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ダンジョンがありふれる世界で最強の固有能力に目覚め組織を作ったら助けた子供の愛が重いんだけど  作者: アルプス


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2/11

才能の覚醒

その日の夜――。


昼間の出来事が、頭の中で何度も再生されていた。

氷輪 彗聖は机に向かい、静かに思考を巡らせる。いつものように、与えられたものをただ受け入れるのではなく、“どう使いこなすか”を考えるために。


(氷聖……それに氷聖の支配者か。強いのは間違いない。でも問題は扱い方だな)


そう結論を出しかけた、その瞬間だった。


――視界の奥で、何かが“起動”した。


文字が浮かび上がる。まるで現実に重なる別の層が開いたように。


【システム起動】

・システム起動に伴い才能を覚醒させます。…あなたの才能は増幅です。

・能力は固有スキルの能力上昇

——————


「……は?」


一瞬、思考が止まる。


「いや強すぎだろ!それに何だよこれ、システムって!」


静かな部屋に一人ツッコミが響く。


だが、落ち着こうとする理性よりも先に、本能が理解していた。


――これは、間違いなく“当たり”どころじゃない。


急いで能力を意識する。すると、まるで最初からそこにあったかのように“増幅”という感覚が馴染んでいた。


「……これ、やばくないか?」


思わず呟く。


「ただでさえゴットランクのスキルなのに、それをさらに強化するとか……反則だろ」


例えるなら、すでに完成された剣に、さらに切れ味を上乗せするようなもの。

いや、もはや剣というより“現象”に近い。


驚きは次第に処理しきれない領域に達し、やがて思考はぷつりと途切れた。


「……考えても無駄だな」


そう呟き、彗聖はそのまま眠りに落ちた。


――翌日。


教室に入った瞬間、空気が変わった。


視線。視線。視線。

まるで見えないスポットライトを浴びているようだった。


(……まあ、そりゃそうか)


昨日の結果を思い出し、軽く息をつく。


やがて授業が始まる。


「まずは皆さん、覚醒おめでとう」


先生が拍手をする。生徒たちもそれに続く。


「中にはゴットスキルを覚醒した者もいますが――」


そこで言葉が一瞬止まり、教室中の視線が一斉に彗聖へと向いた。


(うわ、来た……)


「今日は固有能力の使い方を学びます」


空気を切り替えるように先生が言うと、教室に明るいざわめきが広がった。


そのまま全員で体育館へ移動する。


広い空間に立つと、不思議と意識が研ぎ澄まされる。


「まずは自分の能力を確認しろ。無理はするなよ」


先生の指示に従い、目を閉じる。


呼吸を整え、意識を内側へ。


(俺の固有能力は氷聖……)


頭の中に、自然と情報が流れ込んでくる。


氷は攻撃、防御、行動阻害を大幅に強化。

さらに極めれば、“空間すら停止させる冷気”へと至る。


聖は回復と強化。

味方を底上げし、戦場全体を支配する力。


(……本当に、規格外だな)


目を開ける。


「……少しだけ試すか」


手をかざす。

ほんの軽く、力を引き出すつもりだった。


――バンッ!!


爆ぜるような音。


次の瞬間、放たれた氷が一直線に伸び、体育館の天井を貫いた。


(……え?)


一拍遅れて、現実が追いつく。


(やばすぎだろ!!ちょっと試しただけだぞ!?)


増幅。

その言葉が頭に浮かぶ。


(これ、完全に才能のせいだ……出力調整ミスった!)


気づいた時には、クラス全員の視線が突き刺さっていた。

静まり返った空間に、氷の軋む音だけが残る。


慌てて能力を解除する。


その瞬間、先生が駆け寄ってきた。


「おい、大丈夫か!?今の……いきなりとんでもない氷だったぞ!」


「す、すいません先生……体育館壊してしまって……」


思わず頭を下げる。


だが先生は首を振った。


「建物はどうとでもなる。それより……」


天井の穴を見上げ、苦笑する。


「いや、本当にすごいな。これがゴットランクか……」


「……俺も、正直びっくりしてます」


苦笑いしか出てこない。


その騒ぎを聞きつけ、他の教師たちも集まってくる。

あっという間に現場はちょっとした騒動になった。


結局、その日の授業は中断。


空いた天井から差し込む光が、どこか現実離れした光景を作り出していた。

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