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最果ての先で~異星間武勇伝~  作者: 団栗山 玄狐
第三章 問題、面倒、手間だらけ
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act36 ようこそ、まな板へ その2



では、予定が狂ったが次の日。

今度はベガ星系軍御一行様だ。


あの脳筋能天気軍隊と同じじゃないだろうね、、まったく。

ちなみに現在、尋問も兼ねた面談を開始している。

まあ、もともと研修についての説明会を開く予定だったので問題はないが。

面倒ごとを増やしやがって、しっかりと尋問してやる。


と思いながら、

極辺境軍統括研修一号館3Fの食堂の窓際のカウンターのような席で頬けていると


「おお、これは鬼教官のトモキさんじゃないか」

とわざとらしくジャスが来た。


「何言ってんだよ、お前」

不機嫌そうに返すと


「そんな顔しなさんな。思いのほかうまく言いそうで少し安心したんだよ。こっちは」

と言いながらオレの横に座る。


「どううまくいくんだよ。」


「いや~、最後のにらみつけのおかげで連中は素直になって話が簡単に済みそうだからだよ」


「そうかね、こっちは予定してたこといくつか無駄になったけどな」

オレは頬杖ついて窓の外をボケっと眺める。


「まあ、そう言わず後二回あるんだ。頑張ってくれよ」


「まあいいけどさ、次の連中はもう少し良識があると助かるのだが」


「それはどうだろう。あちらの事情が分からないからどう出るか予想できないね」


はあ、と一つため息をつき

「これは下手をすれば後二回もめ事があるかもしれないわけか」


「すまん。否定できない」


「そこは否定しろよ」


「あいつらはいつから研修に参加することになるんだ」


「3ヵ日後、各星系軍別に研修を開始する。順番に行うつもりだよ」


「じゃあ、では次の問題児たちをお出迎えしましょうか」


「やっぱ、行かないと駄目かい」


「だめだ。では行きましょうか先生」

と言うとオレを研修室に引っ張り出す。


ほんと嫌なんだけど、また同じ目に合うのは。

今度こそまともな奴が来ますようにと思った。


研修室の扉を開けるとそこには、文官のように柔らかい雰囲気の人たちがいた。

これはまともな人たちかもと期待してしまった。


「お待たせしました。私は連合軍極辺境編隊所属3779部隊 通称 クロスフォックスの隊長を務めますトモキ篠森です。

 これからしばらくの間よろしくお願いします。」

とオレは軽く会釈した。


そして、

「今回のイアンク・アステリズム(三方星群連合)合同研修会を統括します、

 銀阿中央連合、デネブ星系軍戦略室副長 ジャスク=レードル=デネブです。

 皆様の問題やケアを行いますのでよろしくお願いします」

とジャスも温和な雰囲気で話しだす。


と、一人の妙齢の女性が立ち上がる。

外套らしきものを軍服の上に羽織り、上司感を出していた。

「今回の研修会に参加する研修者の引率でベガ星系軍より参りました監査官のバラット・クランブルです。

 これから、しばらくの間ご迷惑をおかけします。

 では次は研修者たちに自己紹介してもらいます」


と言うと、残りの五人が一斉に立ち上がる。


   ・シェーヴル・サント

     女性で黒髪、19歳

     目に信念を感じる。と言うよりただの頑固ものなのかもしれない。     


    ・リネンス・マンステール

     女性で黒髪、26歳

     落ち着いた感じだ。優しい隣のお姉さん的に見える。


    ・コンテ・ミモレット

     男性で茶髪、21歳

     自分の操縦技術に絶対の自信を持っているらしい。

   

    ・ルガ・ルスティック

     男性で黒髪、22歳

     見た目からして真面目で委員長タイプ。この一団のまとめ役のようだ。


    ・モール・シャルダン

     男性で金髪、26歳

     よくいるふくよかな人。これでパイロットですか。

     まあ、いろいろな人がいるからいいか。


シェーヴル・サントと言う女性軍人が口を開く。

「失礼ですが、貴方がわれわれが教えを乞うほどの人物なのか確認させていただきたい」


この流れはまたですか、流行っているんですか。

このままでは、えらいことになること決定じゃないか。

どうしようか。


「では、おかえりください」

とオレは面倒ごとになりそうなので帰れといった。


「なぜ、そんなことを言われるのですか。」


「まず、君の言い分はおかしいと思わないか。教えを乞うているのは君たちの方だ。

 なのにオレを試すという。何しに来たんだよ君らは。こっちは時間を割いて研修会を開催してるんだよ。

 こちらをバカにするつもりなら帰れ」

と言い放つ。


「いえ、そういつつもりではないのです。あくまで確認を…」


「貴殿の言い分に…御託に付き合うほど暇じゃない。研修したくないなら帰っていただいて結構だ」


「そんなつもりではないのです。ただ…」


「ただ…なんだ。貴殿の言い分はこちらをひどく侮辱している。侮辱されてまで教えてやるほどオレは酔狂ではない」

前回と同じ流れはごめんだ。

と、言うかこいつらの頭の中はどうなってるんだ。

常識がないのか。


「し、失礼しました。謹んで訂正いたします。申し訳ございませんでした」

と頭を下げるシェーヴル・サント。


そこに助け船とばかり、バラット・クランブル監査官はフォローする。


「申し訳ございません。彼女に悪気はありません。ただ貴殿の実力を確認したかっただけで…」


「私は、貴公らに確認されなければいけないことはない。ちなみに貴殿らの上司は誰だ。

 この件については苦言を言わせていただく」

と返す刀でここぞとばかり反撃する。

当然だ、普通こんなことを言えば、どうなるかわかるだろう。


この状況をジャスは静観している。

オレがいら立っているのがわかっているからだろう。

何、こいつアホなことを言うのだろうと思っているようだ。


「いや、申し訳ない。そんなつもりはないのだ。本当に失礼した」

と頭を下げて来た。


「だめですな、バラット監査官。あなたは実の所そうは思っていない。

 貴殿らの上司の名前をきちんと言いたまえ。これは軍隊の規律としての問題だ。

 できないのであれば今回の研修の件はなかったものとさせていただく。」

さすがに困ったようだ。出鼻をくじかれ、物事が大きくなってしまったのだ。

敏腕女性軍人のバラット監査官は、必死に言葉を選んでいた。


ほんとはきっかけを作るつもりだったのだろう。


「そこまで言わなくてもいいじゃないですか。私のミスです。私を責めていただければ済むことではないですか」

シェーヴル・サントが割り込んでくる。


いや、アホですな。言い方を考えないとは。


「貴官の発言が問題になっているのに貴官がさらに問題を大きくしてどうする。

 何を考えているのですか、貴官はこちらを見下しているわけですな。言い方からわかります。

 礼儀も知らない者を相手にするつもりはない。後日、ベガ星系軍に対し抗議させていただく」

オレはきつくにらみつけて言い放つ。


この言葉に対ししまったという顔つきになったのはもちろんバラット監査官とシェーヴル・サントである。

彼女らからすればこんな展開は予想していなかったはずだ。慌てている。


「すみません。悪気はないのです。」

ルガ・ルスティックと言う名の男性が割って入ってきた。


「悪気がなければ何でも許されるわけではない。常識がないと思われる。それは彼女だけの問題ではない、

ベガ星系軍の代表として来ているのだ。ベガ星系軍自体の問題となるのだ。わかるな」


「最も過ぎて申し訳ない。あえて言わせていただければ彼女は誇りが高いため、あのような言動に至ってしまったのです

 こちらからよく注意しますので今回の件は不問にしていただけませんか」

へえ、何とかしようとしているわけか。

頼りないあの二人よりは冷静だね。

うまく落としどころ探しているようだ。

仕方がない、このあたりで許してやるか。


「わかりました。では、シェーヴル・サント殿。貴官には後で反省文を出していただく。

 それにバラット監査官についても監督不足をベガ星系軍上層部に抗議をさせていただく。

 このあたりで今回の件は不問とする。それで納得できないのであれば帰れ。いいな」


「すまない、こんなことになるとは思わなかったのだ。けして貴殿の事をないがしろしたわけではないのです」

と改めてバラット監査官は頭を下げた。


「では、これから研修箇所の案内役に引き継ぎますが、もし同じようなことを案内役にやられたら強制送還になりますご注意を。

ちなみにそのくらいの権限は私にもありますからね」


と締めくくった。



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