act28 厄介な提案だ
「山木 九十九司令。その事案については辞退できませんか」
極辺境編隊 司令執務室でオレはごねていた。
「できんな、むしろやれるものならやってみろ」
山木 九十九司令は机に座り、あきれ顔で言い放つ。
「ですよね、できませんよね。ちなみになんでそんな話になっているんですか」
「こないだ銀河系連合軍辺境編隊にGTXF-003 バウンド3rdが正式採用機として配備されたことは知っているな」
「もちろん知っていますよ。当事者ですから」
極辺境編隊の整備班の一つとオレ、篠森トモキがGTXF-001 バウンドをベースに
開発した完全新鋭機が採用されたのだ、知っていて当たり前である。
と言っても今ウチの部隊で使っているのはさらに二世代後の機体GTXF-011 クライアヘキサ1なのだが。
「それでだ。極辺境編隊製最新鋭機を銀阿中央連合、デネブ星系軍の一部が使用していることがずるいという話が出てな。」
「へ、そんなことしているんですか」
初耳だ。まあ、デネブ星系軍と言えばリーダイヤ=レードル=デネブ提督が仕切っているところだね。
まあ、信用できる人の所なら問題ないけどそんなことしてたんだ。
「GTXF-003 バウンド3rdが他の星系軍でも問題なく運営できるかのモニターをしてもらっていたのだが
この間、ドアホ貴族様のせいでいろいろなことが漏れたんだ。」
「あぁ、あれですか。でもあれくらいで今回の件が問題になるとは思いませんが」
「そうなんだが、イアンク・アステリズム(三方星群連合)の一角が軍事バランスを揺るがしていると
他の星系軍が言い始めたようなのだ」
「また面倒な」
「そうなのだよ、だが何とかしないといけない。で、今回のイアンク・アステリズム(三方星群連合)選抜研修会を開くこととなったのだ」
「それは、いいとして何でオレがその研修会を仕切らないといけないのですか」
「新型機に詳しいのでお願いしたいとイアンク・アステリズム(三方星群連合)から合同で依頼が来てな。
一番手間がかかりそうにないお前に白羽の矢が立ったのだよ。うん」
オレはため息をついてうなだれた。
「勘弁してくださいよ。オレはただのヲタクですよ。人様に物を教えるなんてことできませんよ」
「できませんよ。じゃない。これは極辺境編隊司令よりの命令だ。逃げることは許さない。
それに裏事情もあるからなおさらだ」
命令ですか、そうですか。異論はできないようにされましたか。
どないせえっていうんだよ。
へ、裏事情。嫌な予感しかせん。
「聞き逃しそうになりましたが裏事情って何ですか?」
ダメもとで聞いてみる。
すると、山木 九十九司令は机の上にあった書類をオレに手渡してきた。
ここで紙ですか。
電子書類がメインのこの異邦の地で情報漏洩を防ぐためなのだろうがアナログな。
と思いながら書類に目を通す。
内容は目を疑うことが書かれていた。
この内容を声に出すとまずいね。というかこれをオレに・・・いやオレたちにやれってか。
何考えてんのまったく。
「本気ですか」
書類から山木 九十九司令に視線を移しオレは尋ねた。
「もう、決まったことだ。軍上層部も乗っている。これが成功すれば新兵装や新機体の開発費用を優先的に回してもらえるそうだ」
ああ、エサがぶら下げられた。確かに開発費用の捻出はいつも頭が痛い。
この問題を解決してやると言われるとつらい。
もう回答は決まっているのだろう。
はい、YES、ok、了解しました、やりまっせ、まかしてくんなはれ。
肯定の言葉しか受け付けないということか。
「細かいことは誰がよく知っていますか」
「それはイアンク・アステリズム(三方星群連合)のお偉方だろう。あちらからの持ち込み依頼だからな」
オレは、書類を山木 九十九司令に返し、大きくため息をつく。
このぐらいさせてくれよ。まったく。
「わかりました。もう完全に逃げ道ふさがれてますしね。日程は決まっているのですか」
「いや、まだだ。こちらの準備ができるまで待ってくれるそうだ」
そのぐらいはしてもらわないと無理ですって言ってしまいそうだ。
「わかりました。ラボでみんなと悪巧みしてから報告に来ます」
「すまんな。面倒に巻き込んでしまって。」
「いいですよ。いつも無理を言っているのはこちらですし、恩返しのつもりで頑張ります。
それにうまくいけば山木司令の評価もあがるでしょ。また出世ですね。」
「それはそれで頭が痛い」
「管理職嫌いですものね」
苦笑いを浮かべる山木 九十九司令にそう声をかけた。
嫌だけど仕方がない、といった感じである。
さて、どうしよ。内容が内容だ。
こことラボくらいしか話すことができる場所がない。
メンバーはいいとして、あ奴をどう攻めようか。なんかおごらせよう、高いのを。
そのぐらいの反撃くらいはさせてもらわないと思うけど。
ほんと。




