答えに気付くとき
デパートからそう遠くない、かろうじて形が残っているような場所に、界は着いた。
歩いてきた方角を見ると、デパートがまだ見える。
「はぁ……。ほんと最後のは驚いたな。そういえば、ユウナさんのこと機関長にどう説明したらいいんだろう」
どうせなら音声でも取っておけばよかったなぁとうなだれる界。
だが、今までのことから自分の言葉は信じてもらえるだろうと思って、心を持ち直す。
「あ、そういえば機関長に、今日聞いたことを報告しなくちゃな」
いつ報告するか少し迷って、時間があるからと今から報告することにした。
ザザッ
「――あ、あ~、こちら、六丁目捜査官、乃波羅 界。只今、帰還中。遭遇したロボットの話を報告します!」
ユウナは自分を機械じゃなくロボットだと強く言っていた。最初報告したときは機械と言ってしまっていたが、今はロボットと間違わないように気を使う。
これで少しでも罪滅ぼしになればなぁ、と。
『待っていたぞ。報告してくれ』
そう言われたので、界は聞いたことを何の偽りもなく話した。機関長がたまに驚愕の声を上げている。それはそうだろう。今まで原因すら分からなかったことが、今するすると糸がほどけるように、解き明かされているのだから。
『そうだったのか。よくやってくれた。これで他の捜査官の気苦労も少しは減るだろう。君はとても素晴らしいことを成し遂げてくれた。無事に帰ってきてくれ』
「はっ!」
そう言って、会話は終了した。懸念も杞憂だったことが分かり、ほっとする。
もう時間は寝るくらいの時間だ。さあ寝ようと界が毛布をかぶった時――
――ドカン! と近くで大きな音がした。何事かと思って、外に出る。建物が崩れる音は日常茶飯事だが、なぜか焦りを隠せないでいた。
いつも通りの薄暗い視界の中に、さっきまでいたデパートが、崩れているのが見える。
「ユウナさん!」
飛び出した界は、未だ崩れ続けるデパートの方へ向かう。
だが今行っても、崩壊に巻き込まれて死ぬだけ。
近づける範囲までは近づいたが、これからどうすれば、と頭を悩ませる。
何かできることはないかと周りを見渡していると、崩壊に巻き込まれているユウナを見つけた。
「ユウナさん!」
そう叫ぶが、ユウナは気付いてくれない。悔しくて奥歯をかみしめた時――
――ユウナが、自分から崩壊に巻き込まれようとしているのが見えた。
きっと、崩壊と同時に自分も壊れてしまおうと考えていたのだろう。自分を責めて責めて、責め続けていたのだろう。
全部自分のせいにして……やっぱり、そんな悲しいことにはさせたくない。
「でも、ユウナさんに助かる気がないなら、どうすれば……」
ユウナに近づけない今、ここから呼びかけるだけじゃダメだ。
気付いたといても、界の方には来ない。
幸いだったのは、ユウナは巻き込まれているといっても、そこまで重症じゃないところだ。やはり、多少の恐怖心はあるのだろう。
巻き込まれに行ってしまう前にと、必死に頭を使う。
その時、ふと疑問に思ったことがあった。それは――
「――…なんで俺、こんなに必死なんだ? ユウナさんの望んだことなら、させてあげればいいのに……。今さら少し一緒に過ごしたくらいの奴を、どうこう考えるなんてないはずなのに……」
死んでしまった人なんて、何度も見た。友達がいなくなって、孤独にもなれた。ではなぜ、こんな少しの間しかいなかった奴を、こんなにも助けようとするのだろう。そもそもユウナは人ではなくロボットだ。よけいにわからない。
……そうだ。別れの時の寂しいと思った気持ち。今の助けたいという気持ち。
「もしかすると、俺はユウナさんのことが……?」
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