表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/5

白猫と薬草 後編

「ライネ嬢は、ぼぐが、だずげる」


太っちょは、顔を腫らしたままで泣いている。

しかし、彼が持っているのは白い花ではなく、花が緑色で、葉っぱが白色と言う、珍しい花。

「ごの、緑花でなぁど、ライネ嬢はだずがらね」


太っちょはそう言いいながら、泣いている。

「どうして、そんな事を知ってるの?」


ココが首をかしげると。

太っちょは泣き始めた。


「わじが、悪いんじゃぁ!あんだ 毒づぐっでもうだがらぁ!」


ひとしきり泣く太っちょ。


「わじ、薬つくって、ライネ様を治してだ。ライネ様、昔から弱かったがら」

「でも、まちがえで、毒をづぐっじまって。すぐ、捨てたんだが、その後から、ライネ様の状態がわるぐなっで」


ココたちは、太っちょの前に座り込んで話を聞く。


「ずぐわがっただ。わしの毒のせいだど」


ぐしゃぐしゃの顔のまま、緑花を突き出す。

「ごれで、解毒薬がづぐれるだ」


二人で顔を見合わせるココとタタ。


「どうする?」

「嘘かもしれないけど」

「んー私は本当の事かもって思うな。このあたり、来るのも大変だもの」

「だよねぇ」


二人はしばらく顔を見合わせて。

「分かった。僕たちを襲ったのは見逃してあげる。だから、薬を作ってくれるんだよね?」


タタが太っちょを覗き込むと、必死に頷いていた。


白猫は、我関せずとでもいわんばかりに、顔をしきりに舐めている。

しかし、しばらく毛づくろいをしていたのに、突然顔を上げて歩き出した。


「あ」

「猫ちゃん」

双子がその後を追うように歩き出した時。


「助けてくれぇえっぇぇぇ!!」

大声を上げながら、3人が森の方から走って来るのが見えた。


後ろから、さらに大きな塊が3人を追いかけている。


「あれ、暴走猪だよ!」

ココが叫ぶ。


「ひぃぃぃぃ!」


逃げきれなかったのか。

森の中で、威圧的だったフォンは、猪の牙にひっかけられて空中に飛んでいた。


「ぼっちゃーん!」

筋肉ムキムキの男二人は、そんなフォンを助ける事もなく、逃げながら叫んでいる。


「あの二人弱いのかな」

「うん。めちゃくちゃ弱いと思う」

双子は、呆れた顔で見ていた。


猪は双子の方へと走って来る。


「やれる?」

「だれに言ってると思ってるの?」

ココは得意げに杖を取り出す。


タタは、自分の後ろにある剣を抜くのだった。



「ふはははっは!今回は見逃してやろう!されど、ライネ嬢を守るのは、このフォンだ!忘れるでないぞ!」


ぼろぼろになった服を引きずりながら、ムキムキ筋肉の男の背中で叫び。フォンは町へと帰って行く。


「なんなんだろうね?」

「ああいう人なんじゃない?」

双子はそんなフォンを遠い目で見送っていた。

あっさりと倒した暴走猪の背中の上で。



双子が、太っちょを連れてお館に戻ると。

館の中は大騒ぎになってしまった。


太っちょがいないために、きちんとした薬が作れなかったらしく、急いで太っちょに薬を作るようメイド全員が言っていた。


息苦しくそうにしていたライネは、太っちょの薬を飲むと、しばらくして穏やかな顔になり。

そのまま、眠ってしまう。


「ごれで、だいじょうぶ」

太っちょは、穏やかな顔でライネ嬢を見ている。


メイド達も安心した顔をしていた。





「ごめんなさい。みなさんに迷惑をかけてしまって」

目を覚ますと、ライネはメイドや太っちょに謝っていた。


「元気になられて、本当に」

泣きそうな顔をしているメイド達。


「本当に迷惑をおかけしました」

そう言って笑うライネ。

その足元に、白猫が甘えるようにすり寄る。


「ココと、タタにも、たくさん迷惑かけちゃいました」

申し訳なさそうに視線を下げるライネ。


「大丈夫!」

「私たち、友達だもの!」

笑う双子を見て。


ライネもついつい笑ってしまう。


「そうね。たくさん迷惑かけちゃたし。友達の証として、これをあげるわ」

ライネは、ベッドの宝石箱から三つのネックレスを取り出す。


星と、太陽と、月をモチーフにしているそのペンダント。

ココとタタに、月と太陽のペンダントをかける。


「おそろいよ」

そう言って、自分の星のペンダントを見せるライネ。


双子も自分のペンダントを持ち上げ。

3人で笑うのだった。

友達できた!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ