしくもなく緊張していたからかもしれない。

 今年で十八歳になったザフィロは近辺の盗賊討伐などに参加したことはあっても、戦争そのものに参加したことは無い。おそらく、大半のノドバーレイの兵がそうだろう。

 ノドバーレイは百五十年前の戦以降、戦とはほぼ無縁だった。

 隣国はブリュドとレコキウスのみ、その二国とは百年以上――ブリュドに限れば建国以来だ――の和平で結ばれ、たまにブリュドへ演習のために数百から数千騎ほどの兵を送る程度だった。それで戦に関われようはずがない。軍そのものが初陣だと言っていい。

 一方相手のレコキウスは軍事国家である。戦は手慣れたものだ。

 数の上ではこちらが上である。レコキウスの騎兵六千、歩兵一万四千に対し、ノドバーレイの軍は騎兵と歩兵合わせて二万四千。その上地の利もある。しかし四千の差と地の利がどこまで通用するかは解らない。そのあたりはサーティスの采配次第、事前に練られた策次第だろう。

 更に、これはザフィロの個人的な不満だが、信用ならない人間が大勢いることが気にかかった。

 それは王都から派遣された王軍である。五十騎ほどをスターク城に残して従軍したのは約七千騎。数は頼もしいが、ひとりひとりを見てみるとどうも寄せ集めという印象がぬぐえない。

 そして何より信用ならないのが、派遣軍を指揮する黒衣の男だった。

 名乗りもせず、ただ軍を連れてきたという印象の無名の男は、不気味なまでに寡黙だった。

 誰に話しかけられても最低限の会話で切り上げる。サーティスに対してはさすがにある程度饒舌になるが、にこりともしないらしい。もっとも、それは彼の部下達も同様である。むしろ部下達の方がよほど会話が成り立たないありさまだ。

 かの男自身は、全身が真っ黒なのもあいまって死を司る神タロースのようだと恐れられていた。一部ではその神官ではないかと噂されている。彼らの神官服もまた黒いという話は、ザフィロも聞いていた。タロース神は別に邪神ではないのだから、恐れる必要は無いはずなのだが。

 何にせよ、ザフィロは男のことが気に入らなかった。

 何より気に入らないのは、ミゼリアと親しく話していたことである。

 一体どこで知り合ったのやら、ミゼリアは妙に男を信頼していたし、男の方もミゼリアをよく知っているようだった。

 城であの男を見たことは今回が初めてのはずだ。だからふたりはスターク城での出会いが初対面のはずである。あるいは、ミゼリアが城に来る前に会ったことがあるのだろうか。

 ここにミゼリアがいれば、今すぐにでも問いただしていただろう。本当はあの場ですぐに問い詰めたかったのだが、ミゼリアは一切答えてくれなかった。

「あー、くそっ。いらいらする……!」

 ザフィロはがりがりと頭をかきむしった。周囲の人間がその剣幕にそろそろと離れていく。そんな中、ためらいもせず彼の近くに馬を寄せる人物がいた。

 彼はザフィロの右後方で止まると声をかける。

「おい」

「何、っぎゃあ!」

 声と一緒に頭上へ降ってきた鞘入りの剣に、ザフィロは野太い悲鳴を上げた。

「だ、誰だっ……て」

 頭を押さえて振り返ったザフィロは頬をひきつらせた。

 ザフィロを殴ったのは、浅黒い肌の偉丈夫だった。歳はザフィロと変わらないが、若々しい顔に浮かぶ厳めしい表情のせいで幾らか大人びて見える。面貌には未だ幼さが残っているのに、違和感のようなものはまるで無い。ザフィロより高い背丈のせいでもあるが、常にそのような顔をしているせいで馴染んでしまっているのだろう。

 偉丈夫は隊長職用の騎士服の上に軽量の金属鎧を着こみ、腰には片刃の剣、馬の鞍には鉄で補強された剛弓と矢筒を携えている。ザフィロとは違った方向で戦士という風情の男だった。

「……エイン」

「エイン隊長だ」

 低く呻いたザフィロに、偉丈夫――エインは冷たく言い放った。

 エインはサーティス配下の百人隊長である。サーティスの軍の中でも一番の実力者であり、ザフィロやミゼリア、フィースの直接の上司だ。そしてサーティスの上の娘であるリリアナの婚約者でもある。

 ザフィロにとっては上司である以前にミゼリアやフィースと共通の友人だ。普段から呼び捨てであり――ミゼリアとフィースは隊長と呼んでいる――今もいつも通り呼んだのだが、さすがに戦場では容認できなかったらしい。生真面目に訂正された。

「へーい、隊長。で、何の用だよ」

「敬語も――まあそれはいいか。周りがおびえてるぞ。開戦前から何殺気立っているんだ」

 エインのあきれの眼差しに、ザフィロは口をつぐんだ。

 しばらく無言でそんな部下兼友人を見つめていたエインは、つい、と肩をすくめた。

「まあ大方、ミゼリアがいないことと、王都からの軍のことだろう?」

「うぐ」

 見事に言い当てられ、ザフィロは再び呻いた。

 ミゼリアはスターク城の留守隊に配属になった。もともと準騎士は城に待機と言われていたため、当然の成り行きである。ただザフィロはミゼリアが城で留守となった理由をほかに知っているため、複雑な気分だった。

 城を出る直前に見たミゼリアの表情は沈鬱なものだった。レコキウスの宣戦布告からずっとそうだった。ただ、何がそこまで彼女を苦しめているのかはザフィロには解らなかった。

 訊いても首を振るばかりで、結局聞き出せなかった。ザフィロにとっては心苦しい限りである。

 しかしミゼリアに関することならともかく――彼女への感情がだだ漏れなのはさすがに自覚済みである――派遣軍への不満がなぜ察せられたのだろうか。

 いぶかしげなザフィロの視線を受けて、エインは声を低めた。

「俺も彼らにはあまりいい印象を抱いていないんだよ」

「……おまえも?」

「明らかにおかしいからな」

 エインの視線は後方に固まった派遣軍に向かった。

 遠目から見ても、彼らには覇気が無いのが見て取れる。戦の前で緊張しているとか弱気になっているなどではなく、最初からそういったものが無いのではなかろうか。スターク城で合流してから現在に至るまで、彼らとまともに会話した人物はいない。黒衣の男の命令にただ従っているだけの様子だ。

 覇気どころか生気も無い。鎧と武器で身を固めているが、そのあり様は人形のようである。

「戦力になんのかねぇ」

「さてな。サーティス様もお気の毒だ。陛下の命令でなければ連れて来たくはなかっただろうに」

 エインはかぶりを振り、ふと顔を上げた。

 レコキウス軍の行軍を待ち構えていたノドバーレイ軍の早馬が戻ってきたからだ。

「レコキウス軍接近! 間も無く到着しますっ」

 川をかき分けるように戻ってきた兵士の報告に、ノドバーレイ軍に緊張が走った。報を受けて上官達がすでに整えられた陣を確認して回る。エインも例外ではなく、その場から動くことはなかったが部下に細かい指示を出している。

 ザフィロは手にした槍を握り直した。剣はそれほどではないが、槍では並以上だと自負しているザフィロにとって、戦功を立てるためにも戦い抜くためにも重要な相棒がこの長槍だった。

 やがて川の向こう、遠くにラガウ山脈を臨む対岸に、ぽつんと赤い点が現れた。それは次第に大きくなり、やがて赤い帯となって近付いていく。

 帯の頭上には旗がかかげられている。黒地に剣をくわえた紅い獅子は、レコキウスの国旗である。

 赤い帯は赤銅色の鎧を着込んだ騎馬兵と歩兵だった。勇壮なまでに迷いない足取りは旗に描かれた獅子によく似ている。

 誰かが喉を鳴らした。ザフィロだったかもしれないし、エインだったかもしれない。あるいは、ほかの誰かだったかもしれない。

 ただ、意識は共有された。目前に迫る敵は確かに強敵であり、難敵なのだと。

 第二次ハディウスの戦い。のちにそう呼ばれるこの戦は、あらゆる意味で初戦であり、緒戦であった。


    ―――


 レコキウス側の方針は、非常に慎重だった。というより、消極的だった。戦士の国と称され、勝利を司るアースラ神が最も信仰されているとは思えないほどに。

 とある理由でノドバーレイを誅さんとする国王以下一部武官達に対し、文官達や大半の武官達は冷ややかだった。その理由というのが、情報源がうさんくさければ内容もうさんくさい、疑い以外に持ちようのない代物だからである。

 それでも止められなかったのは、一応の裏が取れたからであり、ノドバーレイの豊かな土地や高い技術力を望む意図もあったからだ。

 しかし、それでも積極的にはなりきれなかった。その証拠に打ち出した戦略はそれを体現したようなものだった。勿論、ノドバーレイそのものを警戒したこともあるが。

 まず山脈を抜けた後にそのふもとで待機。後続対と合流後、ふもと周辺に陣を置き、ノドバーレイの軍を待ち受けつつ、周辺の事実支配を進める。そうやって緩やかに征服していくことでノドバーレイへプレッシャーを与える――それが当初のプランだったし、王もそれに了承した。もし王都まで進軍するつもりなのなら、もっと戦力を投入していただろう。

 だが彼らにとって不運なのは、この遠征軍の総指揮官が血気盛んな人間であることだった。

 彼は国の慎重さを弱腰とみなし、後続隊と合流してすぐに進軍を開始した。周囲の者も止めはしたが、もともと似たような気風ばかりが集まっていたというのもあって主に下級の兵達に彼の考えは受け入れられた。ノドバーレイなど戦の経験の少ない弱小国だと考えている者が多かったのもある。

 彼は失念していた。自分達を過信してもいた。

 ノドバーレイが軍略を司る女神を最も信仰している国であることを、それが何を意味するかをすっかり失念していたのである。

 レコキウス軍は、陣を布くとすぐさま突進した。突進といっても、騎馬を先頭においての陣形ではないし、全軍というわけでもない。まずは前衛の構成を歩兵を前、騎馬兵を後ろというものにして、彼らをノドバーレイ軍に向けたのである。

 だが、その足は川に入った瞬間止まった。

 川が、レコキウス軍が思う以上に深かったのである。

 馬でさえほとんど沈んでしまうアクロゥス川だ。歩兵ともなると頭を除くほぼ全身が川に浸かってしまうことになる。おまけに歩兵のほとんどは重装兵だ。流れに足を取られてしまえば、たとえ緩やかな流れであってもあっても身動きが取れなくなってしまう。先頭がそのようになっては、当然軍全体でたたらを踏むことになる。

 そこへ、ノドバーレイ軍の矢が降り注いできた。

 空を覆うほどの数の矢は、川の傍や川の中で進めずにいるレコキウス軍の歩兵を容赦無く貫いていく。川で身動きできずにいた兵はなすすべも無く川底に沈み、川淵にいた兵は盾で弾く者もいるが、皆が皆、矢と川によって進路を阻まれることになる。

 ノドバーレイ軍が川を渡らず、その手前に布陣していた理由の一つは、これである。敵軍は川に阻まれ、まともに動くことができない。そこへ矢を放てば、防ぐこともままならず甘んじて受けることになってしまう。

 この川を前にする限り、歩兵はほとんど進むことはできなかった。

「歩兵隊、下がれ!」

 歩兵の不利を悟った指揮官は、すぐさま歩兵と騎馬兵を入れ替えた。

 流れるように歩兵隊と騎馬隊の位置が入れ替わり、味方の死体と血で埋められている大河を軍馬が駆け抜けていく。ノドバーレイからの矢の雨は続いており、何体かの馬や騎兵を射ち落としていくが、それでも上陸を止めることができない。むしろ矢を押しのけるような勢いで岸に上がってくる。

 その侵攻を見て、ノドバーレイ軍も動き出した。後陣だけを残してほぼ全軍をレコキウス軍へ突進させたのである。

 ノドバーレイ側の川辺で剣と剣、槍と槍、馬と馬がぶつかり合った。

 単純な戦士の質で言えば、レコキウスはノドバーレイの上を行く。実戦経験も当然ながら、“戦士の国”という別称にふさわしい精強さを披露した。

 ノドバーレイの騎士の剣が、槍が、馬が、砕かれ、折られ、倒されていく。さながらそれは獣の攻勢だった。

 だが、数はノドバーレイの方が上である。一部の騎馬のみの突撃だったレコキウスに対し、ノドバーレイはほぼ全軍で向かっていったのだ。数に圧倒され、包囲されていくのは当然だった。

 それに、ノドバーレイにも屈強な戦士はいる。

「うおらあ!」

 咆哮じみた声を上げ、ザフィロの剛槍が唸りを上げた。柄の上部と穂先によって、ふたりのレコキウス騎士が馬から殴り飛ばされる。

 操り手を失った馬には目もくれず、ザフィロは槍を片手にレコキウス軍へと切り込んでいく。その様はレコキウス騎士以上の獣性を帯びていた。

 その隣をエインが並走し、声を上げた。口にするのは叱責だ。

「馬鹿か、突出しすぎだ! 特攻して死亡など笑えんぞっ」

「洒落で突っ込んでんじゃねぇから安心しろ!」

「できるか!」

 かけ合いにも似た叫び合いをしながら、ザフィロとエインの手は休むことがない。

 エインは剣を自在に操り、右へ左へと敵に振るう。ザフィロのような派手さは無いが、確実に急所へと叩き込む技は鮮やかである。ノドバーレイの兵で、ふたりの実力は際立っていた。

 だが、レコキウスの騎士は皆が皆、並以上に熟練した戦士である。数の差は大きいがそれを恐れる様子も無く、荒れ狂うような勢いのまま斬り込んでいく。

 怖気付いたのは、むしろノドバーレイ軍の方だ。こんなところで、戦に不慣れであることがマイナスに働いてきた。優勢でありながら、レコキウス軍の迫力に押され始めたのである。

 それを遠目でありながら見て取ったのだろう、レコキウス軍の指揮官は声高々に号令を言い放った。

「全軍突撃しろ! 俺も出るぞ」

 指揮官は自ら槍を取り、残りの軍を率いて軍馬を走らせた。指揮官自ら、先頭きって向かってきたのである。ノドバーレイ軍の恐れを見て、押し切れると踏んだのだ。戦場では数や実力だけでなく感情も勝敗を左右することを、彼は知っていた。

「話に聞いてたけど、まじ前出るのかあの指揮官……」

「下級騎士からのし上がったらしいからな。――全員気を引き締めろ、大軍が来るぞ!」

 あきれとそれ以上の驚きの籠った呟きを漏らしたザフィロに答えた後、エインは前線の騎士達に鋭く言い放った。直後、なだれのように飛び込むレコキウス軍によって川があふれかえる。再びの矢の雨にも、勢いが止まることが無い。

 特に指揮官とその直属部隊は群を抜いていた。矢の雨をかいくぐって真っ先に上陸した彼らは、ノドバーレイ軍の前衛に間髪入れず切り込んだ。

 特に指揮官の無双ぶりは凄まじかった。槍で騎馬兵を殴り飛ばし、歩兵を馬で踏み潰し、さながら暴走する大型戦車である。

 その槍が、ザフィロにも牙を剥いた。

「そこの小僧、やるではないか!」

「っ、ぐ、うぉ」

 振り下ろされた槍を、ザフィロはぎりぎりで受け止めた。片手で防いだ一撃は、しかし、ザフィロの片腕をしびれさせ、全身の動きを硬直させる。

「ザフィロ!」

 ザフィロの危難に気付き、なおかつ相手が指揮官であることに気付いたエインが、剣を振るった。斜め後方からの攻撃を、指揮官は無理な体勢から難無く弾き返す。

 その間に腕を半ば回復させたザフィロは、槍を両手持ちに変え、体勢の崩れかけた指揮官に向かって突き出した。驚くべきことに、指揮官はこれもあっさり防いで見せる。

 ザフィロとエインは若いながら、今回参加したノドバーレイの騎士の中で確実にトップクラスの実力者だ。その彼らがふたりがかりで攻撃しているというのに、指揮官は一撃として受けることなく防ぎ切った。

 それどころか、一合二合と槍と剣を合わせるごとにザフィロとエインの方が防戦一方となってきた。

 その間に、レコキウス軍のほぼ全軍がアクロゥス川の中に飛び込んでおり、三分一弱ほどはノドバーレイ側に上陸していた。全てが上陸すれば、ノドバーレイ軍は勢いに押されて総崩れを起こしてしまうだろう。戦慣れの差が、戦況を大きく左右することになってしまったのである。

 そんな事態の直前――より少し前。レコキウス軍が全軍突撃を始めた直後のこと。

 ノドバーレイ軍後陣で、信号弾があがっていたことに気付いていた者は、レコキウス側にはあまり多くなかった。目の前の敵を討つのに夢中で後陣など見ていなかったのである。

 それに気付いていたら――という「もしも」は、いくらしたところで無駄であろう。信号弾が上がった時点ですでにことは起こっており、人力ではどうしようもなかったところにまで至っていたのだから。レコキウス軍にとって、それは致命的なまでに。

 彼らが気付いたのは、閃光弾ではなくその後に響いた地響きに似た音だった。地面を削り、えぐる力を持った、人間など飲み込んでしまう巨大な何かの咆哮である。

 最初、それが何なのか、レコキウス軍には理解できなかった。何の音なのか、そもそもどこから聞こえているのかも解らず、辺りを見回す。

 それで理解が及んだかと言えば、そんなことはない。水の壁が迫っていることを認識したところで、何ができるというのか。

 水の壁。あるいは水の化け物。

 表現としては色々あるが、それはつまるところ、川の水の激流だった。


    ―――


 レコキウス軍が進軍してくるという報を受けたサーティスやその部下達がまず行ったのは、レコキウス軍の指揮官及び軍の構成と、迎え撃つとすればどこがいいかであった。

 そこで目を付けたものの一つがアクロゥス川だった。

 繰り返すようだが、アクロゥス川は長大だ。レコキウス軍の大半は川の中に入ってしまう。

 そのアクロゥス川の東側、ブリュド国に通じる東側に簡易な水門を造って流れをせき止め――無論、不審に思われぬようある程度流してである――合図の信号弾と共にその水門を破壊したのだ。水門に阻まれていた水流は一気に海に繋がる河口を目指して流れていき、結果その先にいたレコキウス軍のほとんどを飲み込んだのである。

 勿論仕込んだ策はこれ一つではない。そもそも最初に想定されていたのはラガウ山脈の洞穴入口で迎え撃つことだったし、そのふもとに駐留される場合のことも考えられていた。今回はたまたま、川に仕組んだ策が一番適切であると判断されただけの話である。

 敵には策をもって迎える。これが軍略神ミズルを信仰しているノドバーレイのやり方であり、この国の騎士の共通認識である。いくら長年戦に関わらなかったとはいえ、戦ごとに無策で挑むような愚か者は女神の信者にいない。ザフィロのような人間もいるにはいるが、単純な向き不向きの差でしかない。

 百五十年前もそうだった。レコキウスを退け続けられたのは何も山脈に守られていたからだけではない。それにあぐらをかいて勝てるのであれば、軍略という概念はこの世に無いだろう。

 残ったレコキウス軍は五千名にも満たなかった。後は川の奔流に飲まれたか、すでに討ち取られてしまっており、あとの残りは川の向こうに取り残された僅かな兵だ。それも、戦に参加する者ではなく、荷駄を守る少ない手勢である。そもそも、氾濫している川に入ることはできないだろう。

 ノドバーレイに流れるアクロゥス川に、橋はかかっていない。ゆえに彼らには川を渡る術は無い。渡ったところで嬲り殺された上に食糧を奪われるだけだ。

 形勢を逆転されたレコキウス軍は、ノドバーレイ軍に取り囲まれた。

 先ほどまでノドバーレイ軍が恐れをなして逃げ腰であったことは間違いない。それは演技でもなんでもない。ただ、この場においては演技であったか否かの違いはあまり大きくないだろう。そのこともサーティス達は計算の内に入れていたし、それに誘われてレコキウス軍が踏み込んでくれることを期待していたのだから、実際のところ演技とそう変わらない。

 指揮官は唇を噛んだ。彼に落ち度があったわけではない。彼は決して誤った指揮をしたわけではない。ただ、彼に過ちがあるとすれば、ノドバーレイを侮り過ぎたことだ。そもそも敵国を領土に深く入り込んだ時点で間違いだったのかもしれない。

「投降していただきたい。そうすれば、こちらも手荒な真似をしたりしない」

 先ほどまで指揮官と戦っていた男のひとり――エインが言った。手した剣は油断無くこちらを向いているが、レコキウス側が戦闘の意思を消せばすぐにでも下ろされることだろう。

 ノドバーレイ側としては、彼らを殲滅するのではなく人質とした方が得である。戦を続けるにしろまた和平を組むにしろ、ノドバーレイには時間が欲しいに違いない。人質を取れば、充分な時間を稼げるはずだ。

 その思惑を解っているからこそ、指揮官は槍を構え直した。

 敵国に有利な状況を作るために使われるなど、騎士としての恥である。ならばここで敵の何人かを道連れにして果てるのが一番であろう。

 それが指揮官の考えだった。生かして捕えることが難しいだけの実力者であると自負しているからこそ、死にもの狂いで戦えば恥をさらすことにはならないはずである。

「全員、ここを死地とせよ! 戦士としての恥をさらすなっ」

 指揮官の大喝に気おされたのはノドバーレイ軍だけだった。レコキウス軍の残った騎士達は、むしろ応えるように咆哮を上げてノドバーレイの軍勢に突撃していく。

 ノドバーレイが軍略の女神を信仰する国ならば、彼らは勝利の神の使徒だった。のちの勝利のために戦に散るのは誉であれ、恐れを抱くことはない。

 戦いは、一気に混戦の様相を見せた。

 理由は、レコキウス軍の後を考えない戦い振りである。死力を尽くして――死力以上の何かを振り絞って向かってくる相手は、勝利を半ば掴んだも同然であるはずのノドバーレイ軍を恐れさせた。おびえる切っ先を叩き斬る勢いのレコキウス軍は、もはや狂戦士のようなあり様だった。

 それでも、数の差は圧倒的だ。たとい恐怖を抱いていたとしても戦列が致命的に崩れない限りノドバーレイ軍が負けることは万に一つも無いはずだった。

 指揮官自身がそれを一番に解っていたし、彼の相手をしているザフィロやエインも重々理解している。だからこそ彼らは目の前の敵を討ち滅ぼすことに集中していた。というより、そうせざるをえなかった。

 指揮官にとってはなかなかいない強敵をふたり同時に相手しているのだし、ザフィロとエインの側からしてみれば気を抜けばこちらが討ち取られかねない。お互い、お互いの戦功になる気はさらさら無かったのである。

 おそらく、この三人の戦いがこの戦を終わらせることになるだろう――周囲の人間はそう思っていたし、本人達も承知の上だった。だからこそ、よりいっそう目の前の敵に集中していた。


 ノドバーレイ軍の後陣から、絶叫が上がるまでは。


 最初、前線のただなかにいる誰もが、それが何なのか解らなかった。上がった場所はおろか、それが絶叫であると理解した者も少なかったのである。

 ここは戦場だ。絶叫などそこら中で響き渡っている。だが、戦火が及んでいない後陣で悲鳴が上がるなど、本来あるはずがなかった。

 そもそも、絶叫の内容が理解の範疇外だった。ノドバーレイにとってもレコキウスにとっても、それは想定外以外の何物でもなかったのだから。

「お、王都の軍が裏切ったぁ⁉」

 矢の雨が降り注いだのは、その絶叫が戦場の隅々まで響き渡った後だった。

 ノドバーレイは常に、川へ向かって矢を放っていた。それは味方に誤射しないためである。そのためにノドバーレイの兵士達は川に入ってはならないと命令されていたのだから。

 なのに、敵味方入り乱れた戦場にどうして矢が放たれているのか。

 そもそも、裏切ったというのはどういうことか。

 王都の軍が――国が、味方を裏切ったというのか⁉

「どういうことだ!」

 ザフィロは向かってくる無数の矢を槍で振り落としながら叫んだ。

 叫ばずにはいられなかった。信用ならないとは思っていた王都の軍だが、まさか裏切るとは思わなかったのである。彼の叫びはもっともだった。

「おい、エイン! 何がどうなっていやがる⁉」

「俺にも解らん!」

 同じく剣で矢を防ぎながら、エインは叫び返した。その顔には、ザフィロの思っていた以上の焦燥が浮かんでいる。

「こんなこと、想定できるはずない――サーティス様は無事なのか……⁉」

「今は主君より自分だ! とにかく後陣まで行くぞっ。あんたはどうする⁉」

 ザフィロは視線を向けずに、レコキウスの指揮官に尋ねた。伝わるかどうかは解らなかったが、きちんと伝わったらしい、彼もまた戸惑いを隠せないまま、言った。

「状況はよく解らんが、このまま何も知らないまま死ぬのはしゃくだ。力を貸す!」

「うし。……!」

 頷いた直後、ザフィロは息を飲んだ。

 矢の雨は、いつの間にかやんでいる。代わりに、味方の屍を踏みつぶしてこちらに向かってくる一団があった。

 兵装は王都の軍のもの。その先頭にいるのは、この場にいる誰のものとも共通点の無い、鎧のたぐいを一切身に着けず、真っ黒な布の服で屈強な身体を包んだ男。

 王都の軍を率いて現れた、無名の黒衣の男である。

「野郎……!」

 ザフィロは奥歯を噛み締めて馬を走らせた。後方でエインと指揮官が呼び止めたのも聞こえていない。目の前に迫る軍勢にも目もくれず、ザフィロはただ男だけを睨み付けていた。

 ザフィロは男めがけて槍を突き出した。男は無言で、抜きはらった剣でそれをいなす。ザフィロの渾身の一撃に、顔をしかめもしない。ただ無表情でザフィロに相対するだけだ。

「生きていたか、槍使い」

「うるせぇ! てめぇ、何で裏切りやがった⁉」

 上段から振り下ろされた槍は、男の剣の上を滑っていく。男は見るからに力のありそうな体格で、手にした剣もそれに見合ったなかなかの剛剣だったが、その扱いは巧みだった。

「これが私の役目だ。私はただ、自分に課せられた役割を果たしただけのこと」

「っ、最初から裏切るつもりだったのか!」

「そうだ」

 ザフィロは力任せに槍を振るい続ける。黒衣の男はそれを全ていなしてみせた。それがよりいっそうザフィロの脳内に油を注ぎ、点火した火種を燃え上がらせる。

 初めて会った時から気に入らなかった。ただ見ているだけで苛立った。身の内から黒煙があふれ出し、口からこぼれてしまいそうである。

 何よりザフィロの脳内を燃え上がらせたのは。

「おまえ……ミゼリアを裏切りやがったのか!」

 ザフィロにとって一番に頭を沸騰させたのは、その一点だった。

 ザフィロは腹立たしい思いだったが、黒衣の男はミゼリアの信頼を一定以上得ているようだった。経歴がそうさせているのか、意外にも警戒心の強いミゼリアが当然のように隣に座るのを許可して、なおかつあのようにかばうなどそうそうあるはずがない。

 男の裏切りは、そんなミゼリアへの裏切りと同義だ。ミゼリアはサーティスを信頼していたし、主と見て仕えていた。そんな彼女を傷付けるような行いを、ザフィロは許容できなかった。

 対し、男は。

「そうだな」

 短い返答だった。静かな低い声。だが、同時に、苦い響きを含んでいた。

「私は彼女を裏切った。まぎれも無い事実だ。彼女に好きなだけ伝えるといい」

「っざけんなあ!」

 ザフィロの槍は鋭さを増して男に襲いかかる。男はその全てを防ぎ、しのいでみせた。通常であればザフィロの剛槍にただの剣が耐えられるはずがないのだが、彼はうまい具合に力を受け流しているようで、剣は刃こぼれ一つ起こさない。それが更にザフィロの頭に血を上らせる。

 周囲では混乱によって多数の人間が打ち取られていた。すでに弓矢で多くの人間が射殺されており、裏切りの影響で敵と味方の区別も付かず、文字通り血みどろの戦場となっている。中には混乱のあまり味方同士で斬り合う姿もあった。

 ザフィロにはそんな戦場が見えなくなっている。ただ目の前の男に攻勢をしかけているだけだ。

 もはや突進の域すら超えてしまった姿に、男は顔をしかめ――次の瞬間目を見開いて唐突に剣を振るった。

 目前――ザフィロの肩越しから、一本の矢が眉間を狙って飛んできたからである。

 矢を叩き落とし、馬ごと後ろに退いた男に対して、ザフィロもまた目を丸くして振り返った。

 彼の視界に入ったのは、弓を構えたエインの姿だ。ザフィロの後方から黒衣の男を狙ったらしい。へたをすればザフィロを射ていただろうに、恐ろしいまでの精密度と度胸だった。

「エイン、てめぇ!」

 ザフィロは声を上げた。彼の矢が自分に当たった可能性を危惧してではない。エインの弓の腕は、ザフィロもよく知るところだ。

 彼が声を上げたのは、勝負の邪魔をされたからである。

 だがエインは逆に、ザフィロのことを大喝した。

「馬鹿が、周りを見ろ! その男に固執している場合かっ」

「っ……⁉」

 ザフィロは慌てて周囲を見回した。視界を占めるのは、血に濡れた地面と、その上に倒れる屍の数々だ。そこにノドバーレイとレコキウスの区分は無い。どちらも等しく死体に成り果て、肉と金属の塊としてそこら中に転がっている。

 ザフィロは息を飲んだ。

 戦場に立つ上で、戦場が死体で埋まることは理解していたし、その中に味方のものがあることも覚悟していた。別に人を斬ったことが無いわけではないのだ、今更そんなことに心を動かされることはない。

 だが、この戦場は。

 この場には、あるべきものがない。

 決すべき勝敗が、無い。

「今は退くぞ! この場から離れるんだ‼」

 エインの叱咤に、ザフィロは弾かれるように馬首を巡らせた。一瞬だけ男を睨み付け、しかしそれ以上のことはせずにエインと合流する。

 そのままエインと、レコキウスの指揮官と共に後陣へと向かっていった。その行く手を王都軍が阻むが、壁にすらならない。全て武器によってなぎ倒され、あるいは馬に踏み潰され、血をまき散らすはめになる。

 悪夢のような光景だが、王都軍は特別動揺することなく三人めがけて突っ込んでいく。それは勇猛さや蛮勇などではない。もっと機械的な、それだけが存在意義とでもいいたげな、非生物的な突撃だった。

 それに戦慄しつつ、三人は人の壁をこじ開ける。周囲では味方であるはずの兵達が混乱のまま切り刻まれていくが、それを助ける余裕は無い。

 ザフィロは歯を食いしばった。どうしようもない焦燥が胸の内を焼き焦がしていく。喉の奥がひりひりと痛み、脳髄が釘を打ちこまれたように激痛を訴えていた。

「畜生ぉ……!」

 ザフィロは絶叫した。何に対しての絶叫かは、彼自身にも解らなかった。



 相対する者を圧倒しながら去っていく三人の騎士の背を、黒衣の男は追うこともせず見つめていた。本来ならその背中を追うべきであり、ましてや見逃がすことなど命令違反の何物でもない。

 そもそも弓使いからの叱責を受けている槍使いを、黒衣の男は斬り伏せられたはずだった。こちらから目を離した隙を突くことはできたし、そもそも攻勢に出ていれば槍使いを討ち取ることはできたはずなのである。

 しかし、男は隙を突くことも、自分から攻撃することもしなかった。

「裏切りか」

 男はぽつりと呟いた。見つめる先には、握りしめた剣がある。

 血のり一つ付いていない剣は、あの激しい剣戟を経てなお欠けたところが一つとして無い。剣自体はそれほどいいものではないため、単純に男自身の剣術が優れていたがゆえの無傷だった。

「おまえは私を恨むだろうな」

 男は悲哀も喜悦もにじませることなく、ただ独白する。

 洞穴の闇をたたえた瞳だけは、熱を帯びて揺らしながら。

「それでいい。おまえは私を信じなくていい。……私は、おまえが生きているだけで充分だ」

 ――だからどうか、これから起こる全てを生き抜いてくれ。

 男の呟きは誰にも聞き取られることはない。誰にも届くことはない。男自身もそれを望んでいない。

 しかしその言葉は確かに、彼の心を占めている白銀の輝きに捧げられていた。


    ―――


 第二次ハディウスの戦いにて、ノドバーレイ軍およびレコキウス軍壊滅。

 生き残ったのは、僅か数名だけであったという。


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