act-01 誰も知らない戦場
漆黒の中、いくつもの光が輝き消えていく。
それは、イルミネーションの光のように鮮烈で
蛍光のように儚なげだ。
その中で翼のない戦闘機と魚の鱗のようなものがいくつも飛び交う。
お互いがお互いを消し去ろうと攻撃しあっている。
そんな中、翼のない戦闘機が6機で編隊を組み大きな岩の塊に向かっていく。
戦闘の機体は、翼のない戦闘機の上ノーズと呼ばれる部分がなく、コックピットが機体についていた。
その中にいる藍色のパイロットスーツを着込んだ兵士が回線を開く。
「さて、これより『彼女』を口説きに行く。全機ぬかるなよ」
「でもあんなの落とせるんですかいな」
ほかの兵士がギモンを投げかける。
「できなきゃ、オレたちはジリ貧に追い込まれて全滅だ。アレを壊すか、
退場していただくかしないとな」
「ほらほら、ボスは何とかしてくれるみたいだから俺たちで露払いをする」
ノーズのない戦闘機の後ろにつく機体から若い男の声で諭すような口調で話し出す。
「ここが踏ん張りどころでしょ、篠森中隊長殿」
「そうだね。本来ならこんな特攻一番なんてオレのガラじゃないんだけど
フォクス12とフォクス13に断られたからね。」
先頭を飛ぶ機体から返事をする。
「確かにあの二人なら嫌がりそうですね」
「そんな面倒なことは嫌だそうだ」
「ハハハ、ほんと目に浮かぶようですね」
こんな会話を戦場のなかで魚の鱗のようなものを
いくつも撃墜しながらしている。
「フォクス11、あんなデカ物落とせるですか」
篠森中隊長と話している兵士にほかの兵士が問いかける。
「大丈夫、大丈夫。ウチの中隊長がしくじったことあったかい」
「それは、ないですが…。今回はでかすぎますよ、アレ。
50メートル以上あるんじゃないですか」
この部隊が向かっていく先にある岩の塊を改めて確認する。
「ま、何とかなるでしょ」
フォクス11は軽い言い方で答える。
「軽く言うなよ」
「じゃあ、なんでこんな無謀な作戦受けたんですか」
「しょうがないでしょ。山木艦隊司令からのご命令なんだから」
「ご指名なら仕方がないでしょう」
「そう。だから、さっさと片づける・・・出来ると思う」
篠森中隊長は弱気になる。
「そこは強気で行きましょう」
「じゃあ、何とかするわ」
気持ちを切り換えて、ひと呼吸する篠森中隊長。
「では改めて、オレから命令する。
全機生きて帰ること。死んだ奴は命令違反として財産没収。
残った者でそれを使い切るまで豪遊するからな。
されたくなけりゃ生き残れ、必ずだ。」
「「了解」」ほかの機体から一斉に返事が返ってくる。
「では、作戦開始」
一同は、地球から離れた最果ての戦場で誰も知らない戦争を始める。




