act80 寝耳に水?
ジャスが現れたのは偶然でもないだろう。
まあ、ジャーノ姉妹の関係は驚いたが、ここは話を聞いておくか。
とりあえず、オレはリオとローウェイとチェダーにレクリアル、ノリヒロとナルミ、ジャーノ姉妹を連れて
近くのファミレスに繰り出すことにした。もちろんジャスもである。
席にはオレの横には、リオが座り正面にはジャスがその横にはレクリアルが座る。
他の連中は別のテーブルに座る。
そこでジャスがサングラスを取り、
「さて、トモキ。お前はウチに来ないか?」
と言い始める。
「いきなりなんだ?それは?」
「わかってないのか?お前を手に入れようと各軍が動いていることに。」
え、何それ?オレ人気者なの?
えへ、照れるな。
何て言って場合じゃない。なんだそれ?
「でも、それができるのは対象の人間が将補以上の役職になっていいることが条件だろ、
オレ対象外じゃねんか。」
オレの言うセリフに呆れるジャス。
「何言ってんの、お前昇進したろ。間違いなく将補以上だろ。」
「いや、将補ではないよ。正式には昇進したが、あくまでも役職は特務一佐になってる。
上層部がゴタゴタが収まるまで面倒事を増やさないためにこの処置でしばらく済ますつもりらしい。」
「へ?特務一佐、何だそれ、なんてトリックを使う!」
「しょうがないだろ、こっちだって中将クラスが3人、少将クラスが8人、他にも幹部連中が何人か更迭されたんだ。
上層部だって荒れる。落ち着くまでだそうだ、落ち着くと将補になるそうだ。嫌だけど。」
オレはコーヒーを口にする。
「そうか、なるほどな。お前の所は大荒れか、山木さんがまた老けるな。でもある程度は予想していたんだろ。」
「予想を超えていたんだよ。ここまで荒れるとはな。おかげで臨時昇進が多いのも荒れる原因の一つでもある。
だから、ほとんど人間が昇進をおあづけで[特務]が頭についた状態になってる。このままでもいいけど、オレは。」
「まいったな、それは。今回の件でお前をスカウトする予定だったんだが仕方がないな。」
「なんだ、それ。オレにそこまでの価値はないよ。」
オレは愛想笑いを浮かべる。
「はあああああああああ、お前は相変わらず自己評価の低い奴だ。自分がどれほど重要人物か理解できていない。」
ジャスは大げさにため息をついて見せ額に手を置く。
いわゆる頭を抱えるポーズってやつだ。
なに?わかってないのオレ。
そんなことないでしょ、と思いながら他の席のメンバーを見るとまるで残念な人を見るような視線を向けていた。
え、そうなの?そう思っていたのはオレだけなの?
ショックだわー、オレなんてただのオタクなのにそんな危険人物認定なんていらんわ。
「まあ、トモキ君だもんね。こうなるとは思っていたよ、君は自分が思っている10倍ほど重要人物のはずだよ。
だって、新型機の開発、敵撃破、ゲート解放、不正軍人の排斥etc・・・数えればきりがない。功績の博物館状態だよ、君は。」
とリオがわかりやすく?言ってくる。
功績の博物館ってなんて表現の仕方だ。
勘弁してよ、ほんと。
「勘弁してくれよ、マジでか。そんな面倒事になってんのか、オレこれ以上仕事増えんのは嫌だよ。」
「そこかよ!まだ今一つわかってないなこいつ」
頭を抱えるジャス。
「わかっている。他の星の奴らは主導権が欲しいんだろ。力を手に入れて。それに巻き込まれたわけか、オレは。
まったく面倒な。」
オレは嘆息する。
「それなら目立つ行動を控えろよ。」
「しかたがないだろ、何とかしないと犬死なんて目に見えている。
誰かが何とかしてくれる、なんて知らないわからない誰かを当てにするくらいならオレが何とかするしかないじゃないか。」
「そうよね、君はそういう考え方をするよね。みんなが生き残るために何とかする、君がここに来た時から言っていた言葉。
君はいつだってそれを実践してきただけだもんね。その献身にみんな救われてきて、信じてきてついてきたんだもんね。」
となぜが嬉しそうに言うリオ。
なんか変なこと言ったか、オレ。
でも、笑顔だ。うん、この笑顔を守るために頑張ったんだ。
少し満足かな。
オレが柔らかい笑顔を浮かべると
「はい、いちゃつかない。今回のスカウトの眼玉がまだ舞台上に上がっていないことはわかった。
でも、周りはそう思わない。特にシリウスはな。だからこんな暴挙に出る。これを抑えるためにはウチにくることを、発表する必要がある。」
「いや、ないね。素直に現在は特務一佐であると表明すれば済む。どさくさに紛れて取り込もうとするなよ、ジャス。」
「ちっばれたか。鈍感なくせに頭は回るな、お前は」
「やかましいわ、それにもう連絡済みだ。すぐにこの変な騒動も終わる。まったく貴族様は自分たちの蛮行に気づかないのも問題だと思うが。」
「そうなんだよ、権力持ちどもは自分たちの蛮行に気づいていない。見下せば全部済むと思ってやがる。」
また、頭を抱えるジャス。
「自分たちの行動が蛮行だと思っていないんだよ、なんせ自分に酔っている方々だからな。アホな子の集団なんだよ。」
「まったく、相変わらずだな。お前は。」
呆れるように肩をすくめるジャス。
「そうだよ、それに今は休暇中だ。それにシリウスには別で話し合いを設けるさ、また面倒事が増えそうだがな。」
仕方がない、か。
あそこにもこれ以上変な事を起こさないように釘を刺しておく必要がある。
ほんと、寝耳に水状態が続くよね。




