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ダンジョンがありふれる世界で最強の固有能力に目覚め組織を作ったら助けた子供の愛が重いんだけど  作者: アルプス


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制御の練習

その後も彗聖は何度も回復を繰り返した。

傷の深さ、範囲、流す力の量――一つひとつを意識しながら調整していく。


最初は手探りだったが、回数を重ねるごとに“感覚”が形になっていく。


(……なるほど、こういうことか)


ただ力を出すのではなく、“通す”。

押しつけるのではなく、“馴染ませる”。


そうしているうちに、能力の扱いが少しずつ見えてきた。


――そしてその日の夜。


部屋の中、静かな空気の中で、彗聖は一人座っていた。


(明日はダンジョン……なら、もう一段階踏み込むか)


目を閉じ、意識を内側へ沈める。


今度は外ではなく、“内側”。


自分の身体の中に流れる魔力を、氷として捉える。


(氷を外に出すんじゃない……中で“保つ”感じ)


冷たい感覚が、血流のように巡る。

暴れればすぐに暴走するそれを、丁寧に、慎重に整えていく。


最初はぎこちない。

だが――


時間が経つにつれ、氷は“凶器”から“道具”へと変わっていく。


1時間以上が経過した頃。


(……いけるな)


氷は静かに、確実に制御されていた。

暴れることもなく、ただそこに存在し続けている。


「よし……今日はここまでにしよう」


軽く息を吐く。


(明日は初めてのダンジョンだしな)


そう呟き、彗聖は眠りについた。


――翌日。


教室に集まった生徒たちの前で、先生が口を開く。


「はい、今日は実戦訓練としてダンジョンに行ってもらう」


その一言で、空気が一気に引き締まる。


「前にも話したが、ダンジョンとは魔界の瘴気が具現化し、魔物が生息する区域のことだ」


淡々とした説明が続く。


「入る際には難易度を選択する。脅威度は下からノーマル、悪夢、地獄の三つだ」


ざわめきが広がる。


「攻略すれば、選んだ難易度に応じた報酬が得られる」


そして先生は軽く息をつき、締めくくった。


「以上だ。各自チームを組め。あぁ、参加は自由だ。戦闘系がない者は無理に来る必要はない。ただし――」


一瞬だけ視線が動く。


「回復や支援系は基本参加だ。以上、好きなやつと組め」


その言葉が終わった瞬間だった。


一斉に人が動いた。


「なぁ氷輪!俺と組まないか!?エピックの剣体術だ!」


「私と組みましょう!レジェンドの雷撃の魔導士よ!」


「俺はレジェンドの剣聖だ!一緒に行こうぜ!」


一気に距離が詰まる。


(……来たな)


苦笑しつつも、彗聖は冷静に考える。


(バランスだな……前衛と後衛、それに支援)


悩みに悩んだ末、二人を選んだ。


レジェンドスキル『雷撃の魔導士』。

そしてレジェンド職業『剣聖』。


「……この二人でいこう」


その言葉に、選ばれた二人は表情を明るくする。


一方で、選ばれなかった者たちは露骨に肩を落としていた。


――そして、ダンジョンへ向かう道中。


自然と自己紹介が始まる。


「じゃあ私からね」


先に口を開いたのは、凛とした雰囲気の少女。


「私は最上 雷華。固有能力はレジェンドランク『雷撃の魔導士』。職業はレジェンド『雷の導き』よ。よろしく」


雷のように真っ直ぐな声音だった。


「次は俺だな」


隣の少年が軽く笑う。


「俺は佐久間 剣河。固有スキルはレジェンド『剣人の流剣者』。職業はレジェンド『剣聖』だ。よろしくな」


いかにも前に出るタイプの戦士。


そして――


「二人ともよろしく。俺は氷輪 彗聖」


一拍置いて、続ける。


「固有能力はゴットランク『氷聖』。職業はユニーク『氷聖の支配者』だ」


一瞬、空気が止まる。


「お、おう……!よろしくな!」


「ええ、よろしく」


驚きを飲み込みながらも、二人はしっかりと応じた。


短いやり取りだったが、それだけで十分だった。


――この三人なら戦える。


しばらく歩き続けると、空気が変わる。


重く、淀んだ気配。


視界の先に、それはあった。


ぽっかりと口を開ける“異界”。


「……ここがダンジョンか」


初めて見るそれは、まるで世界に空いた傷口のようだった。

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