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Prosthetic War Online  作者: FURU
1章 孤高()の傭兵

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9/14

others:誰かがお前を見ている

主人公では無い、とあるプレイヤーの視点です



─ 同地点 上空約1000フィート ─


キィィィィ…


 飛行練習中、たまたま見掛けた、降下して来る一つのドロップカプセル。

 ああいうのを見ると、このゲームがMMOであることを実感出来て何か好きだ。

 

 だからなのかは分からないけど、このゲームで初めて見た「他のプレイヤーがゲームに足を踏み入れる」その瞬間を、その場に留まって観察することにした。

 自分の視点では見ることの出来ない、ドロップカプセルの外観に興味が湧いたのも理由の一つ。


 友人にも呆れられることがある、ほんの気紛れ。


「ッ!?」


 だけど…外観を確認するだけの筈が、スコープ越しに見るドロップカプセルが空中分解したことで、私は運命に出会った。


「〈チェリハーパ〉…、使う人居たんだ。」


 ドロップカプセルが空中分解する瞬間だけでも驚きなのに、そのドロップカプセルの中から出てきたのは、私は「誰も使わない」と思っていた〈鈍亀〉。

 

(何にでも“好き者”って居るのね…。)


 普段の私なら、そう思った時点で興味を失う。

 だけど私は何故かそのプレイヤーが気になって、上空からの観察を続けていた。


 そして落下を耐えた〈チェリハーパ〉は、私が見たことの無い〈ランスホーンラビット〉みたいな〈AIM〉を倒すと、特典のサプライボックスを開けた。

 その瞬間、私はそのプレイヤーが気になっていた理由を理解した。


「…ねぇ、あれって刀でしょ?」


 スコープの向こうで、その武器が光の粒子となって消えたのを、口に指を咥えて見届けた私は、イザナミと名付けた私のサポートAIに問う。


『スキャン対象外です。』


 だけど私の質問に対して、イザナミの返答は答えになっていなかった。


「あれ?スコープ越しは駄目だっけ?」


『いいえ、マスター。

スキャン“不能”では無く、スキャン“対象外”です。』


 スキャンが出来なかったんじゃなくて、対象外?

 …つまりあの刀は、近くで直接見ても駄目ってこと?


「どういうこと?」


『〈prosthesis gear〉の装備は機密情報保護の為、機密レベル3のプロテクトが掛かっています。』


(私の「鑑定」のレベルが1だから、レベル3の「隠蔽」で見えないってこと?)


「そっかぁ…。」

スッ


 再びスコープを覗けば、ぎこちなく動く〈チェリハーパ〉が見えた。


「うわぁ…、ストレス凄そう。」


 いくら名前が「亀」だからって、普通にも歩けないんじゃ、あのプレイヤーも流石にキャラクターをリセットしてしまいそうだ。


「はっ!?」


 そこで私は大変なことに気付いた。

 あのキャラクターデータが消されるということは、あの刀もこの世界から消えて無くなる!?


(どどど、どうしよう…?)


 せっかくの刀が失われてしまうことに動揺する私に、イザナミの言った言葉が天恵のように聞こえた。


『おそらくあの義体は、落下ダメージにより脚部を著しく損傷しています。

 脚部がそれほどの損傷を受けたとなると、耐久値も、最大でも半減してしまっていることでしょう。』


「っ!

 …ねぇイザナミ、倒せるかな?」


 これまで私はPKなんてやったことは無いけど、背に腹は変えられない。

 どうせ消すデータなら、私があの刀を貰っても構わない筈でしょ?


『計算します。少々お待ち下さい。

 ………。』


 私はイザナミの演算が終わるのを、逸る気持ちをなんとか抑えて待った。


『駄目です、エネルギー残量が足りません。』


「嘘でしょっ!?」


 だけど期待する私にイザナミの出した答えは、まさかのNO!

 飛行練習が仇になった!?


 ショックを受ける私に、イザナミは容赦無しに更に追い討ちまでかけてきた。


『仮にあの傭兵を倒せたとしても、拾得可能な物は、装備されている物か所持マテリアの半分となります。』


 観察していた時あの刀は光の粒子になって消えた。

 つまりあのプレイヤーはあの刀を装備していないわけで─


「消さないで消さないで消さないで消さないで消さないで消さないで消さないで消さないで…!」

 

 ─そのことに思い至った私は、あのプレイヤー(プレイヤー名:イノセント)がデータをリセットしないよう、本当の神様に狂ったように祈った。


シレッと明かされる主人公のプレイヤー名w



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