顔がない女「6」
不条理な気持ちに瞳を涙で濡らす
届かない声
言葉は、無意味なほどに繰り返されていく
無限に繰り返されていく悲劇
終わりなどない ただ前に進む時に流されて
結末のない世界を漂う小舟から見る夢は
いつかの願いの朽果てた姿を見せていた
叶わなかった願いは灰になって消えていく
誰かが囁く
命は限りあるもので、いつかは灰になっていくと…
旅人は、歩き続けていく
空に輝く太陽を目指すように生きていく
言葉は、いつしか伝わるのかもしれない
いつかの空の下で微笑む君に
今は、振り返る事もなく前に進み続ける
いつかの光の温もりと共に
無限に広がる闇の中で漂う心
それを抱き締めるように…三鷹ゆいの奇妙な日記を見ていた。
「オカルト現象…」
茜は、額に手をあてながら考えながら
三鷹ゆいの遺品の中にあるパソコンを操作をしていた。
「お父さんは、娘さんの悩んでる事とか分かりませんか?」
「いや…俺は、何も聞いた事ないんで、娘とは連絡取る事もあんまりなかったから…」
茜の事務所には、白髪混じりの50代の男性がソファに座りながら茜に、そう語りかけるとポケットからスマートフォンを取りだし茜に渡した。
「娘のスマートフォンですけど、如月夕美っという人何回か連絡してるようで…娘が死んだ事に関係ないでしょうか?」
「今回、その如月夕美さんからの依頼で娘さんの死因を調べる事になりまして」
「そうなんですか…」
「彼女も三鷹ゆいさんの死因を知りたいと思ってるですよ。お父さんは、娘さんの自殺するような原因を知ってますか?」
「いいえ…娘は、自殺するような弱い子ではないですよ…あの子が小さな頃、母親が亡くなってから命の大切さを知ってるし…それに!」
三鷹ゆいの父親は、パンフレットを出すと机に置く
「娘は、自殺など無くす為にボランティアで、心に悩みがある人の相談に乗ってあげてたりしてた子だから…自殺するとは思えないです!」
「そうですか…そのパンフレットを見てもよろしいでしょうか?」
「どうぞ、それに娘の遺体を見た時…」
三鷹ゆいの父親は、泣きながら茜を真剣に見ると
「警察は、自殺だと言うけど娘の最後を姿を見て…とても自殺だと思えない!!」
「お父様の気持ち…分かります…娘さんの死因を調べるのに、ご協力をお願いできませんでしょうか?」
「はい、何でも協力させてください。」
三鷹ゆいの父親は、茜から渡された書類にサインをする。
「どんな結果か待ってるか分かりませんが、本当に宜しいでしょうか?」
「はい、宜しくお願いします。」
この世界には、全てが真実と言うものに、それが真実とは限らない
ねつ造、誤解、隠ぺいによる作られた真実もある…
あとから知る真実の世界を茜は、嫌になるぐらい経験をしてきたのかもしれない
この世界は、とても雑なやり方て構築されているから
不安定で安心感がないのかもしれない
誰もが、そんな憤りを感じながら生きているのかもしれない
茜は、三鷹ゆいの父親に深く会釈すると三鷹ゆいの父親も深く挨拶をする。
茜は、三鷹ゆいの父親が事務所を出ていくのを見送り
誰も居ない事務所の中で、誰かに語りかけるように呟く
「私は、この事件の真実を知りたい…どんな結末でも、あなたならどう思う?」
何も返答もないまま茜は、軽く苦笑する。
「私も、あなたの影響で、馬鹿な人間になったのかもしれないわね…」
三鷹ゆいの父親から渡された。
三鷹ゆいのスマートフォンとパンフレットを見つめながら
しばらく沈黙のまま考えていた…
微かに風は冷たく流れていく夜の街で、俺は歩いていた。
如月をアルバイト先まで送って行くと孝平は、ちょうど休憩時間だった。
しばらく如月と孝平と話をしながら
今度、キャンプしようと言う孝平の陽気な提案に戸惑いながら行くと言った。
あの白蛇の池の村から孝平とあんまり話す事はなかったけど、以前のように陽気に話しをした。
俺は、ぼんやりと賑やかな街を歩きながら
とある人を見かけた…槇だった。
槇は、なぜか賑やかな街の影に佇み何かを見ていた。