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ダンジョンがありふれる世界で最強の固有能力に目覚め組織を作ったら助けた子供の愛が重いんだけど  作者: アルプス


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6/11

遭遇と運命の起点

ダンジョン実習を終えた帰り道。

戦いを共にしたことで、三人の距離は確かに縮まっていた。


軽口を叩き合いながら歩くその時間は、ほんの少しだけ心地よいものに変わっていた。


そして、そのまま一日は終わる――はずだった。


だが、頭の中には別の問題が浮かび上がっていた。


(進路……どうするかな)


卒業はもうすぐそこまで来ている。

選択肢は大きく二つ。


さらなる高みを目指すために学校へ進学するか。

それとも探索協会に登録し、冒険者として生きるか。


(どっちも間違いじゃないんだよな……)


考え込んでいると、不意に声がかかった。


「おい、どうした?なんか悩んでる顔してるぞ」


「そうよ。何かあるなら聞くわよ?」


振り向くと、雷華と剣河がこちらを見ていた。


「ああ……ちょっと進路でな」


そう答えると、二人は少し驚いた顔をした。


「え、学校のスカウト来てないのか!?」


「いや、来てるけど……」


苦笑いが浮かぶ。


「正直、あんまり乗り気じゃなくてな」


ゴットランクの能力を覚醒してからというもの、いくつもの学校から声がかかっていた。

どこも名門、どこも好待遇。


けれど――


(なんか違うんだよな……)


胸の奥に、引っかかるものがある。


そんな話をしながら歩いているうちに、いつの間にか二人と別れ、気づけば一人になっていた。


そして――道を間違えた。


(……あれ、ここどこだ)


気づけば裏路地。

人気はなく、空気が淀んでいる。


引き返そうとした、その時だった。


「おらおら!ははっ、こいついじめがいがあるぜ!!」


嫌な声が響く。


視線を向けた先。


小さな子供が、数人の大人に殴られ、蹴られていた。


――その子と、目が合う。


一瞬だった。


だが、それで十分だった。


「……っ」


次の瞬間、彗聖は動いていた。


手をかざす。


空気が凍る。


男たちは抵抗する間もなく――氷に閉じ込められた。


完全な氷像。


「大丈夫か!」


すぐに子供の元へ駆け寄る。


状態は最悪だった。


(まずい……このままだと)


迷いはない。


「――治す」


“聖”の力を解放する。


優しく、だが確実に。


光が包み込み、壊れかけた命を繋ぎ止める。


すると――


傷が消えていく。

血が止まり、呼吸が戻る。


やがて。


「……ん……ここ、は……?」


子供が目を開けた。


「大丈夫か?」


「……え?」


ゆっくりと体を動かし、驚いた顔をする。


「痛く……ない……」


「ああ、治した」


その言葉を聞いた瞬間、子供の目から涙が溢れ出した。


張り詰めていた何かが、ようやくほどけたようだった。


「……よかった……」


その姿を見て、彗聖は少しだけ息を吐く。


「名前は?」


「……水主、ココネ」


「親は?」


その問いに、ココネは震える手で、凍りついた男たちを指さした。


「……あいつらに……殺された」


――その瞬間。


静かに、怒りが灯る。


氷よりも冷たい感情が、胸の奥で広がる。


「……そうか」


短く呟く。


「これからどうする?警察に連絡するか?」


だが、ココネはすぐに首を横に振った。


「……いや。警察、信用できない」


はっきりとした拒絶だった。


「……じゃあ、どうしたい?」


少し間を置いて、ココネは言った。


「……お兄さんと、一緒にいたい」


思わず言葉を失う。


(……え?)


予想していなかった答え。


「いや……それは……」


制度、手続き、責任。

頭の中に現実が押し寄せる。


「……とりあえず、聞いてみるか。ちょっと待っててくれ」


そう言って、彗聖はスマホを取り出した。


「もしもし、母さん。実は――」


事情を説明する。


しばらくの沈黙の後、返ってきたのは意外にもあっさりとした言葉だった。


『……分かった。あんたが決めたならいいよ。ただし、ちゃんと手続きはしなさい』


「……ありがとう」


通話を切る。


だが問題はまだ残っている。


(国への申請か……どうする)


その時、ふと思い出す。


(……そうだ)


ゴットランク覚醒時に渡された連絡先。


政府関係者――鴉野。


すぐに発信する。


「……もしもし。氷輪です」


『ああ、氷輪さんですね。お久しぶりです。今回はどのようなご用件でしょうか』


落ち着いた声が返ってくる。


彗聖は一息で状況を説明した。


沈黙が一瞬流れる。


『……情報量が多いですが、理解しました』


淡々とした声。


だが、その裏には確かな対応力があった。


『すぐに警察を向かわせます。加害者はこちらで処理しましょう』


そして。


『子供の件についても問題ありません。あなたが保護できるよう、こちらで正式に手配します』


「……助かります」


通話を切る。


ふと横を見ると、ココネが不安そうにこちらを見ていた。


「……大丈夫だ」


そう言って、軽く頭に手を置く。


「ちゃんと、一緒にいられるようにする」


その言葉に、ココネは小さく頷いた。


しかし彗聖は気付いてないその子の瞳に闇が宿ってる事に…

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