荒廃した街で少年は
こんにちは飽那です! まだまだ拙い文章かとも思いますが、読んでいただけると幸いです! 久しぶりの連載なのですが、こんなに長いのを投稿したことがないのでドキドキです!(>_<)
世界が崩壊し始めて、約10年。荒廃した街には、誰もいない。
否。ひとり、いる。少年のようないでたち。まだ、十五、六才だろう。
無線機のようなものを握りしめ、少年以外に誰もいない街をただ飛び回る。
デパートのようなところを見つけると、少年は無線機の電源をオンにした。
ザザッ
「――あ、あ~、こちら、六丁目捜査官、乃波羅 界。只今、瀬利デパート辺りを捜索中。もうすぐ日が暮れるので、デパート内にて夜を明けます」
『了解した。くれぐれも建物の崩落に気を付けるように』
「はっ!」
少年――乃波羅 界は無線機をしまい、デパートの前に立つ。
「うっわ~。やっぱボロいな。まあ十年も持ちこたえてるんだ。そこまでやわじゃないだろ」
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十年前、世界はいきなり、崩壊した。
なぜそんなことが起こったかは、未だわかっていない。
毒の雨が降った。空は雲で覆い隠された。
そのせいで、植物は育たなくなり、家畜は死んだ。
知恵ある人間も、元の人口の100分の1に激減した。
――そして今。
生き残った人間たちは、その謎を解明すべく世界調査捜査機関、通称、WSIAを立ち上げた。その機関は、いくつかのグループに分かれ、荒廃した街を観察し、謎解明に日々励んでいる。
そのWSIAに幼いころから属する界は、六丁目捜査官として、役目を全うしている。今は幹部となるまでに成長し、一人で調査にむかうことも増えた。今日も一人で、調査に来ていたのだ。
ただ、この機関に入ったのは界自身の意思、というわけではない。
生まれながらの運動神経の良さ、優れた頭脳、それをWSIAの上の人に見込まれた。
そしてそんな界はお金のため、親に売られてしまったのだ。
確かに、こんな世界で生きていくためにはお金が必要だが、それで子供を売るとは、よほどの親なのだろう。
そんな親のせいで、界は心のよりどころを探していた。
きっと、今までないくらいの好意を向けられたら――
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「意外と中は綺麗だ。外面はぼろいのに……」
外見の古さを感じさせないほど、中は綺麗に整っていた。
奥の方が気になって、界はどんどん進んでいく。
捜査の基本は、建物の奥までいかず入り口付近で寝る、である。
万が一崩壊した場合、逃げやすいからだ。
やはりこんな人口が少ない中では、一人の犠牲が多くの犠牲になる。
命の危険を与える割には、死ぬなという、とても難しい世界だ。
界は分かっている。奥に行くのは、ダメなことだと。だが、気になって仕方がなかった。こどもは好奇心には勝てない、とはこういうことを言うのだろう。
「綺麗といっても、見た目だけだな。てことは、誰かが整備してんのか? いや、そんなことないだろ。じゃあ、どうしてこんなに綺麗なんだ?」
誰もいるはずがない。こんなところでは、生きてはいけないはずだからだ。
じゃあなぜ、ここはこんなに整備されているのだろう。
その理由を突き止めることも、自分の仕事だと思い、また奥に進む。
ドサッ
歩いていると、物音が聞こえてきた。
「なんだ?」
誰かいるのだろうか、それとも幽霊か何かか。
界は、ギイッっと物音が聞こえた場所のドアを開けてみる。
「えっ?」
そこには、一人の少女が立っていた。
ここまでお読みいただきありがとうございました! 誤字脱字があったら教えていただけると嬉しいです! アドバイスや感想も送って下さったら幸いです! 次回も読んでいただけるともっと嬉しいです!(≧▽≦)