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【 疑問 】

 僕が話す七塚先輩との出来事を九条先輩は黙って聞いていた

 話を聞き終えると九条先輩は何か納得した様に


「ふ~ん」

「そういうことなんです」

「でも、話を聞く分には涼君を避けている様に思えないけどなぁ」

 九条先輩は『うーん』と首を傾げながら疑問の声を返す

「えっ?」

「まぁ、何も言わないで突然いなくなっちゃったのはわからないけど、どうして涼君にぬいぐるみを買ってあげていたのかなぁ? それも同じやつ」

 今度は僕の目を真っ直ぐ見返しながら問い返してくる

「そう言われても……」

「私が思うにそれって何かを伝えたかったんじゃないの?」

「何って?」

 こんな僕の返答に九条先輩は少し呆れた顔をしながら

「はぁ…… あの七塚が人に物を買ってあげるなんて事だけでも珍しいのに、それもお揃いなのよ? 何かを言いたかったに決まっているわ」

「それがわからないから悩んでいるんです」

「そんなの私だってわからないわよ」

 九条先輩は溜息を吐き掌を返しながらに言い返す

「そう…… ですか」

 僕の肩に手を添える九条先輩は笑顔で言う

「大丈夫、いつでも私のところに来なさい。今度は私が貰ってあげるから♪」

「もらうもらわないとか、僕は物ではないです……」

「だって涼君、おもしろいからね」

 そう言いながら僕を見る九条先輩はからかう様に笑う

「勘弁してください……」

 すると、九条先輩はベンチから立ち上がると

「さてと、そろそろ休み時間終わるみたいだし行くわ」

「え? はい、そうですね」

「じゃぁね、涼君も早く教室に戻ったら?」


 僕に背を向けながら問い掛ける九条先輩

 まだベンチに腰掛けたままの僕は九条先輩の背中に言葉を返す


「もう少しだけ、ここに居ます」

「そう? サボるんじゃないわよ?」

「わかってますよ!」

「そんじゃねぇ~♪」


 手を振りながら捨て台詞を言い残し九条先輩は校舎の中へ入っていった

 また一人になった僕は九条先輩との会話を思い出しながら考えていた。


(何かを伝えようとしていた? ……何を?)


 そんな事を考えるが僕には答えが見つからない。

 まず、七塚先輩がいまどこに居るのかすらわからないのだから。

 七塚先輩が居なくなってから一日そこらしか経っていないのに、一ヶ月も経っているような感覚になってしまうのは何故なんだろう。出会ってから半年も経っていない。

 ただ、僕の日常にある七塚先輩の存在があまりにも大きかったのかもしれない。

 そりゃぁ、七塚先輩が居ればいつも僕の周りに災難ばかりが集まってくるし、迷惑極まりない無茶振りだって日常茶飯事である。でも、僕は嫌だと言っても七塚先輩に『命令』された事はやってきた。

 いつしか『命令』される事さえ楽しいと思える様になっていた。

 こんな行為を嬉しく思ってしまっている僕も変になっているのかもしれない。


 じゃぁ、七塚先輩は一体僕のことをどう思っていたんだろうか?

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