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エッセイ

「転生したら悪役令嬢だった」系の物語は乙女ゲームが定番だが、そんな乙女ゲームはまず売れないし販売されるわけがない

作者: 赤月 朔夜

多数ある読み物の中、これをポチって頂きありがとうございます。


誤字報告ありがとうございます!

絶好→絶交


 転生ものの小説のテンプレに「転生したら悪役令嬢だった」というパターンがある。


 異世界転生もので何かがあって現代で死亡し、転生したら乙女ゲームの悪役令嬢だった。その悪役令嬢は乙女ゲームでヒロインをいじめるなどして卒業パーティーで婚約者から婚約破棄され両親から勘当され追放、もしくはヒロインを殺そうとした罪などで処刑されるという。

 そんな悪役令嬢に転生し乙女ゲームの記憶がある主人公は破滅したくなくて奮闘する、というのがよく見かける展開だ。


 面白いと思うし、私も良く読んでいた。

 

 ただ、どうしても気になることがある。

 そんな乙女ゲームは果たして本当にあるのだろうかと。


 ここで言うそんな乙女ゲームとは、


 ①攻略対象には既に婚約者がいる

 ②ヒロインと攻略対象が親密になる

 ③攻略対象の婚約者はヒロインに対して陰湿ないじめ、場合によっては階段から突き落とすなど行う

 ④③の行いがバレ婚約破棄と共に断罪される。

 ⑤攻略対象の婚約者が断罪された後、ヒロインと攻略対象が結ばれる


 というものだ。


 疑問に思った私は乙女ゲームを調べてみた。結果として、私の調べ方が甘いのかもしれないがそういう乙女ゲームは見つけられなかった。ライバルとなる令嬢がおり、場合によっては嫌味や悪口を言われることもあるというものであれば見つかった。その場合絶交となることもあるが、あくまでライバルであり悪役ではないため和解の道も残されているとのことであった。


 まぁそりゃそうだよなと思った。

 純粋にゲームとして遊ぶのであるなら、私はそんな乙女ゲームをやりたいとは思わない。


 私に他者の恋人が欲しくなるという性癖も他者に恋人を取られたいという性癖もないし、いじめられて喜ぶ被虐趣味もない。ましてや悪役令嬢が処刑されるなどという血生臭い展開もごめんである。


 婚約者のいる攻略対象など攻略したいとは思わない。婚約者との関係を精算していないのにヒロインと親密になるなどただの浮気男ではないか。


 販売側から考えても、乙女ゲームとして攻略したくないと思わせる要素をもった攻略対象を用意するだろうか。

 婚約者がいる攻略対象に擦り寄るヒロインなどプレイヤーが好むだろうか。


 他人の恋人を奪いたい、奪われたいという属性を持った人を対象にした乙女ゲームで攻略対象全てに婚約者がいる。そういうことが好きな人向けの乙女ゲームである。ということならまだ分かる。


 もしくは乙女ゲームなどではなく、ヒロインは魔族や他国のスパイでゲームの舞台になる国を混乱、内乱、国力を削ぐという目的で権力を持っている攻略対象たちに近づいて骨抜きにする役割を持っているという何かのシミュレーションゲームというのであればそういうのもあるかもしれないと思える。


 何を言いたいのかと言うと、一般女性向けの乙女ゲームであるなら婚約者がいる攻略対象はまず考えられないということだ。


 と考えれば、そんな乙女ゲームをやり各攻略対象についても詳しい悪役令嬢に転生した主人公も実はその手の趣味があるということにならないだろうか。違うのであればなぜそんな乙女ゲームをやったのだろう。

 悪役令嬢に転生する前の主人公が住んでいた世界は、現代日本のように見えて実はまるで違った価値観や文化のある地球とは別の世界なのだろうか。


 その手の乙女ゲームの悪役令嬢に転生したという主人公に問いかけてみたいものだ。



 ここまで色々書いてきたが最初の方に書いていた通り私も悪役令嬢転生ものは良く読んでいた。しかし悲しいかな、最近では上記の理由からその手の小説を楽しめなくなってきているのである。

 「そういうジャンルのもの」として受け入れてしまえば良いのかもしれないが、どうしても目に付いてしまい楽しめないのである。





 さて、ここからはおまけ的な内容となる。趣向を変えて、なぜ現実的に考えにくい乙女ゲームが舞台になっているのか、ということについて考えたことを書こう。


 ①読者の目に留まりやすい題材を取り扱うことで読者を得るための戦略


 ある種のテンプレであり、乙女ゲームの悪役令嬢をテーマにした小説は良く読まれている。だから読者の多いジャンルに小説を投稿し少しでも多くの読者の目に留まるようにする。そうすることで読者が少ないテーマで書くよりも見てもらえる可能性が増える。もしそれで気に入ってもらえたら他の小説も見てもらえるかもしれない。

 そういう戦略があって投稿する。 


 ②物語の展開と構成が分かりやすいから

 

 ストレス社会とも言われる現代。ミステリアスな物語も面白いかもしれないが、分かりやすくさっと読めて手軽にカタルシスを得られる物語が好まれる傾向にあるのかもしれない。


 主人公は悪役令嬢で今後起こる断罪という破滅の運命から逃れたい。という主人公の行動理由と達成条件の開示。

 攻略対象とキーポイントになる出来事が前もって分かっている。という注目ポイントと問題解決のための対策による物語の展開の説明。

 また、攻略対象の数だけ悪役令嬢のBad Endがある場合には、攻略対象の数だけ解決方法を模索する必要性も出て来る。


 主人公の目的が分かっているので彼女がどう物語に関わっていくか。乙女ゲームの設定として攻略対象の情報が先に出ていることで、彼らとの関係がどう変わっていくか。そういうワクワク感もあるだろう。


 上記の理由から「乙女ゲームに転生した悪役令嬢」というテーマは非常に分かりやすく展開が楽しみになる構成であると考えられる。




 以上の理由から、現実ではまず発売されないような悪役令嬢が存在する乙女ゲームを舞台とした小説が多数書かれているのだと私は感じた。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言]  なろう乙女ゲーはマジで販売できない作品ばかりだと思いますね。  「不倫物のドラマ見たからって~」と書いているかたがいらっしゃいますが、ゲームのほうが規制が厳しいんじゃないかな。プレイするし…
[一言] 自分もゲーム制作に携わっているので、作中作のリアリティは気になる性質です。 VRゲームジャンルの作品で、世界的大ヒット作として扱われている作品なんて、絶対クソゲーとして名を馳せているだろって…
[良い点] 作品自体はとても好きなのですが、乙女ゲーとして見るのならものすごくモヤモヤしていたので…。 [一言] この辺はもう「なろう系乙女ゲー」というジャンルだと思って割り切っています。作品としては…
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