冒険者登録
夕方の光が、家の中をやわらかく染めていた。
「ただいま」
リビングに入ると、母親とココネがいた。
少しだけ間を置いて、俺は口を開く。
「ねぇ、俺……明日からもう冒険者になる」
空気が止まる。
「え!?もう!?それは早いんじゃないの?」
母親の驚きと心配がそのまま声に出る。
「そうだよ……もっと一緒にいたい」
ココネの小さな声が続く。
胸に刺さる言葉だった。
けれど、俺は視線を逸らさず言う。
「……いや、俺の決意は変わらないよ。明日、行く」
静かな決意が、そこにあった。
ココネは一瞬俯き、やがて顔を上げる。
「……お兄さん……いや、分かった」
少しだけ迷いながらも、まっすぐ見てくる。
「じゃあ私が2年後に覚醒したら――一緒のチームに入れて?」
「あぁ、分かった。約束する」
その言葉に、ココネは少しだけ安心したように表情を緩めた。
――翌日。
待ち合わせ場所に行くと、二人はすでに来ていた。
「2人とも。じゃあ探索協会に行こう」
「おう!」
「えぇ」
三人で並んで歩き出し、やがて探索協会に到着する。
中に入ると、受付の女性が声をかけてきた。
「ようこそ探索協会へ。ここでは冒険者登録を行い、カードをお渡しいたします。登録には名前、固有能力、職業を記載してください」
さらに説明が続く。
「このカードには討伐した魔物や攻略履歴が記録されます。魔界に繋がる場所での討伐――悪魔や竜人族も含めて記憶され、その情報を元に冒険者ランクが決まります。ランクは上からS・A・B・C・D・Eの6種類です」
説明を聞き終え、俺は二人を見る。
「分かった。2人とも、それでいいよな?」
「おう!」
「うん」
三人で用紙に記入する。
名前。固有能力。職業。
それぞれの未来を刻むように書き終え、受付へ差し出す。
「お願いします」
「えぇ、お預かりいたします」
受付の女性が書類に目を通す。
「……え?」
小さな声が漏れた次の瞬間、抑えきれない驚きが弾けた。
「ええ!!ゴットランクの能力!?」
その一言で、場のざわめきがぴたりと止まる。
「それに、お二人もレジェンドランク!?」
続けて叫んだことで、今度は一斉に視線がこちらへ集まった。
ざわざわと波紋のように広がる声。
「なんだ?」「ゴットランク?」「嘘だろ……」
一瞬の静寂から一転、場は騒がしさを取り戻していた。
「あ……!す、すみません!」
受付の女性は慌てて謝り、手続きを急いで進める。
やがてカードが手渡された。
「こちらになります」
受け取ったカードは軽い。
だが、その中にこれからの全てが詰まっている気がした。
三人でその場を後にする。
外に出て、剣河が言う。
「どうする?このままダンジョン行くか?」
「あぁ、俺は行く」
「私も行くわよ」
迷いはなかった。
スマホで最も近いダンジョンを探す。
「ここなんてどうだ?」
そうして示したのは推定レベル5の低ランクのダンジョンだった。出てくる魔物はオーク系。
「良いと思うぜ」
「私もそれで良いと思う」
2人の確認を取りダンジョンに向かうのだった。




