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最果ての先で~異星間武勇伝~  作者: 団栗山 玄狐
第三章 問題、面倒、手間だらけ
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act60 たたき割る!



光の矢が母艦型を貫くのが見えた。

どうやら、アルテミスアローでの母艦型狙撃は成功のようだ。

光の矢に貫かれた母艦型は、風穴があいた後見事に吹き飛んだ。


後は、残り一つをどうするかだ。

以前やった方法で外殻をたたき割るしかないのだが、

今回はそんなに杭を持ってきていない。


あてにしていたウチの部隊の人間は、三人ほど離反してしまい、

母艦型の外殻を破壊するための手持ちの杭が足りない。


まずい、非常にまずい状態だ。


確かに奥の手はある。


だが、使いどころが難しい。

というか使うな!と副長たちからは念を押されている。

理由は危険だからだ。


確かに威力は大きいが、危険も大きい。


だからミズネやアラタからはできるだけ使うなと言われている代物だ。


でもそれどころじゃない。


この理不尽な状況を超えることも避けることもできないのなら、たたき割ればいい。

なんて都合よく考えて居る。たとえどんなに自分に危険が迫ろうとも、だ。


周りには敵機が飛び回り、こちらの数も少ない。

協力部隊のSBA113が8機、そしてウチの部隊は4機。

頑張ってくれてはいるがすでに2機撃墜されている。


劣勢なのは変わらない。

この状態であと一つの母艦型を落とすなどと、どんなムリゲーなのかと思う。


たとえ自分で立案していても。

今更ながら離反した3機合流してくれないかな、なんて思ってしまう。


あの三人がもしベローズカーゴを奪った場合、十中八九奪うだろうが・・・。

ベローズカーゴに接続したら最後、敵トレー目掛けて突撃するように仕込んでいる。

パスワードを入れればこのシステムは動かない。


でもパスワード入れず、ベローズカーゴに機体を接続して起動すれば、敵トレーを力尽きるまで突撃し倒す。


離反対策なのだがそこまで馬鹿じゃないと思っていたんだがな、甘かったわ。


こうも予想通りの行動を起こすとは思わなんだ。


作戦前に言ったんだけどな。


この作戦が成功したらCRiMiNALコードの連中には減刑がされると。

これにより母星には帰えることはできなくても一般人として生活は保障されるのに

それだけでは満足できないようだ。



どうしても薄いペラペラなプライドを捨てることができないようだ。

プライドだけでは生きてはいけないのに、そんなものに頼らないと生きていけないことも確かだ。


割り切れば済むことなのだが、やはりこればかりはどうしよもない。

本人たち次第だからだ。


なんとも欲深い。これで手を打っておけばよかったものを。


まあ、ともかくだ。


まずは目の前の問題を解決しないとな。


「フォクスC001 レクリアル・クレード。残り二人指揮して露払いを頼む。」


「あの失礼ですがいいですか、隊長。」

この忙しいときになんだ。


「いいぞ、手短にな。」


「なんで私が指揮をすることになっているのでしょうか。」

ん?なんだ、そんな事か。


「簡単だ、配属されてからのお前の真摯態度が評価されている。

家のしがらみや重みから解放されたのがよかったんだろうな。

お前の気質をオレは高く買っている。これでは理由にならんか。」


「いえ、無礼な態度を働いた私には過分なご配慮。そして、素直にうれしいです。

必ずご期待にお答えします。」


うん、くそ真面目だな。こいつがただ単に貴族の無駄なプライドと期待にこたえようと必死だっただけとは意外だった。

当のこの子は、根がくそ真面目のいい子だ。


真面目で不器用、武士か、坊さんかと思えるほどの質実剛健な人間だ。それだけでも信頼に足る。

レクリアル・クレードは、これからウチの屋台骨の一人になりうる人材だ、と断言できる。


だからこそ彼は、

CRiMiNAL007 リネンス・マンステール機とCRiMiNAL009 モール・シャルダン機を引き連れて

露払いをしてくれている。


うまく指揮できているようだ、こいつも大化けしたものだと思いながら

目標である母艦型に視線を移す。


さて、これでオレはオレで役目を果たしますか。


AM(アム)、システムブーストを使用する」


「『了解、マスター。ですが本システムには使用制限時間があります。』」

AM(アム)が返事をした。


「ああ、なので使用は2回に分ける。」


「『二回ですか。』」


「そうだ、まずは一回目だ。システムブースト始動!」

と号令をかける。


「『了解、システムブースト始動。限界時間までのカウントスタートします。』」


ここからが勝負だ。

システムブーストとはこの機体に搭載されている新型エンジンのリミッターを一時的に解除するものだ。

これにより普段20%に抑えられている新型エンジンの出力が100%出せる。


制限時間を超えると新型エンジンの暴走が始まる。

ちょうどプラズマカッパーの簡易カートリッジのように最終的には爆散する。


副長連中は、オレが制限時間を超えて使用すると思っているようだ。

オレ自身があまり自分を顧みないからかもしれない。


でも、使うしかない。危険だがシステムブーストを使うことで

この詰んでいる状況を打破することのできる兵装を使用できるのだから。



それが・・・



「プラズマライン射出。」


「『了解。目標設定、出力80%射出します。』」


機体から細い光を母艦型を横なぎするように射出する。

その後、すぐに全開し母艦型から離れる、すると母艦型が爆発する。

AM(アム)、プラズマラインを一回射出後即システムブーストカット!」


「『了解。システムブーストカットします。限界時間まで残り4分です。』」



この高出力レーザーだ。外殻を完全に壊せなくてもヒビを入れるか、割れるだろう。

そうじゃないと困るのだが。


そして、機体を旋回させ再度母艦型に迫る。


先ほどの高出力レーザーを見ると見事なまでの割れている。

いいね、これでもぐりこめる。


中からコアを壊してやる。

これを壊せれば話は済む。


そう思いながら割れ目から母艦型の内部に飛び込む。

なんだこれ、いっぱいの線?いや蜘蛛の巣のような状態であちこちにかたまりがある。


この中から探すのかよ、と思うと


「『マスター、4時15分に約10m先にエネルギーの大きいポイントがあります。』」


「助かる。」

そういうとオレはAM(アム)が指示したポイントに向かう。

そこには確かに何か毛色の違う塊があった。


「目視確認、システムブースト準備。ターゲットを通りこして反転後、システムブーストを発動」


「『了解。反転に適した塊は、目標5m後11時にあります。』」


「いいね、手回し。それを利用させてもらう。」


「『ですが、プラズマラインはこの中で使用するには出力が大きすぎます。』」


「かまわん、アレだけが目標じゃないからな。出口も作る。」


「『了解です、システムブースト準備完了。』」


と、やり取りをしているうちに目標を通り過ぎて反転用に見つけた塊に機体から足を出し着地する。


そして、全力で目標目掛けて飛び上がる。


「『システムブースト始動。限界時間までのカウントスタートします。』」


と声が聞こえる。タイミングいいね。

さすがオレのAIだなんて考えて居られる余裕がない。


目標に視線を移し、高出力レーザーをぶっ放す。そのまま、右横に薙ぐ。


母艦型のコアは簡単に切り裂けた。そのまま内側から外殻を切り裂く。


思惑通り、外殻を割りそこを目指し、アクセルを吹かす。


「『目標の破砕を確認。システムブーストカットします。限界時間まで残り2分です。』」


「ああ、意外と残ったな。これからは全力で逃げる。目的は完了したからな。」


「『同意します。』」


オレはオレたちは新しく作った割れ目から母艦型の外に飛び出す。

そのすぐあと、母艦型が割れ目から光を放ち爆発する。


「各機に連絡。これより全力で逃げる。遅れるなよ。ここで死んでも命令違反だからな。てめえら。」


「「了解!!」」


と返事が小気味よく帰ってくる。


さあ、シメだ。

ここから戦艦まで遠いけど、気持ちは楽だ。

でもまだ終わりじゃない。

遠足は帰るまでが遠足だ。まあ、遠足じゃなくて戦争なのだが・・・。


それに敵機をどこまで減らせるかで被害の度合いが変わってくる。

後始末をしながら決死の退却劇の始まりだ。





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