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少しずつ見つけて

結局、いいものは見つからなかった。少し残念だと、界は肩を落とす。


それにしてもユウナのあの慌てようはいったい何だったのか、謎は深まるばかり。最終日にはすべて教えてくれるらしいが、それもどこまでの情報でどれほど需要があるかはわからない。

この努力が無駄にならなければな、と思う。



「それにしても、もうすぐ崩壊そうだな。このデパート」


たまに崩れて落ちてくるコンクリート。今日明日ということではないが、崩壊するのも時間の問題だ。


「そうですか? そういう知識は持っていないので、分からないんです」


「でもまだ大丈夫そうだし、気にしなくていいと思うぞ。……もしこのデパートが崩れたら、ユウナさんはどうするんだ?」


「そうですね……。その時になったら考えます。一緒に壊れるのもよし、ひとり旅するのもよし、ですね。でもここを離れたら電気が……あ、私今は発条で動いてるんでした」


「今は、ってどういうことだ?」


「いえ、何でもありません。ただ少し前のことを思い出しただけです」


「そっか」


ユウナは隠し事が苦手なのか、結構気になる発言をしてくる。地下でのことも、今のことも。プログラムされたものではない、自律した自我。こういうところを見ていると、ユウナが本当の人間に見える。


最初に感じた苛立ちは、今ではもうすっかり消えてなくなった。まっすぐな目だけれど、よく見ると悲しさを孕んでいるように感じたから。






***************






夜になって界が寝静まった頃。


ガチャッ

地下にユウナが来ていた。開けたドアは、界が開けようとした扉だ。その扉の向こうには、動いていない機械、バラバラになった機械、そして――




――動いていない、壊れかけた人型の機械。ユウナはそのロボットの横に佇む。


「ユウアちゃん……。もう少しでここ、崩れちゃうそうです。私、どうすればいいんでしょう。一緒に壊れた方がいいんでしょうか。そんなことしても、何も変わらないですけど……」



ただただ話し続けるユウナ。

ユウアと呼ばれるロボットに発条はない。



「ねえ、ユウアちゃん。私、私ね……好きな人が、できました。界さんっていうんです。おかしい、ですよね。会って間もないですし、まず私はAIロボットですから。自我があるといっても、複雑な気持ちは持てないはずなのに。どうしてこんな気持ちが生まれたんでしょう。でも、今日でお別れなんですけどね。そうしたらまた、ひとりです。せっかく二日間にしてもらったのに、こんな気持ちが芽生えるなんて……」


不意に立ち上がり、泣きそうな顔でユウナは言った。



「ユウアちゃん。ではまた、です」


ガチャッ

ユウナはそう言い残し、その部屋を出ていった。その部屋の中には、変わらず壊れた機械で、溢れ返っている。しかしなぜ、ここには壊れた機械しか、ないのだろうか……。

ここまでお読みいただきありがとうございました! 誤字脱字があったら教えていただけると嬉しいです! アドバイスや感想も送って下さったら幸いです! 次回も読んでいただけるともっと嬉しいです!(≧▽≦)

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