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どうも、嫁と嫁してます  作者: 夏之 夾竹桃
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第1話 初めての

 あれから何年経ったか?4年?早いな。


「亮太?どうしたの?」


「いや、沙奈も活動4年目かって思って。」


こいつは元小畑沙奈(こばたけさな)。3年前から個人で『夜空ゆに』の名前でVtuberをしている。そして俺が菊川亮太(きっかわりょうた)。簡単に言うと沙奈のアシスタントをしている。


「亮太と付き合い初めても3年経つんだよ?」


「そうか………早いな。本当に。」


「だよね。」


「まぁ、俺の生活も安定してきたしな。」


「うん。」


「沙奈。ありがとうな。」


「何が?」


「色々と。」


「あぁ…そうだね。そろそろ行こっか?」


「あぁ、頃合いだろう。行こう。」


そうして俺達は待合室をあとにする。今日は式の当日。正直めちゃくちゃ緊張してる。しないわけないよな。初めてだし…。


「亮太?緊張してる?」


「あぁ…。」


「やっぱり。」


「そういう沙奈はどうなのさ?」


「緊張しないわけないじゃん。」


「知ってた。」


それにしても沙奈のウエディングドレス姿をこんな近くで見ることになろうとは高校生の頃だと思いもしなかった。でも実際問題その姿の沙奈は今、俺の横に立っている。綺麗だ。


「じゃ、行こう。」


「うん。」


「新郎新婦の入場です。」の掛け声がして扉が開く。俺はあのとき沙奈に言ったあの言葉を果たしたのだ。ゆっくりと歩いていく。


 なんか現実じゃないみたいだ。だって、幼馴染と結婚してその幼馴染は今やチャンネル登録者数10万超えのやべーやつ。今まで俺はそんなやべーやつのアシスタントしたり彼氏したり………。沙奈のストイックな生活に付き合ってきた俺も大概やべーかもしれない。


 そうして俺達は静かにゆっくりと歩みを進めた。


――――――――――――――――

――――――――――

―――――


「ふいー疲れた。」


式が終わり家に帰って来る頃にはもうすっかりあたりも暗くなっていた。


「案外疲れるもんなんだね?」


「あぁ。でもやっぱり上げてよかったな。」


「うん。さてとこっからだよ?声出る?」


「わかんない。」


そう言って俺は少し咳き込み声の調整をする。


「どう?出てる?」


そうに沙奈に聞いてみると「疲れが見えるね。」と言われた。


「やっぱりか…。」


「どうする?やめとく?」


「重大発表って言ってシルエットまで出したのにか?」


「でも、声出なきゃ本末転倒だよ?」


「………ちょっとお時間ください。」


「はい。」


まだ時間はある。大丈夫だお前なら行ける。うちに秘めるロリに語りかけてそいつを引き出すんだ。そうしてしばらく精神統一。


「コホン、あーあー、これでどう?」


俺の喉からは到底成人男性から出るとは思えないような女児のような声が出ていた。


「相変わらずどうやって出してるんだか………なにも問題ないよ。」


「よし、じゃあこれで行こう。」


今日の配信は俺の初配信の日。


「また亮太緊張してる。」


「当たり前だろ?初めてなんだし。」


「まぁ、いずれ慣れるよ。」


「慣れるまでだよ。」


「大丈夫、私がいるから。」


「ありがと、沙奈。」


「こっから先はゆに呼びね?わかりましたか()()()()()さん。」


「はい、わかりましたゆにさん。」


ノリにノッて女声で答える。


「じゃあ本編は呼び捨てで。」


「了解。」


「では始めます。」


そうして沙奈は配信スタートのボタンを押した。待機時間。あぁ更に緊張してきた。初配信のときって皆さんこんな感じなんだろうか?


 そうして…。


「はい、皆様お疲れ様です。夜空ゆにです。」


これが配信者の見ている景色…。まさか自分がこっち側になるとはな…。


「ということでですよ。重大発表ですよ。本当に。私の初期の配信見てくださっている方ならご存知かと思います幼馴染君。今回Vtuberデビューすることになりました!ということでドン!はいこれが幼馴染君です。」


流れ通り俺のアバターが表示される。小柄でショートで銀髪。一見するとショタにもロリにも見える。さぁあとは声を吹き込む簡単なお仕事だ。俺なら出来るだろ?


「はい私、夜空ゆにさんの幼馴染、夜空おとめです。」


俺の中では完璧だったが…怖い。そんな自分に自信を持てるかと聞かれたらそうでもないほうだからな…。


 そうしてコメントが流れてくる。[ゆにさんが君付けしてたから男の子かと思った。]


「あ、男の子です。」


元よりここまでは公表するつもりだった。気になる反応は[なるほど男の娘。]など。まぁ間違いじゃない。ということはこれは成功か?


「はい。これからはこの2人で頑張っていきます。」

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