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第1話:頭痛が痛い大作戦!義理の兄を偽装彼氏に仕立て上げろ!

【どうも、Bagsenseiです!】

最近のラノベのタイトルが長すぎて、タイトルだけで原稿用紙の半分が埋まるんじゃないかと震えている今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。

今回の新作ですが、一言で言うと「美少女の自爆」です。

「偽装彼氏」なんて、ラブコメ界ではフラグ(恋に落ちる合図)でしかないのに、それに気づかない主人公のマミオちゃんが不憫でなりません。書きながら「あーあ、やっちゃったよこの子」とニヤニヤが止まりませんでした。

ちなみに、義理のお兄ちゃんのヒロ君ですが、私の脳内では某プラモデル好きの無気力男子をイメージしています。無気力な奴ほど、いざという時の破壊力(イケメン度)が高いのは宇宙の真理ですよね。

それでは、高慢ちきなお嬢様が、地味系義兄にボコボコに(精神的に)される物語、開幕です!

お楽しみください!

「ごめんなさい……。でも、私たち、ただの良い友達でいるのが一番だと思うんです」

私ができる限り優しくて、相手を傷つけないように作った『女神の微笑み』を、目の前に立つ立派な体格の剣道部主将(高3)に向ける。

その言葉が口から出た瞬間、彼の広い肩は捨てられた子犬のようにガックリと落ちた。そして、消え入るような声で「ありがとう」と呟き、とぼとぼと去っていった。

えーっと、今月で何人目だっけ? まあいいや、二桁を超えたあたりから数えるのやめちゃったし!

こんにちは!私の名前は『イリス・マミオ(入巣まみお)』。泣く子も黙る『学園一の美少女』と称される女子高生です。

自分で言っててナルシストっぽい? でも、否定できない事実なんだから仕方ないじゃない!

シャンプーのCMオファーが来そうなほどツヤツヤの黒髪に、ちょっと小悪魔チックなパッチリとした瞳。そして……コホン! とにかく『完璧』なプロポーション!

そのせいもあって、私への告白の列は途切れたことがない。たとえ大雨で学校が水没したとしても、あいつら絶対ボート漕いで告白しに来るわよ!

でもね……私、全員フッてるの。

別に高慢ちきだとか、成層圏を突き抜けるほど理想が高いわけじゃないのよ? 笑顔で優しくお断りすることもあれば、しつこい奴には氷点下の冷たい視線を浴びせて逃げ出させることもある。

私の問題はね……『見ず知らずの男』と付き合いたくないってことなの!

ちょっと想像してみてよ。昨日今日会ったばかりの、表面しか知らない男と手を繋いだり、ご飯を食べたり、甘えたりするのよ!? ヒィィッ! 考えただけで全身に鳥肌が立つわ!

「はぁ〜、また学園の女神様はお断りになったのね」

背後から長いため息と共に、私の肩をポンポンと叩く手が。親友で悪友の『リナ』が、ニヤニヤとからかうような笑みを浮かべて近づいてきた。

「最近マジで疑い始めてるんだけど、マミオってば、今生で彼氏できるの? それとも、このまま悟りを開いて一生独身を貫く気?」

「それな」

もう一人の親友『ユキ』も便乗してくる。しかも、スマホの画面——彼氏とのラブラブツーショットをこれ見よがしに見せつけながら!

「見てよこれ、昨日タクヤくんに新しくできたカフェに連れてってもらったんだ〜。可愛くない? あんたもガード硬くしてたら、そのうち行き遅れるわよ!」

『行き遅れ』……その言葉は、毒矢のように私の胸のど真ん中にグサッと突き刺さった!

私は裏切り者の親友二人に口を尖らせる。

「うるさいっ! 私はただ、運命の人に出会ってないだけなの! だいたい……数回言葉を交わしただけの人と付き合うなんて、全然安心できないじゃない!」

「はいはい、選り好みお嬢様。気をつけてね、いつか孤独に心を蝕まれて、その辺の誰でもいいからって彼氏にしちゃう日が来るかもよ〜?」

リナはケラケラ笑いながらユキと腕を組み、教室へと戻っていった。廊下に一人、イライラした私を残して。

ギリリリ……ッ!

考えれば考えるほど悔しい! なんであいつらは、世話を焼いてくれて、甘やかしてくれて、おまけにSNSでマウント取れる彼氏がいるわけ!?

私だって女の子よ! 私だって『ねぇダーリン、このケーキあ〜んして?』みたいなモメントが欲しいのよ!!

もう、友達への嫉妬で目がメラメラ燃えそう。孤独感と『誰か』のそばにいたいという欲求が込み上げてきて、自分の髪を掻き毟りたくなった。

「あーもう! 彼氏欲しーーーいっ!!」

思わず小声で叫んでしまった。(でも、木に止まっていたスズメが驚いて逃げるくらいにはデカい声だった)。

でも、告白してくる男と付き合うのは絶対にイヤ! じゃあ、どこにそんな男がいるの?

・見ず知らずの男じゃない。

・性格をよく知っている。

・私の言うことを何でも聞く。(ここ超重要!)

・そして何より……信頼できる!

私の脳内スーパーコンピューターがフル稼働して検索をかけたその時——突然、一人の男の顔がピコーン!と閃いた。

地味で、平凡で、可もなく不可もなく。国宝級のイケメンではないけれど、決してブサイクでもない。温厚で素朴な人を好む一部の女子から見れば、標準スペックの顔立ち。

その男とは……私の兄、『ナマ・ヒロ(菜間ひろ)』!

ちょっと待って! そこ! 変な想像はやめてよね!

血の繋がった実の兄じゃないわよ。ヒロは、私がまだ小さい頃に両親が孤児院から引き取った『養子』なの。

家での彼の立ち位置は……えーっと、ちょっと特殊というか。私の二人の実姉、『ナノ姉ちゃん』と『ミオ姉ちゃん』は、彼のことをミミズか何かのように毛嫌いしてるのよね。「ウチの由緒ある家柄にふさわしくない下等な奴」だって。

でも、私はそんなふうに思ってないわよ! 私にとってヒロは、時々頼りになる(そして大抵はからかいがいのある)ちょっと鈍感な奴、って感じ。

「そうだ! あいつが一番パーフェクトじゃない!」

パチン! と指を鳴らす。私の目は宝の山を見つけたようにキラキラと輝いていた。

天才的な計画が頭の中で組み上がっていく。ヒロに私の『偽装彼氏』になってもらえばいいのよ!

そう! 100日間だけの偽の彼氏! これであの憎き親友どもに見せつけてやるの! イリス・マミオは砂漠のように干からびた女じゃないってことをね! しかも相手はよく知ってるヒロだから、リスクはゼロ! 完璧!

でも待って……最大の問題がある。ヒロ、高校に通ってないじゃん!

両親は「血の繋がらない養子に高い学費を払うのは勿体ない」って言って、彼を家に置いて雑用ばかりさせてるのよね。

いくら彼氏として紹介するにしても、「学校に行ってなくて、ウチの家事手伝いやってます」なんて言ったら、リナとユキに「彼氏妥協しすぎワロタ」って死ぬほど煽られるに決まってる!

「こうなったら……私のMAX甘えん坊スキルを解放するしかないわね!」

……

【入巣邸】

その日の夕方、私は猛ダッシュで家に帰り、リビングでアールグレイを嗜む両親の元へスライディング土下座の勢いで突っ込んだ。

深呼吸をして、目に涙を溜め(もちろん目薬なしの自力で!)、お父様の腕にガシッと抱きつく。

「お父様ぁ〜〜っ! お母様ぁ〜〜っ!」

声帯が許す限り、一番甘ったるい猫撫で声で鳴いてみせる。

「今度は何だ、マミオ。そんなに甘えて、また新作のブランドバッグでも欲しいのか?」お父様は眉を上げて、全てお見通しだという顔をした。

「違いますぅ! マミオはただ……ヒロお兄ちゃんが可哀想だなって!」

いよいよアカデミー賞主演女優賞モノの演技の開幕である。

「お兄ちゃん、ずっと家に引きこもってて寂しそうだし、学歴もないなんて将来お先真っ暗じゃないですかぁ! マミオ、そんなの見てられません! ヒロお兄ちゃんを、マミオと同じ高校に通わせてください! ねぇ〜! 学校でマミオのボディーガードもしてくれますよ! ウチの学校、変な男がうじゃうじゃ寄ってきて危ないんですぅ!」

パチパチと瞬きをして、キラキラビームを両親に放つ。

二人は無言で顔を見合わせた……。や、やばい、調子に乗りすぎた? 怒られる!? と少し焦ったが——。

「ふむ……それも悪くないな」

お父様がゆっくりと頷いた。その口元に、ほんの一瞬だけ奇妙な笑みが浮かんだ。

「そうですね、あなた」お母様もスムーズに話を合わせる。「ヒロにも少しは社会の空気を吸わせた方が、ウチの家門の『将来』のためにも役に立つでしょう……。いいわ、明日からあなたと同じ高校に通えるように、お母様が手配してあげる」

えっ? そんなにあっさり!?

私は目をぱちくりさせた。反対されるどころか、怒られることもなく、不気味なくらいスムーズに決まってしまった。

——この時の私は知る由もなかった。優しそうな両親の笑顔の下に、とんでもない裏計画が隠されていることを……。

そう、その計画とは『もし娘の誰かが相手を見つけられなかったら、世間体を保つために、この養子を婿にしてしまえ!』というものだったのだ! もちろん、当時の私はそんなこと微塵も気づいていない!

「やったー! お父様、お母様、だーいすきっ!」

私は二人の頬に思いっきりキスをしてから、ドタバタと階段を駆け上がった。次なる目的地……ヒロの屋根裏部屋へ!

……

バーーーン!!

私は遠慮という言葉を辞書から投げ捨て、屋根裏部屋のドアを勢いよく蹴り開けた。

そこには、ボサボサ頭に分厚い黒縁メガネをかけ、目の前のロボットプラモデルに全集中している青年の姿が。彼は死んだ魚のような目でこちらを振り返った……。

そう、彼こそが本日の(強制)ヒーロー、ナマ・ヒロである!

「ヒロお兄ちゃん! そのオタクっぽいおもちゃで遊ぶのはやめて、今すぐ私の話を聞きなさい!」

私は腰に手を当てて偉そうに言い放った。

ヒロは深〜い深〜いため息をつき、ニッパーを置いて椅子をこちらにくるりと向けた。

「今度は何ですか、マミオお嬢様。今日は下着の手洗いですか? それともセパタクローの蹴り込みの的にでもなればいいですか?」

「失礼ね! 私、そんなワガママお嬢様じゃないわよ!」

私はキャンキャン吠えながら彼に歩み寄り、バンッ!と机を叩いた(プラモデルがビクッと揺れた)。

「よーく聞きなさい! 私、たった今……お父様とお母様にお願いして……いや、『激しいバトル』を繰り広げて、あんたを私と同じ高校に通わせる許可をもぎ取ってきたのよ! 明日から、あんたは高校2年生の編入生よ!」

ヒロの死んだ魚の目が、わずかに見開かれた。

「は? 高校? お嬢様と同じ? なんで俺がそんな所に行かなきゃならないんですか。俺は家でガンプラ作ってるだけで十分幸せなんですけど」

「つべこべ言わずに取引の条件を聞きなさい!」

私は顎をツンと上げ、強い意志を込めて彼を睨みつけた。

「私がせっかくアオハル(青春)という新しい命を吹き込んであげたんだから……その分、しっかり体を張って恩返ししてもらうわよ!」

「恩返し? 何をすればいいんですか? カバン持ち? パシリ? それとも告白してくる男たちを片っ端から物理的に粉砕しろと?」

彼は相変わらずの無表情で聞いてくる。

「違うわよ!」

私は大きく息を吸い込んだ。いざ口に出そうとすると、顔がカァッと熱くなるのを感じる。

「あんたには……私の彼氏になってもらうわ! 丸々100日間ね!」

屋根裏部屋に、完全なデッド・サイレンスが訪れた。

ヒロはパチパチと瞬きをし、まるで地球外生命体でも見るかのように私をマジマジと見つめた。

「……頭、湧いてます?」

とてつもなく平坦な声で彼は言った。

「俺が? あんたの彼氏? 告白の行列ができる学園ナンバーワン美少女様が、俺みたいな価値のない養子を捕まえて何するつもりですか? 階段上ってくる途中で頭でもぶつけました?」

「口が減らないわねっ!」

私は彼の腕を思いっきりつねった。「いっ!?」とヒロが声を上げる。

「私には私の事情があるの! ただ友達に自慢するための『偽装彼氏』が欲しいだけ! マジで愛し合えなんて一言も言ってないわ! たったの100日。期限が来たら解散、元の関係に戻る。これは、あんたを高校に行かせてあげた大恩人からの『絶対命令』なんだからね!」

ヒロはつねられた腕をさすりながら、眉を寄せてしばらく考え込んでいたが……やがて、心底面倒くさそうにため息をついた。

「やれやれ、とんだ貧乏くじだ……。まあいいでしょう。あなたがそこまでして旦那様たちに頭を下げてくれたのなら、その茶番劇に付き合ってあげますよ。100日間だけ、ですね?」

「そう! たったの100日よ!」

勝った! 私は勝利のドヤ顔を浮かべた。これで計画の第一段階はクリアよ!

「それじゃあ、交渉成立ということで……」

ヒロはゆっくりと立ち上がった。普段は地味で猫背な彼だけど、こうして至近距離で立つと、私よりずっと背が高い。それに、なんだか背中も広く見えて……あれ? なんで私、急にこいつの体格とか意識してんの!?

そんなバカな考えを頭から振り払う間もなく——ヒロはスッと私の前に手を伸ばし、彼の大きな手で、私の髪を優しく撫でたのだ。

「よろしく頼むよ……俺の『マミオ』」

その声は、さっきまでの無気力で生意気な死んだ魚の兄からは想像もつかないほど、低くて、甘くて、優しかった。

口元に浮かべた薄い微笑みと、こちらをじっと見つめるその瞳に……私の心臓は、ドクンッ! と大きく跳ね上がった。

トクトク……トクトク……トクトク……ッ!!

ば、バカなっ!? ただ頭を撫でられて、いつもみたいに『お嬢様』をつけずに名前を呼び捨てにされただけなのに、なんでこんなに心臓が爆音で鳴ってんのよ!?

私は慌てて彼の手をバシッと払い除けた。顔面が沸騰して、チョコクリスピーみたいに弾け飛びそう!

「な、ななな、何バカなことしてんのよ! この変態! エロガッパ! まだ演技スタートの合図なんて出してないわよ!」

ヒロは眉を上げ、いつもの人を食ったようなウザい笑顔に戻った。

「おや、事前のリハーサルですよ。いざ彼氏彼女になった時によそよそしい態度をとったら、お友達にバレて俺の演技力不足を責められるでしょう?……それとも、照れちゃいました? マミオお嬢様」

「てっ……照れてなんか、ないわよ! 誰が照れるもんですか! このナルシスト! 明日は遅刻しないように、ちゃんと準備しときなさいよねっ!」

私は顔を真っ赤にして捨て台詞を叫ぶと、くるりと踵を返し、屋根裏部屋から猛ダッシュで逃げ出した。

バタンッ!!

勢いよくドアを閉め、壁に寄りかかる。外に飛び出していきそうなくらい激しくタップダンスを踊っている左胸を、両手でギュッと押さえた。

まだ始まったばかりなのに……あいつ、演技が自然すぎじゃない!? さっきのあの笑顔、何なのよぉぉぉっ!!

私……なんだか自信がなくなってきた。

この100日間の間に……抜け出せないほど沼に落ちて、本気で恋をしてしまうのは——彼の方なのか……。

それとも、『私』の方なんじゃないかって!?

【次回へ続く!】


第1話を最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

……いやー、最後のヒロ君、ズルくないですか?

あんな死んだ魚の目をしてた奴が、いきなり「俺のマミオ」とか。書いてるこっちの心臓がバックバクですよ! マミオちゃんが顔面チョコクリスピーになるのも無理ありません。

というか、一番怖いのはご両親ですよね。

「将来のために〜」とか言いながら、完全にヒロ君を「最終決戦用婿養子兵器」としてキープしてる感が満載です。イリス家、闇が深すぎる……。

さて、次回はついに学校編!

偽装彼氏(中身はハイスペック義兄)を連れ出したマミオちゃんに、リナとユキの毒舌コンビがどう食いつくのか。そして、ヒロ君を見下している「あの姉たち」の影も……?

「続きが気になる!」「マミオちゃん、チョロすぎw」と思った方は、ぜひ下の【☆☆☆☆☆】からポイント評価や、ブックマークをポチッとお願いします! 作者が嬉しくて屋根裏部屋でガンプラ踊りを踊ります。

ではまた、次の更新でお会いしましょう!

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