『美しい薔薇姫』
薔薇族にとって、美こそが全て。美しいものはそれだけで生きている価値があるし、醜いものはそれだけで生きる価値を奪われるの。自分で自分の事を美しいと想い続けられる子であれば、どんな形であれ生きていられるけれど、そんな子はほんの一握り。基本は一年かそこらで衰えて、自分の醜さを呪いながら枯れていくの……まあ、この世で一番美しくて愛らしい姿を取れた私は、そうもいかなかったけれど。勿論、最初の2年はそりゃあもう嬉しかったし、周囲からの支持で長になれた時は誇りに思ったけれど、同じ時に産まれた子がどんどん醜く枯れていって、私はずっと美しいままで、私の次の世代も枯れていって、私はずっと長のまま。周囲の子達は私を神だと形容し崇めるようになって、そこでやっと、自分が怖くなった。確かに私は永遠の美しさを望んでいたけれど、どんなに美しい花もいずれは見飽きられて捨てられるもの。だから、私は。
「これはぜんぶ、全部、私が仕組んだの」
全てを、壊す事にした。
……けれど、愛でられるだけの私にそんな力なんてなかった。いっそ、自分の顔面を汚してしまおうか……そんな考えに至った矢先に、拾ったのがローイだ。ローイは、私を唯一憎んでくれる可愛い子。この子だけが私を殺してくれると、本能で感じた。蜜のように甘い言葉で彼を縛り付けて、彼の餌に成り下がる事で少しずつ命を削っていく。
『あんたは、本当に醜い』
彼の言葉は、麻薬のように浸透しているはずなのに、私は未だ無様に生き続けている。下半身は動かなくなって、ほぼ順調に醜く枯れてきている。こんな醜い内心を吐露する死にかけの花を、美しいと思う人間はきっといない。
「あな、た達には……私の、自殺に、付き合って貰う、の。もう……子天使族に、連絡は、いってるし、逃げられない、わ……」
さあ、私を殺しなさい。




