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ダンジョンがありふれる世界で最強の固有能力に目覚め組織を作ったら助けた子供の愛が重いんだけど  作者: アルプス


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3/11

回復能力訓練

昨日の反省は、しっかりと胸に刻まれていた。

あの一撃は“強さの証明”というより、“制御不足の露呈”だ。


(今日は出力じゃなくて制御だな……回復と支援に集中しよう)


彗聖はそう決めて、訓練場へ向かった。


グラウンドではすでにクラス全員が集まっており、担当教師の指示のもと、それぞれの固有能力に応じて三つのグループに分かれていた。


物理系固有能力――剣や身体能力を強化する者たち。

魔法系固有能力――属性や現象を操る者たち。

そして回復・支援系固有能力――味方を助け、戦況を整える者たち。


「各グループごとに訓練を開始しろ。自分の役割を理解することが重要だ」


その言葉と共に、訓練が始まる。


彗聖は迷わず、回復・支援系のグループへと足を運んだ。


(いきなり攻撃系をやるのは危険すぎるしな……まずはコントロールだ)


支援グループでは、すでに簡単な訓練が始まっていた。

物理系の生徒たちが軽く模擬戦を行い、その中でできた傷を回復する――そんな実践形式の内容だ。


「よし、次のペアいけ!」


掛け声と同時に、二人の物理系の生徒が打ち合いを始める。

剣と剣がぶつかり、鈍い音が響く。


やがて一方の腕に浅い切り傷ができた。


「そこまで!回復班、前へ!」


その合図で、支援系の生徒たちが動く。


彗聖も一歩前に出た。


(まずは……“聖”の力)


目を閉じ、意識を集中させる。

昨日感じ取った能力の感覚を、今度は丁寧にすくい上げるように。


(回復は優しく、流すように……出しすぎるな)


手をかざすと、淡い光が生まれる。

それは氷の冷たさとは違う、静かで澄んだ温もりを帯びていた。


ゆっくりと、その光を傷口へと向ける。


すると――


傷が、みるみるうちに塞がっていく。


皮膚が再生し、血が止まり、まるで最初から何もなかったかのように。


「……すご……」


誰かが小さく呟いた。


(よし……今度は上手くいった)


内心で安堵する。


昨日のような暴発はない。

出力も、範囲も、しっかり抑えられている。


だが――


「お、おい……なんか体、軽くないか?」


回復された生徒が戸惑った声を上げる。


その場で軽く体を動かし、驚いたように目を見開く。


「さっきより動きやすい……力も出やすい気がする」


(……あ)


彗聖は気づく。


(これ、回復だけじゃなくてバフも乗ってるのか)


“聖”の力は、ただ癒すだけではない。

対象を“強化する”性質も持っている。


しかも――


(これも増幅されてるな……)


自覚した瞬間、少しだけ背筋が冷える。


意図せずして、回復と同時に強化まで付与してしまっている。

だが今回は暴走ではなく、“制御された結果”だ。


「いいぞ、その調子だ!」


先生の声が飛ぶ。


「回復だけじゃない、支援も立派な力だ。戦いを支える重要な役割だぞ!」


その言葉に、彗聖は小さく息を吐いた。


(……なるほどな)


攻撃だけが強さじゃない。


守り、支え、引き上げる。

そのすべてを扱えるのが、自分の力。


氷の冷たさと、聖の温もり。

相反するようでいて、どちらも“支配する側”の力。


(……少しずつ、慣れていくか)


静かにそう思いながら、彗聖は再び手をかざした。

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