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どうも、嫁と嫁してます  作者: 夏之 夾竹桃
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第3話 幸せです!

 朝というのはどうしてこうも憂鬱なのだろうか?まぁ妥当に考えて物事の始まりだからだろう。仕事の始まり、学校の始まり…各々思うものはあるだろう。私にとっては孤独の始まりだ。


「じゃあ私もそろそろかな。」


そう言って立ち上がる。バイトの時間だ。憂鬱で仕方ないが貯金のため。それに亮太だって頑張ってるし。


「よし。頑張ろ。」


そうして私は家を後にする。


 私がやっているのは亮太が行っているのとはまた違うところのコンビニ。朝から昼の時間帯のほんの6時間程度。確かにもう慣れたものだが面倒なことに変わりはない。おそらく流れ作業だからこそ面倒なのだろう。


「おはようございます。」


いつもの挨拶を交わし中へと入る。やはりこの制服が私のスイッチなのだろう。気持ちが切り替わる感覚というのだろうか。モードチェンジ?まぁそれがはっきりしている。


 ここから先は単純なお仕事。作業をこなして接客するだけ。朝礼を済ませレジへと向かう。よしここから先の私頑張れ。


 とは言ったもののである。そんなすぐに頑張れる人間なんているのだろうか?私はいないと考えている。何事も急にアクセル全開で出来る人がいたら化け物すぎる。


 ここから先は愚痴にしかならなそうなので切り上げよう。さぁ、無心無心。



 そうして、なにも考えずに作業をこなしどれだけの時間が経っただろうか?6時間か。このように時間感覚がバグることも増えた。疲れているのか?多分疲れているのだろうな。


「お疲れ様でした。」


そうしてバイト先を後にする。昼下がりの町並みを眺めながらただ歩く。もしかしたらこの中にも夜空弓のことを知っている人がいたりして…。もしも知ってる人が今の私のことを見たらどう思うかな?


「嫌われるかな?」


現実とは非常なものだからね。


 じゃあその現実でも受け止めてくれた人は?


「亮太…。」


道端でひとり誰にも聞かれないように呟く。


 そうだ、受け止めてくれて手伝ってくれて…そんな人と一緒に住んでるところに帰るんだ。帰ってもまだ亮太はいない。じゃあ待とう。亮太が帰ってくるまで待っていよう。


 私ってそんなに孤独じゃないかもしれない。そう思えた。


 そこから先はあっという間だった。家に帰りまだ誰もいない部屋に向かって一言。


「ただいま。」


そう呟く。勿論返事なんて帰ってこない。でも今はそれでいい。亮太にお帰りと言える立場になれたのだから。



 今何時だ?もう17時か。そろそろ上がるか?こっからは結構きつい時間だが………。


「後はやるから大丈夫。もう時間でしょう?」


店長にそう声をかけられる。因みに店長はあれからも変わってない。


「はい。でも本当に大丈夫ですか?」


「いいのいいの。奥さん待たせちゃ駄目でしょう?」


あぁそうか知ってたんだった。


「はい。じゃあすみません。お先失礼します。」


「はい、お疲れ様。」


そうして俺はバイト先を後にする。とっとと帰らねば。今の俺には待ってくれる人がいる。じゃあその人にできるだけ早く会いに行かねばなるまい。


 俺は、いつも通りの町並みを駆けていく。まぁ周りからしたらおかしなやつだろうな。そんな目で見られようとも構わない。俺にとっては関係のないことだからだ。


 ただ進む。ただ1人を求めて。


 そうしてたどり着く。俺達の家に。扉を開けただ一言。


「ただいま。」


「お帰り。」


そこに沙奈がいる。それだけの安心感が半端なかった。


「お疲れ様。」


「そっちもね。」


「よしじゃあ、夕飯作りますかね。」


「待ってました。」


「沙奈はなに食べたい?」


「なにがある?」


「一応ハンバーグでも作ろうかと。リクエストは?」


「無いです。」


「では始めます。」


「はーい。」


ハンバーグか。作るのは久々だが、忘れることはないだろう。そもそも簡単だしそれに母さんに教えてもらった初めての料理だからだ。


 そんなこと今はどうでもいいや。目の前のことをこなす。それだけでいい。



「はい。完成。」


「やったね。」


「どうぞ。」


「いただきます。」


「いかがでしょうか?」


「美味しいよ。」


心の中でガッツポーズを決める。


「じゃあ俺も。」


自分でもなかなかにいい出来ではないだろうか?いや、それにしても幸せなものだな。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 料理は交替制なのか亮太が担当なのか? そして、あの母親にまだ期待してた頃に教わったのかな。 [一言] 2人の掛け合いがとても好きです。
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