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顔がない女「7」


全て闇に葬り去る

全て存在してなかった

全て幻だった

全て嘘だった


それは、やがて来る闇の指導者の口癖

全ては、誰かの手で築かれていく

偽りの真実に導かれてく

言葉を失った人形のように俺は横たわる

片手には、ナイフが握られていた

微かに見える視界に横たわる人間

無意識のままよろめきながら立ち上がり

辺りを見ると見慣れない場所に居た。


「ここは?」


焦る気持ちに不自然な気持ちが過る

記憶を辿るように辺りを見る

視界に映る世界は何もない空間のように歪む

鼓膜が裂けるような耳鳴りがする


「何が起きたんだ?槇さんが居て…」


横たわる人間らしき物体の近くへ行くと

それは、槇だった。


「槇さん!!」


俺は、揺すぶると槇は、ゆっくりと瞳をあけて


「んっ…助手君?」


不意に人の気配がする

降る向くと白衣を着た男が居た


「誰?」


「おやおや、お目覚めで?」


「あなたは?ここは?」


「さあ…でも不思議なものだよね。運命は残酷だよ」


「…?」


「君達は、彼女の恐ろしさを知らない我々とは、違う物質で構築されたもの…それとも怨念かな」


「何を言ってるんですか?」


「いずれ分かるよ、ここにある真実の欠片を持っていくといいよ」


白衣の男性は微笑みながら歩いていく


「割れた鏡の部屋」


そう言い残して

俺は、思い通りに動かない身体を支えるように立っているだけで動けないまま白衣の男性の後ろ姿を見ていた。


「この激しい喉の乾きは…睡眠薬か…」


槇は、そういうと瞳を閉じる

俺は、激しい眠気に倒れて

不思議な夢を見ていた…

とても悲しい夢を…


どこから聞こえてくる女性の声

不自然な発音の声は、金属がぶつかるような

甲高い音で女性の声が響く


「私は…あなたを…許さない…」


「この顔でなければ…あなたは私を愛してくれる…この顔がダメで…あの女の顔ならいい…」


女性は、一人ぶつぶつっと独り言を繰り返しながら

荒れ果てた部屋で天井を見つめていた。


「私は、何も悪くない…顔が悪いだけで…他には…問題ない…私は…悪くない…顔がダメだから…あなたは…私じゃなく…あの女を選んだ…」


全てが憎い…全てが妬ましい…

私は…なぜ…こんな目にあわないといけない…

どうして…どうして…

やがて、顔面に激しい痛みが走る

全てが歪んで見える世界

白い部屋の鏡の前で、意識が朦朧とする瞳で鏡を見ると

包帯で顔を隠す女性の姿が映っていた。

俺は、朦朧とした女性の後ろに立っていた。

鏡に映る俺を睨みつける瞳は、真っ赤に充血している

激しい怒りを感じるのが分かった…


「私は…あなたを…許さない…」


そう包帯の女は叫ぶと

俺は、包帯の女性に首を絞められていた

何も抵抗できないぐらい全身は、鉛のように重く感じていた。

必死にもがきながら包帯の女性を突き放すと包帯の女性は狂ったように叫び笑いながら俺を見る瞳は、憎しみと憎悪に染まっていた。


「一体…なんなんだ…」


俺は、そう呟くと意識が途切れるように瞳が開く


「夢?」


俺は、起き上がり辺りを見るとどこかの地下の駐車場らしき場所だと分かった。

倒れている槇の側に歩み寄り槇に話かけると


「包帯の女…」


槇は、そう呟くと俺の顔を見ると少し驚いた表情していた。


「助手君?なぜ君が…?」


「俺も分からないですよ…確か槇さんと繁華街で会ってから…」


「そうか…」


槇は、起き上がり辺りを見ると少し驚いた表情をした。


「此処は、日向整形病院の地下駐車場じゃないか…」


「日向?」


「そう…君は、知らないだろうが、この病院には、奇妙な噂が沢山あってね…」


槇は、ポケットからスマートフォンを取りだし

画面を操作する


「園外?」


俺もスマートフォンをポケットから取りだし

画面を見ると


「俺のも園外です…」


「そうか、以前とある事件で、この病院に捜査に来た事があって建物の構造を知っているから…まずは外に出よう」


「はい」


槇の後を追いかけるように歩きながら

槇は、煙草に火をつけると駐車場の脇にある壁際に線香みたいに置き手を合わせる


「確か…この事件で茜先輩に会ったんだよな…」


「何があったんですか…?」


「表の世界に報道されない猟奇殺人事件」


槇は、少し俺を見ながら作り笑いをしながら俺の肩を軽く叩くと


「まずは、建物から出て茜先輩に連絡しよう」


槇は歩き始める地下の駐車場から上の階に向かう階段を上がり

誰も居ない薄暗い病院のロビーに出る


「病院というよりホテルみたいですね…」


「確かに、整形は、おもに女性の患者しか居ないし美を商売にする仕事だから病院と違って豪華な造りになっているからね。」


「そうなんですか」


「まぁ、10年前の事だから…んっ?」


槇は、なぜか立ち止まり病院の正面玄関を見る

俺も槇の目線にの方を見ると奇妙な光景が瞳に映る


「壁?」


槇は、正面玄関の入口に歩み寄り

壁を触ると軽く叩く


「こんなもの昨日はなかったのに…」


「昨日?」


「そう、昨日来たんだよ…茜先輩に頼まれて」


「茜さんの頼みで?」


「都市伝説…」


「槇さん?どうしました?」


「いや…何でもないよ…とりあえず、他に出口があるかも知れないから探してみよう」


槇は、そう言うと歩き始める

俺は、奇妙な胸騒ぎを感じていた…恐らくあの時と同じ奇妙な胸騒ぎを…

不意にあの白衣の男性の言っていた事を思い出していた。



「君達は、彼女の恐ろしさを知らない我々とは、違う物質で構築されたもの…それとも怨念かな」


俺は、その意味を知る時…

物語の奇妙な出来事のパズルがひとつになっていく時…知るのかもしれない…


果てしない人間の闇の心の恐ろしさを…



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