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【 天宮先輩 】

 九条先輩との電話を終えた僕は急いで仕度をするが間に合うはずもなく、結局は遅刻となってしまった。

 しかし、学校に着いた僕の考える事は七塚先輩ばかりで授業など頭に入る訳も無かった。

 昼休み、僕は七塚先輩の居るクラスに向うが教室に姿は無かった。


(また、帰ったのかな……)


 そんな事を思いながら教室を後にしようと廊下へ出た時、ドカっと音がすると同時に僕は何かとぶつかった様に突き飛ばされた。僕は尻餅をつき腰を擦りつつ、体を起そうとしていると目の前には同じ様に廊下で涙目に腰をついている女の子が居た。


「にゃぅ~ 痛いです~」

「あ、天宮先輩?」


 出会い頭にぶつかった女の子は天宮先輩だった

 チャームポイントの大きな青いリボンをまるで猫耳の様にピコピコとさせながら瞳を潤ませ頭を擦っていた。

 どうして、腰を打ったのに頭を擦っているのかはわからないけれど


(その前にリボンがなんで動くわけ?)


 そんな疑問を感じていると視線に気付いたのか僕と視線が合った天宮先輩は明るい表情を浮かべる


「あっ、ペットの桐崎君だぁ!」

「だから…… その呼び名はやめて下さい」

「やっぱりダメ?」

「ダメです!」

 すると、天宮先輩は『うーん』と顎に人差し指を当てながら首を傾げ

「じゃぁじゃぁ、桐君とか?」

 思いついたのは何ともシンプルなものであったが、天宮先輩は笑顔で言っていた

「まぁ…… それなら」

 天宮先輩は体を起すと不思議そうな面持ちで僕を見つめ

「ところで、桐君は何でここに居るの? 二年の教室だよ」

「え? まぁ」


(少し前まで、自分の教室にすら辿り着けなかった人に言われるとは……)


 天宮先輩に対する素朴な疑問などさて置き、僕も質問を返すと


「あのぉ~ 天宮先輩」

「ほぇ?」

「七塚先輩を見ませんでした?」

「七ちゃん?」

 僕の問いに天宮先輩は再び首を傾げながら

「う~ん」

「見てないですか……」

「あっ、そう言えば!」

 天宮先輩は何かを思い出したのかハッとした様子で口を開く

「し、知ってるんですか?」

「校長室の近くで見た気がしたような、しないような……」

「……どっちですか?」

「やっぱり覚えてないかも♪ にゃはは」


 そう言いながら天宮先輩は笑って誤魔化す

 証言が正しいかどうかなんて僕にはわからない


(校長室って…… 七塚先輩は何を?)


 僕はもう一度天宮先輩に聞き返す


「じゃぁ、教室には来ました?」

「うん、さっき来てたよ」


(え? さっき?)


「わかりました! ありがとうございます!」

 天宮先輩の言葉に僕の体は自然と動いていた

「ふぇ? なんだかわからないけど、またね♪」


 教室に背を向け後にしようとする僕に天宮先輩は笑顔で言った


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