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どうも、嫁と嫁してます  作者: 夏之 夾竹桃
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第6話 深夜のおかしなテンション

 よし決定だな。


「じゃあ、決定。アドリブシチュボASMR枠。」


「でもかなり難しいよね。」


「あぁ、馬鹿みたいに難しい。」


正直自分でもかなりハードなことを言ってるのは分かってる。ただ、できないことはないだろう。


「まぁこの性質上寝落ち枠にはならないだろうな。」


「そうだね。リクエスト前提だしね。」


「結構博打だよな。」


「うん。でも面白そうではある。ただもう少しパンチ効かせてもいいんじゃないかな?」


「確かに弱いかな………なぁ沙奈誰かとコラボの予定ってなかったか?」


「今のところ無い。それがどうかしたの?」


「コラボ企画でやったら面白そうかなって。」


「なるほど、それはありかもしれない。ただコラボできそうな人なんて居ないんだよな………。」


「マジで?」


「マジ。なんか恐れ多くてさ、誘えないんだよ。」


「それは分かってるが………そろそろコラボしてもいいんじゃない?もう4年目だし、それに結構な人から認知されてるから。」


「まぁそうだよね。でも当面はしない方向で行こうかな。」


「まぁそこは任せる。じゃあこの企画は一旦保留で。」


結局これも保留か。いや、しかしどうしたもんかな。難しい。Vtuberの企画やらネタ考えるのってこんなに難しいものなんだろうか?うーん………。


「難しい。」


「知ってる。」


「どうしたもんか。」


「最悪、百合百合ASMRなんてものも出来る。問題自体は何もない。」


「待って、それさっきも似たような案、出してなかった?」


なんかデジャブを感じた。どうやら推されているようで。


「………だってやりたいんだもん!しょうがないじゃん!配信中でもいちゃつきたいんだもん!」


「………凄い熱意を感じた。なんと言うか………本音隠してたんだな。」


「…だって、こういうこと言うのって恥ずかしいんだもん。」


「………急に乙女だしてくるじゃん。」


ついさっきまでストイックなVtuberだったのに今や1人の乙女。何という変わり様だろうか。いやストイックなふりをしてたただの乙女か。


「そりゃ時間無いんですもん。昼は本業、夜はVtuber。亮太との時間は一体どこなんだい!っていうくらいじゃん。」


「まぁそうだよな。」


「自分の中では配信中はイチャつかないって決めてたけど、多分駄目かもしれない。亮太はそういう急なフリに対応してくれる?」


畳み掛けてくる沙奈。しかしまぁ沙奈を支えるのが俺の役目。それにできないお願いではない。


「いいよ。あんまり過度なもの意外な。」


「それだけでも十分。亮太とイチャつけるのであればそれでいいから。」


「なんか………凄い求めてくるじゃん。」


「そりゃ求めたくもなるよ。だって夫婦ですよ?なのにここまで時間が足りないのはなんか違うじゃん。」


「確かに、普通と比べたら新婚にしてはあまりにも時間が少ないかもね。」


「本当はずっとイチャイチャしてたいんだよ!」


沙奈さん熱量が凄いです。


「わかった、沙奈のその気持ちは凄く分かった………何なら今からイチャイチャタイム入りますか?」


「…今?」


「今。そんなにイチャつきたいのであれば俺は構いませんよ?」


「………ん、する。」


コテッと頭を寄り添わせる沙奈。めちゃくちゃ可愛い。


「こうやってさ、起きてるときにこういう距離でさ、色々したいんだよ。時間が許してくれるならずっと。でもそんなことなかなかできないからさ………好きな人と一緒に居るのに、自分の欲に忠実に従えないってこんない歯がゆいんだね。」


「あぁ、そんなもんだよ。しょうがない。でもまぁ、今はやりたいことで来てるんじゃないか?生活とVtuberの両立。」


「確かに案外できてる。でも、私が求めてるのはもっと………亮太がほしい。」


意外な言葉と言えば嘘になってしまう。正直自分でも感じていた。沙奈との時間が少ないことくらい分かっていた。


「もう配信中でも容赦なくイチャついたっていいんじゃない?苦しむようなことはしないでいこう?」


「それはそうだけどさ………歯止め効かなくなったら怖いなって。だってそんな好きな人に『何でもしていいよ』って言われて何もしないほうがおかしいじゃん。だから、切り替えのスイッチだけは持っておきたいなって………。」


「分かった、俺がブレーキになるから。だから沙奈は思いっきりやりな?せっかく2人居るんだしそのくらい出来る。」


「じゃあ次の配信はイチャラブ配信でもいい?」


ここで下から目線は反則だと思う。断れるわけがない。まぁ元より断るつもりなんて微塵もないが。


「いいよ。俺だって沙奈との時間ほしいし。」


「ありがと。」


そうして俺達はそのまま眠りについた。朝起きてお互いに昨日の夜のことを思い出して急に気恥ずかしくなり、顔を見合わせるもお互いに赤面状態だったのは言うまでもない。深夜テンションとはこうも恐ろしいものなのかと思い知らされた一夜だった。

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