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森の道  作者: なぎゃなぎ


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1/3

-1-

千葉県の中央部付近に、森に囲まれた7軒程の小さな部落がある。


外へ向かう道は木々に囲まれ、常にうす暗くなっている道路を通るしかない。

小学生時代の私はその車1台通るのがやっとの道を毎日30分かけて歩くしかなった。


しかし、私はその道が物凄く嫌いだった。


理由はその森道にある脇道を一本入ると、20年前まで土葬をしていたお墓があるのだ。

長い事管理された形跡は感じられず、墓石には常にコケが生えている墓だった。


前に友達とそのお墓に遊びに行った時に何故か真新しいゴムのボールが転がっており、

人のいるはずの無い森の奥に青白い火の玉のようなモノを見てしまったのだ。


一緒にいた友人はその青白い火の玉は見えておらず、その真新しいゴムボールを無邪気に蹴って遊んでいた――


そのお墓のすぐ側を通るうす暗い森道…

小学生の私が何となく嫌いになる理由としては十分だったと思う。



――夕刻1人でこの道を歩き、もしも転んだらその場で右手の人差し指を左足で踏み、

  「首吊り拳万」と一息で10回声に出さないと首吊り女にさらわれる      ――


この道には私の墓での体験とは別にこういう噂話もあった。


両親にこの話をしても"子どもの戯言"だと言って笑われた。

お墓で私が見た青白い火の玉のようなモノは、

リンが燃えてるとそういう色になるという良く分からない説明を聞かされ納得したフリをさせられた記憶がある。



近所に住むおじいちゃんは怖がる私を見て、

俺が墓当番で、人が亡くなって墓を掘ってる時に、前に埋めた人が溶け切らねぇで腐った状態で出て来た事があってな――

などと笑いながら話してくる始末だった。



大人は当てにならない。



そう思った私はその森を通るときは必ず10円玉を持ち歩くようにしていた。

理由はその森には公衆電話がポツンと一つ置いてあったのだ。


青白く、点灯している電話ボックス。

うす暗くて怖い道の中で唯一と言って良い程、当時の私の心のよりどころとなっていた。


なにかあったら、この公衆電話で助けを呼べば良いと思っていた。


* * *


そんなある日の学校の帰り道――


その日は放課後のクラブ活動が長引き、日が落ちかけていた。

私は足早に帰路についていたのだが、不意に小石を踏みつけて転んでしまったのだ。


「ひぃいいいいいいいいい!!」

私は転んでしまった場所に気付き、思わず悲鳴を上げた。


急いで右手の人差し指を左足で踏み付ける。


ズシッと痛みが右手の人差し指から感じる。

強く踏み過ぎたのだ。


しかし、足をどかすわけにはいかない。


このまま、一息で「首吊り拳万」と一息で10回声に出さないと首吊り女にさらわれる!!


「首吊り拳万」

「首吊り拳万」

「首吊り拳万」

「首吊りげま…」


パニックになっていた私は途中で舌を噛んでしまった――

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